喪女だった私が異世界転生した途端に地味枠を脱却して逆転恋愛

タマ マコト

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第7話 クラスメイトの笑顔の裏

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 朝の廊下は、いつもより騒がしかった。
 鐘が鳴る前の時間帯、制服の裾が揺れ、紙束の音がして、誰かの笑い声が跳ねる。
 それはいつもの学園の音のはずなのに、今日はやけに自分の方へ寄ってくる気がした。

 リーナが教室へ入った瞬間、空気が「ふっ」と軽くなる。
 そして次の瞬間、「ざわっ」と揺れる。
 まるで、自分の足元に見えない波紋が広がったみたいに。

 ――あれ。
 私、今……見られてる?

「おはよ、リーナ」
 ミナが席から身を乗り出して、いつもよりニヤニヤした顔で手を振った。
「……おはよう。何その顔」
「え? 普通だけど?」
「普通じゃない。悪だくみしてる顔」
「ひどっ。まあ、悪だくみっていうか……ねえ、聞いた?」

 リーナはカバンを置きながら、嫌な予感が胸に浮かぶのを感じた。
 この感じ、前世にもあった。
 誰かが誰かの噂をして、無関係なふりをしているのに、実は全員が関係者になるあの感じ。

「何を」
「リーナとカイ様、付き合ってるって噂」
「……は?」

 思わず声が裏返った。
 ミナが肩を揺らして笑う。

「ほら出た。『は?』って。そういう反応するから余計に怪しい」
「待って。待って待って。付き合ってない」
「でも放課後、二人で訓練場にいたでしょ?」
「いたけど、技術の話してただけ」
「技術の話って、何? 口実?」
「口実じゃない。ガチの技術の話。罠術式と誘導の連携」
「……それを放課後二人きりで?」
「二人きりっていうか、訓練場は広いし……」
「広いとかじゃなくて、二人きりは二人きりでしょ」

 ミナの目がきらきらしている。
 恋バナの香りを嗅ぎつけた女子の目。
 前世で幾度となく見た、あの目。

 だけど――向けられているのが自分だという事実が、理解に追いつかない。

「え、いや、だって。私だよ?」
「何その言い方」
「だって、私って……そういう枠じゃなくない?」
 言ってから、リーナは自分の言葉に傷ついた。
 “そういう枠じゃない”。
 前世の真凛が、何度も自分に言い聞かせた諦めの呪文。

 ミナは眉をひそめた。
「枠ってなに。リーナはリーナでしょ」
「……」
「それにさ、カイ様って、誰にも興味なさそうじゃん? なのにリーナには話しかけてたって」
「話しかけてたっていうか……質問されただけ」
「質問でも、話しかけてるじゃん」
「それは……そうだけど」

 教室のあちこちで、ささやき声が立ち上がる。
 リーナの名前。
 カイ・ルヴェインの名前。
 その二つが同じ文の中で使われる違和感に、リーナの脳が追いつかない。

 前世では、噂は常に“他人のもの”だった。
 誰かが誰かを好きで、誰かが誰かと別れて、誰かが結婚する。
 真凛はその横で相槌を打つだけ。
 「えー」「やば」「それはつらいね」
 感情を貸し出して、帰る頃には空っぽ。

 でも今は、噂の中心が自分。
 呼吸の仕方が分からない。

 リーナは席に座り、机の木目を見つめた。
 心臓が無駄に速い。
 胃のあたりが、落ち着かない。

「リーナ」
 後ろの席の男子が声をかけてきた。
 名前はルーク。真面目で目立たないタイプ。
 前なら、こういうタイプとなら話せたはずなのに、今日は喉が詰まる。

「……なに」
「その、ルヴェインと……えっと……」
 ルークが言葉を探している間にも、周囲の耳がこっちへ寄ってくるのが分かる。
 リーナは首を振った。

「付き合ってない。技術の話」
「そ、そうか」
 ルークはほっとしたような、残念そうな顔をして、視線を逸らした。
 その反応がまた、分からない。

 ――ほっとしたって、何。
 ――残念って、何。

 リーナの脳内は混線していた。
 自分が“誰かの恋愛候補”として噂されるなんて、前世では一度もなかった。
 だから、処理できない。
 期待される怖さ。
 見られる怖さ。
 でも、ほんの少しだけ、胸の奥が温かい怖さ。

 ――私、今、存在してる。

 その事実が、怖いのに嬉しい。
 嬉しいのに怖い。
 矛盾がぐるぐる回って、まともな顔ができない。

 授業が始まっても、視線は消えなかった。
 教師の声が黒板に響く中、リーナの背中にささやきが刺さる。

「ねえ、あの噂ほんとかな」
「リーナが? ルヴェイン様と?」
「意外すぎて逆に気になる」
「罠魔法の子だよね」
「そうそう、陰湿って言われてた……」

 陰湿。
 その単語が、胸の中の空気を冷たくする。
 嬉しさの中に、ちゃんと毒も混ざっている。
 学園の噂は、必ずそうだ。
 甘さの中に、必ず針がある。

 昼休み。
 リーナはいつものように食堂の端の席を取ろうとした。
 目立つ場所は疲れる。
 壁際は落ち着く。
 そういう習性がまだ抜けない。

 でも今日は、壁際へ向かう途中で声をかけられた。

「リーナさん、一緒に食べません?」
 見知らぬ女生徒が、少し緊張した顔で立っていた。
 隣には友達らしい子が二人。

「……私?」
「はい。えっと、その……罠魔法、すごかったから……」
「……」
 リーナは一瞬言葉を失った。
 すごい。
 それは、今まで自分に向けられたことのない種類の言葉だった。

