1 / 20
第1話 雨に溶けた名前
しおりを挟む
雨は、都会のネオンを薄い絵の具みたいに溶かして、道路に広げていた。
水たまりに滲む赤や青が、ぐにゃりと揺れて、まるで世界そのものが酔っているみたいに見える。
佐倉真凛(さくら まりん)、二十六歳。
終電ひとつ手前の電車を降りて、駅前の雑踏を避けるように細い道へ曲がる。革靴の底が濡れたアスファルトを「ぺちゃ」と鳴らすたび、疲労が足首から背中へ這い上がってくる。
スマホの画面は、さっきから一度も光らない。
通知ゼロ。
別に珍しいことじゃない。むしろ、通常運転だ。
――私って、何のために生きてんだろ。
頭に浮かんだ言葉を、真凛はすぐに飲み込んだ。
飲み込むのは慣れている。
泣き言も、怒りも、期待も、全部。
だって、出したところで誰も拾わないから。
会社の飲み会で、また言われた。
あの、軽いノリのやつ。本人は冗談のつもりで、でも笑ってる人の数だけ確実に刺さるやつ。
「真凛ってさ、彼氏いない歴=年齢? ウケる~」
「ちょ、やめなよ~、でも真凛ってガード固そうだもんね」
「え、固いとかじゃなくて、そもそも興味なさそう」
興味がないわけじゃない。
でも、興味を持つ前に「お前は違う」って言われ続けたら、心は自然と引きこもる。
恋愛ドラマの主役がスポットライトを浴びる横で、真凛はいつも暗い舞台袖に立っていた。
台本に名前もないまま、「空気」として。
飲み会の席で、ビールの泡がはじける音だけがやけに鮮明だった。
笑い声は遠くて、透明な壁の向こうから聞こえるみたいで。
自分も一応、笑った。口角だけを上げて。
呼吸が浅くなるのを、悟られないように。
……喪女。地味。華がない。
言葉はナイフみたいに鋭利じゃない。
鈍い。湿ってる。
濡れた布を顔に押しつけられて、息を奪われていく感じ。
すぐには死なない。ただ、じわじわ苦しい。
真凛は傘を握る手に力を入れた。
指先が冷たい。
雨の粒は細かくて、コートの肩にふわっと乗ったと思ったら、すぐ染み込んでいく。
「お疲れさまー。今日はマジ助かった、真凛」
帰り際、同期の沙耶が言った。
目が合った瞬間、真凛は反射的に笑った。
「うん、大丈夫」
「ほんと? 顔、死んでるよ」
「いつもこんなだよ」
「やめてよ、そういう自虐。……ねえ、今度さ、合コン来ない?」
「……私、行っても人数合わせでしょ」
「そんなことないって!」
「あるよ。あるから、言えるんだよ」
沙耶は言葉に詰まって、箸を置いた。
真凛はその沈黙を「答え」だと受け取る。
みんな悪気がないのは知ってる。
悪気がないからこそ、余計に救いがない。
真凛は、昔からこうだった。
中学の頃、クラスの女子の輪の中で、いつも二歩下がっていた。
誰かの好きな人の相談を聞く役。
誰かが告白される瞬間の目撃者。
自分のことは話さない。話すほどの話題がないから。
高校で一度だけ、好きになった人がいた。
同じ図書委員で、静かに本を戻す手が綺麗だった。
勇気を出して「放課後、一緒に帰らない?」って聞いたら、彼は困ったように笑って言った。
「ごめん。そういうの、佐倉さんじゃないと思う」
その時の胸の痛さを、真凛は今でも覚えている。
恥ずかしいとか、ショックとか、そういう単語じゃ足りない。
自分の存在そのものが、カテゴリー外だって言われた感じ。
“対象外”って、言葉にすると軽いのに、実際は骨が抜ける。
大学でも、社会人になっても、結局同じ。
地味は地味のまま。
変わる機会なんて、どこにも落ちていなかった。
歩道橋の階段が見えてくる。
駅と自宅を結ぶいつものルート。
雨の日は階段が滑るから、手すりを持ったほうがいい――頭ではわかってるのに、今日は手すりがやけに遠く見えた。
スマホがようやく震えた。
画面に浮かんだのは、母からのメッセージ。
『今週末、顔見せに来なさい。従姉の結婚式の話もあるし。
真凛も、いい人いないの? みんな心配してるよ』
心配。
それはきっと、優しさの形なんだろう。
でも真凛には、鎖みたいに重かった。
