田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト

文字の大きさ
1 / 31

第1話「田舎娘、追放される日」

しおりを挟む
 ローズ家の朝は、いつだってミントにとっては戦場だった。

「ミント! ポーション倉庫の棚卸し、まだ終わってないの?」 「ミント、洗濯場の薬草染め、配合表を書き直しておきなさい」 「ミントちゃん、この箱、地下まで運んどいてくれない?」

 右から左から飛んでくる声に、「はい」「すぐやります」と返事をしながら、ミント・フェンネルは小走りで屋敷の廊下を駆け抜けていた。

 腕いっぱいに抱えた瓶箱は、歩くたびちゃりん、とガラスが触れ合う音を立てる。落としたら終わりだ。ミントは胸の前でぎゅっと抱きしめ、滑りやすい床を慎重に進んだ。

(……それにしても、今日もいい天気だなぁ)

 窓の外には、王都の青い空が広がっている。遠くに見える魔導塔と、ひしめく屋根の群れ。ミントの生まれた田舎の村とは違う、少しきらきらした世界。

 ここに来たときは、それが嬉しかったのだ。
 田舎娘でも、頑張れば役に立てるって信じてた。

「ミント、そこの角、気をつけなさいよ!」

 注意の声が飛ぶより早く、ミントは本能的に足を止めた。次の瞬間、白いドレスの裾がふわりと視界をかすめる。

 ローズ家の箱入り令嬢、ローズマリー・ローズ。
 肩までの淡いピンクブロンドの髪が揺れ、宝石を散りばめた髪飾りが光を弾く。絵画みたいに整った横顔に、当然のような自信が宿っていた。

「危ないじゃない、田舎娘。瓶なんて落とされたら困るのよ?」

 軽く眉をひそめながらも、声にはうっすら笑いが混じっている。ミントは慌てて頭を下げた。

「ご、ごめんなさい、お嬢様。ちゃんと気をつけて――」 「“ごめんなさい”は、落としてから言うものじゃないわ。落とさないのが前提でしょ?」

 さらりと刺すような言葉。
 でも、そんなのは日常茶飯事で、ミントの心はだいぶ耐性がついていた。

「今日は大事な夜会なのよ。王太子殿下もいらっしゃるんだから。薬草担当のあなたが失敗したら、ローズ家の恥だわ」

「…………はい」

(失敗なんて、しない。
 しないために、寝る間も惜しんでメモもまとめたし、調合表だって何度も見直したもん)

 ミントはそう心の中で呟いて、ひとつ深呼吸をする。

 夜会用ポーション――それは今夜、王太子殿下をはじめとする貴族たちにふるまわれる特製のものだ。
 見た目は淡く光る桃色で、飲むとほんのりと身体が温まり、緊張を和らげる効果がある。

 薬効は穏やか。だが、ほんの少し配合を間違えれば、逆に頭痛や吐き気を引き起こす厄介な代物でもあった。

(だから、何度も何度も確認した。……大丈夫、なはず)

 そう自分に言い聞かせながら、ミントは瓶箱を薬草室へ運び込む。

 石造りの部屋には、乾燥棚と薬草の束がずらりと並び、独特の香りが満ちていた。ミントは思わず、ふうっと息をつく。
 ミントにとって、ここだけが屋敷の中で落ち着ける場所だった。

「よし、今日も頑張ろう」

 小さく拳を握り、仕込み作業を始める。
 祖母に教わった、薬草の扱い方が体に染みついている。葉の向き、茎の太さ、刻むときの音。
 一つ一つに耳を傾け、一つ一つに目を凝らす。

 ふいに、祖母タイムの声が脳裏に蘇る。

『ミント、薬は“人”に飲ませるものなんだよ。瓶の数じゃない。飲む人の顔を思い浮かべて作りなさい』

(……うん、おばあちゃん。覚えてるよ)

 いつの間にか口元が緩んでいた。

 そのときだった。
 扉が勢いよく開く音がした。

「ミント! 夜会のポーション、もう仕上がってる?」

 顔を出したのは、ローズマリーだった。
 だが、その目はいつもより少し、楽しげに光っている。

「い、いえ、お嬢様。今、最終調合に入るところで――」

「あら、もうそんな段階なのね? ねえ、見せてちょうだいよ」

 ローズマリーは、ぞんざいに靴音を響かせながら部屋へ入ってくる。
 机の上の調合表に目を走らせ、ふん、と鼻で笑った。

「相変わらず、字がちょっとだけ綺麗になった田舎者って感じね」

「が、がんばって練習してるので……」

「そういうのはね、“がんばってますアピール”じゃなくて結果で見せるものよ?」

 ぴしゃりとした物言いに、ミントは言葉を詰まらせる。

 ローズマリーは、瓶に注がれかけている淡い桃色の液体を覗き込んだ。

「これが今日の夜会用? ふーん……ちょっと面白くないわね」

「お、おもしろくないって……効能は、ちゃんと――」

「そうじゃないの。見た目よ、見た目。
 王太子殿下をお迎えする夜会なのに、“いつも通り”なんてつまらないじゃない?」

 そこで、ローズマリーの視線が、棚の上の別の瓶に止まる。
 それは、ミントが試験的に作っていた“香り強めのリラックスポーション”の原液だった。
 まだ試飲も少ししかしていない、調整途中のもの。

