【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん

文字の大きさ
66 / 104

第66話 【閑話】緑川  凄く幸せだ

しおりを挟む


私の名前は緑川…まぁ冴えない高校教師をしていた。

教師としての人気は平均的…可もなく不可もなく。

結婚はしていたが…

「貴方には面白みが無い」

「まだ教頭に成れないの?」

と結婚三か月目から罵倒される毎日が続いていた。

私はそれでも、それなりに妻に尽くしていた。

だが、私は教師なんだ…職業柄生徒を優先しなければならない時が多い。

生徒が補導された。

生徒が喧嘩した。

そういう事が起きれば、休みだろうと夜だろうと行かなくてはならない。

「私より生徒が優先なのね」

妻はそういうが、これが仕事なんだから仕方がない。

私はこれでも頑張っているんだ。

休みの日は君との食事に買い物、どんなに疲れていても一緒にいたじゃないか。

それなのに…

「はぁ、私を抱きたい? 気持ち悪い」

「夫婦だろう…偶には」

「そう言うの良いから…どうしてもと言うなら夫婦だから義務で付き合うから、さっさとすまして」

この時から、夫婦関係は壊れていたんだと思う。

それから暫くして妻が不倫していたのが解かった。

悔しさから慰謝料でも請求してやろうと思ったが…止めた。

不倫相手の横に居る妻は…私が昔愛した妻の顔だった。

結局、慰謝料無しの財産分与無しで別れた。

相手の男はそこそこ金持ちだったのと罪悪感があったのか慰謝料を寄こすと言ったが、過去を否定された様に思えて断った。

「これで今日から他人だな」

「そうね、慰謝料を請求しないでくれてありがとう」

緑色の紙切れ1枚で簡単に夫婦生活が終わった。

それからは…もう私は恋愛は止めた。

教師である事にまい進した。

もう恋愛なんて私はしないだろう…そう思っていた。


◆◆◆

「木崎君、今日も随分稼げたな」

「同じ戦闘職だから効率が悪いかと思っていたけど、結構いけますね、先生」

「いや、もう先生じゃないからな、緑川でいいさ」

「それじゃ緑川さん、今日も山分けで」

私は生徒の木崎君とパーティを統合して、ラバーズファミリーというパーティを組んだ。

一応、私がリーダー 木崎君が副リーダー、構成員にユウナ、ユウ、アルカ、シルカ、イルカが居るが、実質、狩りをするのは私と木崎君だけだ。

最初、木崎君を見つけた時は『道を踏み外した外道』に思えたが違った。

此の世界ではロリコンは問題にならないし、話を聞くと保護に近かった。

何より一緒に居る2人の少女は笑顔で木崎君を見つめていた。

私が何か言う必要は無いだろう。

それまで、私は新しい仲間と共に狩をしていたが…力の差は歴然だった。

しかも、自分に好意を持っている人間を危ない目に合わせたくない。

そんな時、木崎君と会った。

異世界は彼を成長させたのだろう。

まるで別人だった。

私と違い、彼は『恋人』を戦わせない選択をしていた。

これに背を押され私も同じ様にする事にした。

◆◆◆

ギルドで2人で一斉に、オーガを出した。

今日狩ったオーガは実に40を超える。

背中をお互いに任せられるからこその成果だ。

「相変わらず凄いですね、ラバーズファミリーは」

自分でもそう思う。

「それじゃ何時も通り、金貨2枚ずつ貰って残りはパーティ口座で良いですよね」

「そうだね」

二人して同じ宿屋に戻った。

一応、家族をお互いに持つ身…治安のよい表通りを選んでいる。

「それじゃ緑川さん、また明日」

「木崎君、また明日」

此処からはお互いに家族の時間だ。


◆◆◆

「ただいま」

「「「お帰りなさい、貴方」」」

宿に帰ると、アルカ、シルカ、イルカの三人の妻が出迎えてくれる。


私は木崎君を見習って『仲間を戦わせない』道を選んだ。

そして、その結果…結婚という事になった。

此の世界の結婚は、ギルドに届を出してお揃いの指輪をつけるだけだけだ。

私は結構な歳だし…彼女達は私からしたら20代中盤から後半だが寿命が60年のこの世界では結構な歳なのだとか。

ちなみに異世界人は複数婚が許されている。

「貴方、聞いてますか?」

「ああ、ちゃんと聞いているよ」

「今日のご飯は私が作ったんです」

「凄く美味しそうだ」

「それじゃ、ご飯の前にお風呂で汗を流して下さい…お背中流しますね」

「シルカズルいよ」

「それじゃ、お風呂はシルカに譲るから今日の夜の務めは私が貰うね」

「「順番は守って」」

「人生時間は沢山あるんだから、ゆっくりしよう」

「「「はい」」」

「それじゃ、明日は木崎君と話して休みにするから、一緒に買い物にでも行こうか?」

「良いんですか」

「お出かけ、嬉しいな」

「凄く楽しみ」

此処には私が欲しかった物が全てある。

今の私は…凄く幸せだ。








しおりを挟む
感想 48

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

ReBirth 上位世界から下位世界へ

小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは―― ※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。 1~4巻発売中です。

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

処理中です...