“みんな”の期待という名の重石が、胸の上に乗る。
――いい人。
そんなの、どこにいるの。
私のことを、ちゃんと見てくれる人なんて。
真凛は傘を少し傾けた。
雨粒が頬に触れて、冷たさが心臓まで届く。
息を吸うと、濡れた空気が肺の奥に沈んでいく。
歩道橋の上は風が強い。
車のライトが水膜に反射して、白い筋が走る。
真凛はぼんやりと、その光の流れを眺めた。
「……私の人生、誰の記憶にも残らないまま終わるんだ」
声に出したわけじゃない。
でも頭の中では、はっきりと響いた。
今まで幾度となく思ったこと。
ただ今日は、その言葉が妙に現実味を帯びていた。
足を踏み出した瞬間、靴底が水を噛んだ。
ぐにゃ、と嫌な感触。
世界が一瞬、止まる。
「あ――」
声になりかけた音は、雨に食われた。
体がふわりと浮く。
重力が一拍遅れて追いついてくる。
手すりを掴もうとして、指が空を切った。
傘の骨が「バキッ」と折れる音が耳元で鳴り、視界の端で黒い布がひらめく。
風が、まるで背中を押すみたいに冷たい。
落ちる。
その瞬間に頭をよぎったのは、走馬灯みたいな派手な映像じゃなかった。
ただ、薄い蛍光灯のオフィス。
誰かの笑い声。
聞き役の自分。
そして、いつも最後に残る、空っぽの帰り道。
――私、最後まで“いないもの”だったな。
アスファルトが迫ってくる。
雨粒が目に入って、視界が滲む。
衝撃の直前、真凛は不思議と怖くなかった。
怖いより、寂しいより、悔しいより、もっと鈍い感情。
「ああ……」
骨の折れる音がした。
自分のものなのか、傘なのか、世界なのか、わからない。
冷たい水が髪を濡らし、首筋を伝って背中に落ちる。
痛みは一瞬だけ鋭くて、すぐに遠ざかった。
誰かが叫んだ気がする。
車のブレーキ音が、雨に引き裂かれて聞こえる。
でも、それらはすべて、別の世界の音みたいだった。
息をしようとして、肺がうまく動かない。
喉の奥がぬるい。
雨は相変わらず降っていて、真凛の頬を叩き、まつげに溜まり、視界を曇らせる。
スマホがどこかで鳴っていた。
通知音が、やけに軽くて遠い。
――ねえ、私の名前って、ちゃんと誰かに呼ばれたこと、あったっけ。
母は呼ぶ。上司も呼ぶ。
でも、それは“仕事の真凛”で、“娘の真凛”で、
“誰かの特別な真凛”じゃない。
雨の匂いが強くなる。
土の匂いじゃなくて、コンクリートと排気ガスが混じった都会の雨の匂い。
冷たくて、薄くて、どこか寂しい匂い。
視界がゆっくり黒く染まっていく。
ネオンが滲み、ライトがぼやけ、輪郭が消える。
最後に残った感覚は、名前だった。
佐倉真凛。
口に出すこともなく、胸の内で転がしてきた自分の証。
でも、その名前も、雨の中に溶けていった。
誰の記憶にも残らないまま、静かに、静かに。
水たまりに滲む赤や青が、ぐにゃりと揺れて、まるで世界そのものが酔っているみたいに見える。
佐倉真凛(さくら まりん)、二十六歳。
終電ひとつ手前の電車を降りて、駅前の雑踏を避けるように細い道へ曲がる。革靴の底が濡れたアスファルトを「ぺちゃ」と鳴らすたび、疲労が足首から背中へ這い上がってくる。
スマホの画面は、さっきから一度も光らない。
通知ゼロ。
別に珍しいことじゃない。むしろ、通常運転だ。
――私って、何のために生きてんだろ。
頭に浮かんだ言葉を、真凛はすぐに飲み込んだ。
飲み込むのは慣れている。
泣き言も、怒りも、期待も、全部。
だって、出したところで誰も拾わないから。
会社の飲み会で、また言われた。
あの、軽いノリのやつ。本人は冗談のつもりで、でも笑ってる人の数だけ確実に刺さるやつ。
「真凛ってさ、彼氏いない歴=年齢? ウケる~」
「ちょ、やめなよ~、でも真凛ってガード固そうだもんね」
「え、固いとかじゃなくて、そもそも興味なさそう」
興味がないわけじゃない。
でも、興味を持つ前に「お前は違う」って言われ続けたら、心は自然と引きこもる。
恋愛ドラマの主役がスポットライトを浴びる横で、真凛はいつも暗い舞台袖に立っていた。
台本に名前もないまま、「空気」として。