「いいよ」
 リーナが頷くと、三人は嬉しそうに席を空けてくれた。
 そこへミナが乗り込んでくる。

「ねえねえ、今日のリーナ、人気者じゃん」
「やめて……」
「でもさ、正直、噂の影響もあるよね」
「……そうだね」

 リーナはスープを一口飲んだ。
 温かいのに、喉を通る感覚が曖昧だった。
 複雑すぎる。
 噂で近づかれるのは怖い。
 でも、近づかれないよりずっと……胸が揺れる。

 そして、その揺れはすぐ現実に引き戻される。

 食堂の入り口がざわめいた。
 香水の匂いがふわりと広がる。
 中心の空気が移動してくるのが分かる。

 カリナ・ヴァレリウス。
 太陽が入ってきた。

 彼女は取り巻きを従え、堂々と歩く。
 視線が集まり、空気が一段明るくなる。
 その光の中で、リーナがいる席へ視線が引っかかった。

 カリナは、余裕の笑みを浮かべたまま近づいてくる。
 笑顔が綺麗だからこそ、近づくほど怖い。

「まあ。リーナじゃない」
 甘い声。
 でも、甘いだけじゃない。
 砂糖に混じる、苦い後味。

「こんにちは、カリナ」
 リーナは立ち上がらなかった。
 立ち上がると、負ける気がした。
 前世の私は、こういう時いつも立ってしまっていた。
 媚びるつもりじゃなくても、体が勝手に。

 でも今は違う。
 座ったまま、目を合わせる。

 カリナは目を細めた。
「最近、楽しそうね。ルヴェイン様とお勉強?」
 取り巻きがくすくす笑う。

「勉強って言い方、かわいい~」
「ルヴェイン様、地味好きなのかな」
「ねえ、罠の子だよね? 陰湿だって言われてたのに~」

 笑い声が、軽い。
 軽いのに、刺さる。
 胸が一瞬だけ痛んだ。
 痛いのに、前みたいに沈まない。
 沈まないのは――たぶん、もう“自分の価値”を自分で決め始めたから。

 カリナが、テーブルの端に指を置く。
 その指輪が光る。

「罠なんて、正面から戦えない人の魔法よね」
 余裕の笑み。
 太陽の言葉。
 でも、その余裕が本物かどうか、リーナには分かってしまう。

 ――揺れてる。
 ほんの少しだけ。

 リーナは、息を吸った。
 前世の自分なら、笑って誤魔化して、謝って、引いていた。
 「そうだよね、ごめん」って。
 その方が楽だから。
 でも、その楽は、後で自分を削る。

 だから、言う。
 震えてもいい。
 恥ずかしくてもいい。
 逃げない。

「勝つための方法を選んでいるだけです」
 声は少し震えた。
 喉が乾き、心臓がうるさい。
 それでも言い切った。

 カリナの瞳が、一瞬だけ揺れた。
 焦りの色。
 太陽が雲を見つけた瞬間の影。

「……勝つため?」
「はい。戦いに綺麗も汚いもない。目的に合った手段があるだけ」
 リーナは続けた。
「正面から勝てる人が正面を選ぶなら、私は私の勝ち筋を選びます」

 食堂の空気が止まった。
 取り巻きの笑い声が途切れる。
 さっきまで薄い笑いで刺していた彼女たちが、言葉を探している。

 カリナは笑顔を保ったまま、ほんの少しだけ頬が引きつった。
 それが、リーナには見えてしまう。

「……ふふ。言うじゃない」
 カリナは笑う。
 笑うけれど、目は笑っていない。
「でもね、リーナ。勝ち筋って、選べば勝てるものじゃないのよ」
「……選ばないと、始まらないです」
 リーナは答えた。

 カリナの指がテーブルを軽く叩いた。
 カン、という小さな音。
 その音が、なぜか宣戦布告みたいに聞こえた。

「そう。じゃあ、せいぜい頑張って」
 カリナは優雅に背を向ける。
 取り巻きが慌てて続く。

 去り際、取り巻きの一人が振り返って、薄く笑った。
「地味が調子に乗ると、後で恥かくよ?」

 リーナは何も言わなかった。
 言い返す言葉はあった。
 でも、今は言わなくていい。
 結果で黙らせる方が早い。

 カリナたちが去った後、ミナが目を丸くしてリーナを見た。

「リーナ……今の、強くない?」
「震えてたけどね」
「震えてても言い返したの、すごい」
「……前世の私なら無理だった」
「前世?」
「ううん。なんでもない」

 リーナはスープをもう一口飲んだ。
 やっと温かさが喉を通るのが分かった。

 周囲の視線が、少し変わっている。
 同情じゃない。
 興味でもない。
 “見直した”みたいな温度。

 リーナは、その温度にまだ慣れない。
 慣れないけど、嫌じゃなかった。

 ――私、今までずっと、笑顔の裏に隠れて生きてきた。
 ――でも今は、笑顔の裏を見抜ける。

 笑って刺す人。
 笑って守る人。
 笑って誤魔化す自分。

 この学園は、前世と同じ縮図だ。
 中心に太陽がいて、周囲に花がいて、影ができる。
 でも、その影はもうただの影じゃない。
 影は、地面に罠を刻む。
 静かに、確実に、未来を選ぶ。

 リーナは自分の手を見た。
 指先には、かすかに砂がついている。
 見えない罠を作る指。
 その指で、今度は自分の人生を掴みにいく。

 そして、ふと気づく。
 噂が広がって困惑していたはずなのに、心の奥が、少しだけ軽い。

 ――理解されるって、温かい。
 ――誰かと噂されるって、怖いけど……私は、ちゃんと“ここにいる”。

 その実感が、リーナの背筋を、静かにまっすぐにした。
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