掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト

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第11話「他国からの影と、誘拐計画」

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 最初に、異変の気配に気づいたのは、ゴミ山じゃなくて城だった。

 廊下の端で、使用人たちがひそひそと交わす声が、いつにも増して棘を帯びている。

「またよ、警備隊詰所から書類が消えたって」

「どうせ誰かが持ち出して忘れただけじゃないの?」

「だったらいいけどね。軍の人たち、最近ずっとピリピリしてるじゃない。昨日だって――」

 リーナは、モップを抱えたまま、通り過ぎるふりをしながら耳の端だけそちらに向けた。

 最近、こういう話を聞かない日はなかった。

 書類の紛失。
 見慣れない影の目撃情報。
 夜中の回廊を誰かが走り抜ける足音。

 全部が“気のせい”で片付くには、ちょっと数が多すぎる。

(また、何かが近づいてる)

 そう思った瞬間、背中の奥がじんと冷たくなった。

 ゴミ置き場に戻ると、マルタが腕を組んで待っていた。

「遅かったねぇ、新入り。廊下で噂拾ってたろ」

「バレてる……」

「あんたの足音は分かりやすいのさ。ちょっと軽くて、ちょっと急いでる」

 マルタは、ゴミ山の方に顎をしゃくる。

「こっちも、なんかザワザワしてきたよ。  さっきも、見慣れない靴跡があった」

「靴跡?」

「ああ。掃除婦でも兵士でもない踏み方。上階から直接来たか、外から回り込んできたか……」

 そこで言葉を切り、わざと軽い調子を装って続けた。

「ま、上の連中が勝手に首突っ込んでくるのは今に始まったことじゃないか」

 リーナは、モップの柄を強く握った。

 胸の奥で、嫌な予感がふくらんでいく。

『外部からの視線が、増えている』

 アークレールの声が、意識の内側で低く響いた。

(外部って……王城の外、ってこと?)

『ああ。ここ数日、周囲の魔力波長に“聞き慣れない揺らぎ”が混ざっている。  この城の結界に属さない波だ』

(属さない……)

 つまり、それは、“この国の人間ではない何か”の気配だ。

 胸の鼓動が、いやに大きく聞こえた。

    ◇

 国境から少し離れた森の中。
 枯れかけの大樹に背を預けながら、一人の男が薄い紙束をめくっていた。

 シグル・ハーヴェイ。

 軍事国家ガルディアスの特務将校。

 鋭い金灰色の瞳。
 無駄のない筋肉のついた長身。
 黒い軍服の上に、砂色のコートを羽織っている。

 紙束は、盗み見た王都の情報をまとめたものだ。

 〈王立工房〉
 〈古代兵器――アークレール〉
 〈ゴミ山の掃除婦〉

 走り書きの文字が、薄暗がりの中で浮かび上がる。

「……掃除婦、ね」

 口の端がわずかに吊り上がった。

「古代兵器を起動させる“鍵”が、そんな肩書きで野ざらしとは。  この国の王は、案外慎重なのか、ただの愚か者か」

 シグルは、指の間で紙をくるりと回した。

 そこには、最近増えた城内警備の配置図もある。
 情報漏洩――と騒がれている元凶は、彼だ。

 王都に潜り込み、偽造身分でしれっと使用人の中に紛れ込み、警備網の穴を探り続けている。

 目的はひとつ。

 ――リーナ・フィオレ。

 城のゴミ置き場で、次々と古代兵器を起動している“掃除婦”。

「やっぱり、“兵器の鍵”は人間の中にある」

 シグルは、遠い昔を思い出すように目を細めた。

 かつて、彼もまた古代遺跡の発掘に携わっていた。

 地の底で眠る巨大な機構。
 触れた瞬間、目の前に流れ込んできた光景。
 それを解析しようとした矢先――成果は、王と上層部に“奪われた”。

 功績を横取りされ、危険な現場だけ押し付けられた。

 そのとき、彼の中で何かが決定的に折れた。

 「兵器を支配する者が世界を支配する」。

 逆に言えば――
 「兵器を支配できない者は、いずれ必ず支配される」。

 シグルの信念は、そこから始まっている。

「この城の王も軍も工房も、“鍵”の価値を完全には理解していない」

 低く呟く。

「ならば、俺が利用するまでだ」

 冷徹な光が、瞳の奥に宿る。

「古代兵器そのものより、それを起動させる少女。  どちらが価値があるか――考えるまでもない」

 紙束を丁寧に折りたたみ、コートの内ポケットにしまう。

 森の影から、黒ずくめの部下が数人現れた。

「シグル様、城内警備は日に日に厳重になっております。  王城内への出入り証の偽造は、もう一度手筈を整え直さなければ――」

「焦るな」

 シグルは手で制した。

「相手は“掃除婦”だ。  戦場の英雄でもなければ、王族でもない。  ただ、ゴミ山とやらから離れようとしない――」

 そこで、ふっと笑う。

「城の中で一番“出口が多い”場所を、本拠地にしてくれている。  あんな場所、こちらからすれば、出し入れし放題だ」

 ゴミ集積所。
 物資も人も、裏から運び入れるために複数の通路が繋がっている。

 外壁ギリギリまで迫っている位置。
 見張りの視線も、正門ほどは厚くない。

 そこに、“鍵”は自分の意志で留まっている。

(愚かでもあり、賢くもある)

 シグルの口元に、獰猛な笑みが浮かんだ。

「――リーナ・フィオレ。  お前は、どこの国の手でもない場所に立とうとしているようだが」

 ひゅう、と森を抜ける風が、彼のコートを揺らす。

「この世界に、“無所属の鍵”なんてものが、長く許されるはずがないだろう」

    ◇

 その頃、ゴミ置き場では。

「ねぇ、ヴァルトさん。最近、兵士の数、増えましたよね」

「“さん”はやめろ」

「じゃあ、ヴァルト将校?」

「硬すぎる」

「じゃあ……ヴァルト?」

「馴れ馴れしい」

 いつもの不毛なやり取りをしながらも、リーナの目は真剣だった。

 ゴミ山のあちこちに、鎧のきらめきが見える。

 数日前までは二人だった監視兵が、今は常に四人以上。
 時間帯によっては、さらに増えることもある。

「正直に言っていい?」

 リーナは、モップを抱えたまま尋ねた。

「怖いです」

「……だろうな」

 ヴァルトは、ゴミ山の上をゆっくり見渡した。

「城内で、情報漏洩の気配がある。  警備隊内の一部ルートが、外部と繋がっている可能性が高い」

「外部って……」

「他国だ」

 はっきりと、彼は言った。

「周辺諸国も、もう“ここ”のことを嗅ぎつけている。  古代兵器と、それを起動させる掃除婦の存在を」

 リーナは、胸の奥がぎゅっと掴まれたような感覚に襲われた。

「そんな……まだ、ここでちょっと暴れただけなのに……」

「“ちょっと”の規模ではない」

 ヴァルトが眉をひそめる。

「アークレールの初回起動時の反応は、国境の外れに設置した感知石にも微かに記録されている。  あれを“見逃す”ほど、他国の目は鈍くない」

 頭では分かっていたはずだった。

 兵器は、人を惹きつける。
 力は、争いを呼ぶ。

 でも、それはずっと遠くの世界の話だと思っていた。

 英雄譚の中の出来事。
 歴史の教本に載っている事件。

 それが今、自分の足元から広がっている。

「……私のせいで、また戦争が近づいてくる……?」

 ぽつりと漏れた言葉は、自分で聞いても震えていた。

 ヴァルトの目が、鋭くなる。

「違う」

「でも――」

「“お前のせい”ではない」

 言葉を重ねるように、彼は強く言った。

「戦争は、力があるから起きるんじゃない。  “力を奪いたがる連中”がいるから起きるんだ」

 リーナは、言葉を飲み込んだ。

「アークレールも、防御結界も、お前の修復した装置も。  それ自体は、ただの“可能性”だ」

 ヴァルトの声は低く、だが静かだった。

「それを兵器として振るうか、守るために使うか。  どこの誰が、どういう理屈で握ろうとするか。  戦争の火種は、そこから生まれる」

「でも、その“可能性”を増やしてるの、私で……」

「お前は、捨てられていたものを拾い上げているだけだ」

 その言葉は、マルタとは違う形で、しかし同じ場所を刺してきた。

「捨てたのは、この国の上の連中だ。  古代文明を掘り返しては利用し、便利な部分だけ価値を認めて、残りは“危険だから”“役に立たないから”と放り捨てた」

 ヴァルトの視線は、遠い過去を見ていた。

「他国も同じだ。  兵器を掘り出し、使い方が分からなければ一旦倉庫に押し込み、便利そうなら我先に奪い合う」

 その中で、“拾う”という行為だけが、妙に浮いている。

「お前は、その歪みを、たまたま自分の目と手で拾っているだけだ。  罪人ぶるな」

「……ぶって、ました?」

「ぶっていた」

 即答されて、反論できない。

 リーナは、モップの先を見つめた。

 泥と埃。
 割れた皿。
 歪んだ金属片。

 ここにあるもの全部を、自分が拾ったわけじゃない。
 自分のせいでここに来たわけでもない。

 でも、“見えてしまった”瞬間から、放っておけなくなっている自分がいる。

『怖いなら、怖いと言えばいい』

 アークレールの声が、控えめに響いた。

(怖いよ)

 心の中で、素直に答える。

(このまま、私の周りに争いごとが増えていくのが。  誰かが、私を奪い合うために傷つくのが)

『お前を奪い合う者同士が傷つけ合うのは、自業自得だ』

(言い方ァ……)

 思わず苦笑したくなる。

 でも、その無神経さが、少しだけ胸の重さを軽くしてくれた。

『お前のせいで世界が歪むのではない。  世界が歪んでいるから、お前の立っている場所が揺れる』

 難しい言い回しなのに、意外とすっと入ってくる。

(だからって、“揺れてるのが当たり前です”って言われても、怖いものは怖いんだよ……)

『なら、揺れても立っていられるよう足場を固めろ』

(足場?)

『ここはお前の“城”だろう』

 ゴミ山を包む防御結界。
 ゴミ山の主――なんて呼ばれ方をしてしまった場所。

 それを、“足場”と言うには心許ないかもしれない。

 でも、何もないよりマシだ。

「……ヴァルト」

 自然と、名前を呼ぶ声が少しだけ真剣になる。

「私を守るために増やした警備が、他の人を危険に晒すことはありますか」

「ないとは言わない」

 ヴァルトの返答は、ひどく正直だった。

「警備を厚くすれば、その分、外に割ける人手は減る。  城壁の別の部分が手薄になるかもしれない」

 リーナの表情が曇る。

「だが」

 ヴァルトは、視線を彼女に戻す。

「お前の身柄を奪われれば、その瞬間に“戦争の火種”は城内から外へ飛び出す。  守るべきものが増えた分だけ、守る線も増やさなければならない」

「……守る、線」

「ああ」

 彼は静かに頷いた。

「お前が“捨てられたものを拾う”と宣言したように、俺は“戦場で子どもを兵器として扱われるのを二度と見たくない”と決めた。  そのために、今この城を守っている」

 その言葉に、嘘はなかった。

 リーナは、胸の奥の黒い渦が、ほんの少しだけ形を変えるのを感じた。

 怖さは消えない。
 でも、その隣に“頼れるもの”が生まれた感覚。

「……じゃあ、私も、やれることやります」

「やれること?」

「ここで、いつも通り掃除して。  拾えるもの、全部拾い上げて。  あとは――」

 モップの柄を握る手に、少しだけ力を込める。

「“連れ去られないように”踏ん張ります」

 それは、冗談半分にも聞こえるし、本気半分にも聞こえる言葉だった。

 ヴァルトの目が、わずかに笑う。

「そうしてくれ」

    ◇

 その会話の数日後。

 城の外れの塔の上で、ひとつの影が夜を見下ろしていた。

 シグル・ハーヴェイ。

 彼は、警備兵の制服を借りた偽装のまま、城壁の影に身を溶かしている。

 遠くに見える裏庭。
 その奥に、ぼんやりとした光の揺らめき。

「……結界、か」

 低く呟いた。

 ゴミ山を包む防御結界。
 魔力の揺らぎが、外からでもかすかに感じ取れる。

「面白い」

 シグルの口元が、ゆっくりと歪む。

「“城のゴミ置き場”に、自前の城壁を築いたか。  掃除婦にしては、随分と大それた真似をする」

 横に控える部下が、緊張した声を出した。

「シグル様、結界があるとなると、直接侵入は――」

「問題ない」

 シグルは、あっさりと言い捨てる。

「防御結界は、外部の攻撃には強いが、内側から開ける者には弱い。  城の警備網も同じだ」

 薄暗い夜の中で、彼の金灰色の目だけが鋭く光る。

「中から扉を開けてくれる“鍵”さえ手に入れれば、どんな城壁も無意味になる」

 それは、かつて彼が古代遺跡で学んだことでもあった。

 巨大な石扉。
 いくら外から魔法をぶつけてもびくともしなかった扉が、“選ばれた鍵”の接触ひとつであっさりと開いた瞬間。

 人の心も、組織も、結界も、だいたい似たようなものだ。

「リーナ・フィオレ」

 名前を、夜風に預けるように呟く。

「君は、どれだけ自分の足場を固めようとしている?  どれだけ、“ここが自分の城だ”と言い張ろうとしている?」

 その意地を、簡単にへし折るつもりはない。

 むしろ、それを保ったまま、別の場所に連れ出す方が美しい。

「誘拐なんて、乱暴な言葉は好きじゃないが」

 口元に冷たい笑みを湛えながら、シグルは夜の王都を見下ろした。

「“保護”と“救出”の境界線なんて、誰が引く?」

 その問いかけに答える者はいない。

 ただ、夜風だけが、城壁を撫でて過ぎていく。

    ◇

 ゴミ山の最奥で、リーナは眠れぬ夜を過ごしていた。

 防御結界の内側。
 古い木箱に腰掛けて、アークレールを膝の上に置いている。

 明かりはランタンひとつ。
 薄い布越しに揺れる炎が、狭い空間にオレンジの影を作る。

「……眠れません」

『知っている』

「返事が早い」

『お前の魔力が落ち着いていない。眠れようはずがない』

 心臓の鼓動が、結界の膜に反響しているみたいだ。

 まぶたを閉じれば、“誰かの足音”の幻聴が聞こえる。
 廊下を走る音。
 鉄の匂い。
 昔読んだ戦記物の一節。

「私のせいで、戦争が来るかもって考えると、吐きそうで」

『お前のせいではない』

「でも、私が鍵じゃなかったら――」

『別の鍵が探されただけだ』

 アークレールの声は冷たい。
 でも、その冷たさは、なぜか心地いい。

『お前がいなくても、世界は争う。  古代兵器がなければ、別の刃を研ぐ』

「慰めてるんですか、それ」

『事実を述べている』

 きっぱりとした言い方に、思わず笑いそうになる。

「でも、私がここにいるから、ここに争いが寄ってくるのも事実で……」

『それも事実だな』

「否定しないんだ……」

『事実を歪めるな。“怖い”と“自分を責める”は別の感情だ』

 言葉が、胸の奥にずしんと落ちた。

 自分でも、そこをごちゃまぜにしていたことに気づく。

「……怖いの、悪いことじゃないですか?」

『怖いから、守りを固める。  怖いから、足場を選ぶ。  怖いから、人を頼る。  全部、生きるために必要な反応だ』

 アークレールは、静かに続けた。

『怖いのに、“怖くないふり”をする方が、危険だ』

「……それは、そうかも」

 工房時代。
 怖かった。
 自分の感覚が否定されるのも、事故の気配を感じながら何もできないのも。

 でも、「怖い」と口にした瞬間、“問題児”というラベルを貼られる気がして、黙り込んだ。

 その結果が、あの日の事故だ。

「今は、“怖いです”って言ったら、ちゃんと聞いてくれる人がいて」

 マルタ。
 ヴァルト。
 アークレール。

 思い浮かぶ顔に、自分でも驚く。

「だから、まだマシですね」

『そうだな』

 剣の波長が、静かに頷いた気配がした。

「……それでも、誰かが私を狙って来るんだったら」

 ランタンの火を見つめながら、リーナはぽつりと呟いた。

「その時は、ちゃんと怒っていいですか」

『当然だ』

 即答。

『お前は“ここは自分の城だ”と言った。  城を踏みにじられたら、怒る権利がある』

「掃除婦の城ですけどね」

『ゴミ山の主の城だ』

 ぽん、と肩を叩かれたような感覚がした。

 胸の黒い渦は、まだ完全には消えない。
 でも、その中心に、小さな白い芯のようなものが生まれつつある。

 恐怖の真ん中で、意地のように立っている芯。

(私のせいで、とか)

(私が悪いから、とか)

 そうやって全部自分一人で背負い込もうとしていた癖を、少しずつ手放していく。

 代わりに――

「“ここを荒らしたら、許さないからね”って、ちゃんと思えるようになりたいです」

 小さく、でもはっきりと口にしてみた。

 アークレールが、刃の奥でかすかに笑ったような気配を見せる。

『それでいい』

 夜は、まだ深い。

 他国からの影も、誘拐計画も、リーナ自身はまだ具体的には知らない。

 ただ、城の警備が強化され、視線が増え、空気が重くなっていることだけは、肌で感じている。

 戦争の足音は、きっともう近くまで来ている。

 それでも、ゴミ山の最奥で、掃除婦はモップと古代兵器を抱きながら、震える膝で自分の立ち位置を確かめていた。

 ――ここは、捨てられたものたちの城。

 ――そして、自分の城。

 その宣言が、やがて他国から伸びてくる黒い手とぶつかり合う日を、この時のリーナはまだ知らない。
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