飲み会の席で、ビールの泡がはじける音だけがやけに鮮明だった。
笑い声は遠くて、透明な壁の向こうから聞こえるみたいで。
自分も一応、笑った。口角だけを上げて。
呼吸が浅くなるのを、悟られないように。
……喪女。地味。華がない。
言葉はナイフみたいに鋭利じゃない。
鈍い。湿ってる。
濡れた布を顔に押しつけられて、息を奪われていく感じ。
すぐには死なない。ただ、じわじわ苦しい。
真凛は傘を握る手に力を入れた。
指先が冷たい。
雨の粒は細かくて、コートの肩にふわっと乗ったと思ったら、すぐ染み込んでいく。
「お疲れさまー。今日はマジ助かった、真凛」
帰り際、同期の沙耶が言った。
目が合った瞬間、真凛は反射的に笑った。
「うん、大丈夫」
「ほんと? 顔、死んでるよ」
「いつもこんなだよ」
「やめてよ、そういう自虐。……ねえ、今度さ、合コン来ない?」
「……私、行っても人数合わせでしょ」
「そんなことないって!」
「あるよ。あるから、言えるんだよ」
沙耶は言葉に詰まって、箸を置いた。
真凛はその沈黙を「答え」だと受け取る。
みんな悪気がないのは知ってる。
悪気がないからこそ、余計に救いがない。
真凛は、昔からこうだった。
中学の頃、クラスの女子の輪の中で、いつも二歩下がっていた。
誰かの好きな人の相談を聞く役。
誰かが告白される瞬間の目撃者。
自分のことは話さない。話すほどの話題がないから。
高校で一度だけ、好きになった人がいた。
同じ図書委員で、静かに本を戻す手が綺麗だった。
勇気を出して「放課後、一緒に帰らない?」って聞いたら、彼は困ったように笑って言った。
「ごめん。そういうの、佐倉さんじゃないと思う」
その時の胸の痛さを、真凛は今でも覚えている。
恥ずかしいとか、ショックとか、そういう単語じゃ足りない。
自分の存在そのものが、カテゴリー外だって言われた感じ。
“対象外”って、言葉にすると軽いのに、実際は骨が抜ける。
大学でも、社会人になっても、結局同じ。
地味は地味のまま。
変わる機会なんて、どこにも落ちていなかった。
歩道橋の階段が見えてくる。
駅と自宅を結ぶいつものルート。
雨の日は階段が滑るから、手すりを持ったほうがいい――頭ではわかってるのに、今日は手すりがやけに遠く見えた。
スマホがようやく震えた。
画面に浮かんだのは、母からのメッセージ。
『今週末、顔見せに来なさい。従姉の結婚式の話もあるし。
真凛も、いい人いないの? みんな心配してるよ』
心配。
それはきっと、優しさの形なんだろう。
でも真凛には、鎖みたいに重かった。
“みんな”の期待という名の重石が、胸の上に乗る。
――いい人。
そんなの、どこにいるの。
私のことを、ちゃんと見てくれる人なんて。
真凛は傘を少し傾けた。
雨粒が頬に触れて、冷たさが心臓まで届く。
息を吸うと、濡れた空気が肺の奥に沈んでいく。
歩道橋の上は風が強い。
車のライトが水膜に反射して、白い筋が走る。
真凛はぼんやりと、その光の流れを眺めた。
「……私の人生、誰の記憶にも残らないまま終わるんだ」
声に出したわけじゃない。
でも頭の中では、はっきりと響いた。
今まで幾度となく思ったこと。
ただ今日は、その言葉が妙に現実味を帯びていた。
足を踏み出した瞬間、靴底が水を噛んだ。
ぐにゃ、と嫌な感触。
世界が一瞬、止まる。
「あ――」
声になりかけた音は、雨に食われた。
体がふわりと浮く。
重力が一拍遅れて追いついてくる。
手すりを掴もうとして、指が空を切った。
傘の骨が「バキッ」と折れる音が耳元で鳴り、視界の端で黒い布がひらめく。
風が、まるで背中を押すみたいに冷たい。
落ちる。
その瞬間に頭をよぎったのは、走馬灯みたいな派手な映像じゃなかった。
ただ、薄い蛍光灯のオフィス。
誰かの笑い声。
聞き役の自分。
そして、いつも最後に残る、空っぽの帰り道。
――私、最後まで“いないもの”だったな。
アスファルトが迫ってくる。
雨粒が目に入って、視界が滲む。
衝撃の直前、真凛は不思議と怖くなかった。