(あ、あれはまだ――)

「ねえミント。こっちの方が、色がきれいじゃない?」

 ローズマリーは指先で瓶のガラスを軽く叩く。
 そこに満ちている液体は、夜会用のものよりも少し濃い、華やかなピンク色をしていた。

「そ、それは、まだ配合が定まってなくて……香りが強すぎるかもしれなくて、だから夜会には――」

「ふうん。田舎娘にしては、悪くない発想だけど?」

 ローズマリーはくるりと振り向き、笑顔を貼り付ける。

「これ、夜会用に使いましょう」

「えっ」

「あなたが作ったものでしょ? なら、問題ないわ」

「で、でも、ちゃんと検証してないですし、貴族の方々の体質に合うかどうか――」

「大丈夫よ。責任なんて、全部“薬草係のあなた”が取るんだもの」

 あっけらかんとした口調。その裏にある冷たさに、ミントの背筋がぞくりとした。

「それとも何? 私に“失敗するかもしれない薬を出せ”って言わせたいの?」

「ち、違います! そんなつもりじゃ……」

「じゃあ、決まりね」

 ローズマリーは、ミントの返事を聞く気もないように言い切ると、試作品の瓶をひょいと持ち上げた。

「これをベースに、夜会用に仕立て直しておいて。あなた、そういうところだけは器用なんだから」

 そのまま、ひらひらと手を振って部屋を出ていく。
 残されたミントは、机に置かれた調合表と、ローズマリーの持っていった瓶を見比べ、ぎゅっと唇を噛んだ。

(試作品を、そのまま夜会に出すなんて……怖い。でも、お嬢様の命令を無視したら、私……)

 脳裏に浮かぶのは、他の使用人たちの視線。
 田舎出の、コネもない、頼れる親もいない自分。

(ここを追い出されたら、帰る場所なんて――)

 胸の奥がきゅっと縮む。

「……わかった。だったら、今から夜までに、ちゃんと夜会用に作り直せばいい」

 ミントは自分に言い聞かせるように呟き、急いで新しい調合表を書き起こした。
 香りを少し抑え、刺激の強い成分を抜き、効果を安定させる組み合わせを探る。

 時間との戦い。
 でも、やるしかない。

 ――そうして迎えた夜。
 豪奢なシャンデリアが輝く大広間には、王都の貴族たちが集い、音楽と笑い声が渦巻いていた。

 ミントは、黒服の給仕たちの陰に紛れるようにして、様子を遠くから見守っていた。
 お盆に載せられたグラスには、あのピンク色のポーションが注がれている。

(お願い。どうか、誰にも悪い影響が出ませんように)

 祈るような気持ちで、ミントは指先を組む。
 ポーションを口にした貴族たちは、最初は「まぁ、香りがいいわね」と笑っていた。
 しばらくしても、ひどい反応は見られない。ミントは胸を撫で下ろしかけた。

 ――だが、異変は突然だった。

「……頭が、重い」 「ちょっと、気分が悪いかも……」

 ぽつぽつと、そんな声が広がり始める。
 顔をしかめる者、額に汗をにじませる者。中には、少しよろめく姿も見えた。

「な、なんで……?」

 ミントは、血の気が引くのを感じた。
 確かに、強い毒性のある薬草は使っていない。
 だが、貴族たちの体質、日頃飲んでいる薬、魔力との相性――どこかに予想外の相互作用があったのだろう。

 ローズ家の当主が、青い顔で立ち上がる。

「宮廷治癒師を呼べ! すぐにだ!」

 騒然とする場内。その最中、ひときわ高い声が響いた。

「お父様! このポーションを調合したのは、あの田舎娘ですわ!」

 視線が一斉に、壁際に立っていたミントへと突き刺さる。
 ローズマリーが、ドレスの裾を揺らしながらミントを指さしていた。

「わ、わたしは……!」

「ミント・フェンネル! 前へ出ろ!」

 当主の怒鳴り声に、膝が笑う。
 それでも、逃げられないと知っていた。
 ミントは震える足を引きずるようにして、大広間の中央へ進み出る。

「お前が薬草係として、このポーションを作ったのか?」

 当主の目は、怒りと焦りで血走っている。
 ミントは、喉がからからに乾くのを感じながら、搾り出すように答えた。

「……はい。わたしが、調合を担当しました。でも――」

「やっぱり! やっぱりあの田舎娘のせいじゃない!」

 ローズマリーが、待ってましたと言わんばかりに声を張り上げる。

「私、何度も申し上げましたのよ? あの子は田舎育ちで、ちゃんとした教育も受けていないって。こんな大事な夜会のポーションなんて任せちゃいけないって!」

「そ、それは違います、お嬢様。わたし、調合表もチェックして、成分も――」

「じゃあ、どうしてこんなことになっているのかしら?」

 ローズマリーの声は甘く、刺々しい。

「あなた、“香りが強い試作品を夜会用に使いましょう”だなんて、怖いこと、言ってなかったかしら?」

「そんな言い方はしてません! お嬢様が、その……」

 ミントが言いかけたとき、ローズマリーは先に一歩踏み出した。

「お父様。私、止めたんですのよ? “まだ試作品なら、王太子殿下がいらっしゃる夜会には間に合わないんじゃないかしら”って。
 でもこの子、“大丈夫です、自信があります”って言い張って……」

「ま、待ってください……そんな、言ってない……!」

(言えない。
 本当は、お嬢様の一言で流れが決まったことなんて、ここで言ったら――)

 貴族たちの視線が、さらに鋭くなる。
 “田舎娘”“使用人”“身の程知らず”――そんな言葉が、刺のように飛び交っているのが聞こえた。

 当主は腕を組み、深くため息をつく。

「ミント・フェンネル。お前には、この屋敷に相応の恩を返す機会を与えたつもりだったが……まさかこのような形で裏切られるとはな」

「う、裏切るなんて、そんなつもりは……!」

「結果がすべてだ」

 当主の低い声が、大広間に沈む。

「王太子殿下をお迎えする夜会で、このような粗相を犯した。
 ローズ家の名に泥を塗った責任は、取ってもらわねばならん」

「……責任、って」

「お前は、本日をもってローズ家を解雇する。使用人としての身分も住居も、すべて剥奪だ」

 その言葉が落ちた瞬間、ミントの世界から音が消えた気がした。

(……今、なんて言った?
 解雇? 全部、剥奪?)

 頭の中で、何度も同じ言葉がこだまする。
 足元がぐらりと揺れた気がして、思わず一歩よろける。

「お言葉ですが、旦那様。
 この娘は、薬草庫の管理も――」

 横から、年配の執事が口を挟もうとした。
 しかし当主は手を上げ、それを遮る。

「黙れ。ここまでの失態だ。情けをかける余地はない」

 ローズマリーが、ほっとしたように微笑んだ。

「田舎に帰りなさいな、ミント。
 雑草と結婚して、子どもでも産めばいいわ。薬草と雑草の区別くらいは、あなたにもできるでしょう?」

 くすくす、と笑いが起こる。
 胸の奥に、ぐさりと何かが刺さったような痛みが走る。

「……っ」

 何か言い返したかった。
 違うと叫びたかった。
 でも、喉の奥が固まってしまったみたいに、声が出てこない。

『田舎娘のくせに有能ぶって』
『田舎娘のくせに』
『田舎娘』

 その単語だけが、ぐるぐると頭の中を回る。

(わたしは、ただ……頑張りたかっただけなのに)

 執事やメイドたちが、気まずそうに目をそらす。
 誰かひとりでも、「彼女は真面目に働いていた」と言ってくれたら――
 そんな淡い期待は、誰の口からも発せられなかった。

「荷物はすぐにまとめろ。今日中に屋敷から出ていけ」

 当主の最後の一言が、判決のように響いた。

      ◇

 使用人部屋に戻ると、ベッドの上にはすでにミントの荷物が雑に放り込まれていた。
 少ない服と、祖母の形見のマグカップ、薬草メモの束。
 全部がごちゃ混ぜになって、ぼろぼろのトランクに押し込まれている。

「……手伝ってくれたんだ。ありがとう」

 誰にともなく呟くと、部屋の隅でシーツを畳んでいたメイドの一人が、気まずそうに笑った。

「ごめんね、ミントちゃん。本当は、私……」

 その先を言えないまま、彼女はうつむく。

「ううん。いいよ」

 ミントは首を振った。
 責める気力も、もう残っていなかった。

 トランクの留め具を閉め、取っ手を握る。
 重さはそれほどでもないのに、腕がひどくだるい。

 屋敷を出るとき、玄関ホールで執事がひとり、こっそりと近寄ってきた。

「ミント嬢」

「……はい?」

「あなたの働きぶりは、私が一番よく知っています。
 どうか、自分を低く見すぎないように」

 そう言って、彼は小さな紙袋を差し出した。
 中には、ミントがよく使っていた小瓶と、古いハンカチが入っている。

「王都は冷えますから」

「……ありがとうございます」

 礼を言うと、執事は深く頭を下げ、それ以上何も言わなかった。

 重たい扉が閉まり、ローズ家との境界線が、がちゃん、と音を立てて消える。

 外に出ると、空はいつの間にか雲に覆われていた。
 ぽつ、ぽつ、と冷たいものが頬に当たる。

(あ、雨……)

 トランクを片手でかばいながら、ミントは王都の門へ向かって歩き出した。
 石畳に、雨粒が丸い模様を描いていく。

 さっきまで華やかな笑い声が響いていた屋敷は、もう背後に遠ざかっている。
 振り向くことはしない。振り向いたら、たぶん、足が止まってしまうから。

 門前の広場に着く頃には、雨脚はすでに強くなっていた。
 行き交う馬車の車輪が水しぶきを上げ、人々はフードを深くかぶって足早に通り過ぎていく。

 ミントは、門の脇に立ち尽くした。
 手の中のトランクは、もう半分ほど濡れている。

「……私、何のために頑張ってきたんだろう」

 誰に聞かせるでもない言葉が、雨音に紛れて消えていく。
 喉の奥が熱くなり、視界がじわりと滲む。

 頬を伝うものが、雨なのか涙なのか、自分でもよくわからなかった。

(帰る場所……あるのかな)

 ふと、頭の中に浮かんだのは、緑に囲まれた小さな村だった。
 祖母タイムと一緒に薬草を摘んだ丘。
 夕暮れの畑の匂い。
 木の扉がきしむ音。

「……帰ろう。とりあえず、そこに帰ろう」

 自分に言い聞かせるように呟き、ミントは一歩を踏み出した。
 雨の中、ぼろぼろのトランクを引きずりながら。

 王都のきらめきから遠ざかるほどに、足音は静かになっていく。
 でも、その静けさの中で、心のどこかが小さく強く、確かに主張していた。

(このまま終わりたくない。
 田舎娘だからって、全部あきらめたくない)

 雨雲の向こうには、きっと明日がある。
 そう信じるには、まだ少し心が痛いけれど。

 それでもミントは、かつて祖母と過ごした田舎の村へと、ゆっくり歩き出した。
 ひと粒ずつ、過去を洗い流すみたいに、雨は降り続いていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について

いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。 実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。 ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。 誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。 「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」 彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。 現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。 それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

役立たず聖女見習い、追放されたので森でマイホームとスローライフします ~召喚できるのは非生物だけ?いいえ、全部最強でした~

しおしお
ファンタジー
聖女見習いとして教会に仕えていた少女は、 「役立たず」と嘲笑され、ある日突然、追放された。 理由は単純。 彼女が召喚できるのは――タンスやぬいぐるみなどの非生物だけだったから。 森へ放り出され、夜を前に途方に暮れる中、 彼女は必死に召喚を行う。 呼び出されたのは、一体の熊のぬいぐるみ。 だがその瞬間、彼女のスキルは覚醒する。 【付喪神】――非生物に魂を宿らせる能力。 喋らないが最強の熊、 空を飛び無限引き出し爆撃を行うタンス、 敬語で語る伝説級聖剣、 そして四本足で歩き、すべてを自動化する“マイホーム”。 彼女自身は戦わない。 努力もしない。 頑張らない。 ただ「止まる場所が欲しかった」だけなのに、 気づけば魔物の軍勢は消え、 王城と大聖堂は跡形もなく吹き飛び、 ――しかし人々は、なぜか生きていた。 英雄になることを拒み、 責任を背負うこともせず、 彼女は再び森へ帰る。 自動調理、自動防衛、完璧な保存環境。 便利すぎる家と、喋らない仲間たちに囲まれた、 頑張らないスローライフが、今日も続いていく。 これは、 「世界を救ってしまったのに、何もしない」 追放聖女の物語。 -

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

いらない子のようなので、出ていきます。さようなら♪

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 魔力がないと決めつけられ、乳母アズメロウと共に彼女の嫁ぎ先に捨てられたラミュレン。だが乳母の夫は、想像以上の嫌な奴だった。  乳母の息子であるリュミアンもまた、実母のことを知らず、父とその愛人のいる冷たい家庭で生きていた。  そんなに邪魔なら、お望み通りに消えましょう。   (小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています)  

処理中です...