怖いより、寂しいより、悔しいより、もっと鈍い感情。
「ああ……」
骨の折れる音がした。
自分のものなのか、傘なのか、世界なのか、わからない。
冷たい水が髪を濡らし、首筋を伝って背中に落ちる。
痛みは一瞬だけ鋭くて、すぐに遠ざかった。
誰かが叫んだ気がする。
車のブレーキ音が、雨に引き裂かれて聞こえる。
でも、それらはすべて、別の世界の音みたいだった。
息をしようとして、肺がうまく動かない。
喉の奥がぬるい。
雨は相変わらず降っていて、真凛の頬を叩き、まつげに溜まり、視界を曇らせる。
スマホがどこかで鳴っていた。
通知音が、やけに軽くて遠い。
――ねえ、私の名前って、ちゃんと誰かに呼ばれたこと、あったっけ。
母は呼ぶ。上司も呼ぶ。
でも、それは“仕事の真凛”で、“娘の真凛”で、
“誰かの特別な真凛”じゃない。
雨の匂いが強くなる。
土の匂いじゃなくて、コンクリートと排気ガスが混じった都会の雨の匂い。
冷たくて、薄くて、どこか寂しい匂い。
視界がゆっくり黒く染まっていく。
ネオンが滲み、ライトがぼやけ、輪郭が消える。
最後に残った感覚は、名前だった。
佐倉真凛。
口に出すこともなく、胸の内で転がしてきた自分の証。
でも、その名前も、雨の中に溶けていった。
誰の記憶にも残らないまま、静かに、静かに。
21
あなたにおすすめの小説
【完結】離縁王妃アデリアは故郷で聖姫と崇められています ~冤罪で捨てられた王妃、地元に戻ったら領民に愛され「聖姫」と呼ばれていました~
猫燕
恋愛
「――そなたとの婚姻を破棄する。即刻、王宮を去れ」
王妃としての5年間、私はただ国を支えていただけだった。
王妃アデリアは、側妃ラウラの嘘と王の独断により、「毒を盛った」という冤罪で突然の離縁を言い渡された。「ただちに城を去れ」と宣告されたアデリアは静かに王宮を去り、生まれ故郷・ターヴァへと向かう。
しかし、領地の国境を越えた彼女を待っていたのは、驚くべき光景だった。
迎えに来たのは何百もの領民、兄、彼女の帰還に歓喜する侍女たち。
かつて王宮で軽んじられ続けたアデリアの政策は、故郷では“奇跡”として受け継がれ、領地を繁栄へ導いていたのだ。実際は薬学・医療・農政・内政の天才で、治癒魔法まで操る超有能王妃だった。
故郷の温かさに癒やされ、彼女の有能さが改めて証明されると、その評判は瞬く間に近隣諸国へ広がり──
“冷徹の皇帝”と恐れられる隣国の若き皇帝・カリオンが現れる。
皇帝は彼女の才覚と優しさに心を奪われ、「私はあなたを守りたい」と静かに誓う。
冷徹と恐れられる彼が、なぜかターヴァ領に何度も通うようになり――「君の価値を、誰よりも私が知っている」「アデリア・ターヴァ。君の全てを、私のものにしたい」
一方その頃――アデリアを失った王国は急速に荒れ、疫病、飢饉、魔物被害が連鎖し、内政は崩壊。国王はようやく“失ったものの価値”を理解し始めるが、もう遅い。
追放された王妃は、故郷で神と崇められ、最強の溺愛皇帝に娶られる!「あなたが望むなら、帝国も全部君のものだ」――これは、誰からも理解されなかった“本物の聖女”が、
ようやく正当に愛され、報われる物語。
※「小説家になろう」にも投稿しています
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。
紺
ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」
実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて……
「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」
信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。
微ざまぁあり。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる