勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。

石のやっさん

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第27話 悲しい事があったんだね

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冒険者ギルドの使いが俺の元にきて、急いでカイト達の所に行って欲しいと言われ、仕方なく俺はカイトの宿屋に向かった。

ノックをしたが、出て来ない。

わざわざ呼び出されたのだからいないはずはない。

「カイト~入るぞ!」

ドアノブに手をかけるとドアはあっさりと開いた。

カギは掛かってないようだ。

なんだ……部屋はカーテンが閉まっていて暗い。

ここにはいない。

ちがう…いる。

なんで4人して毛布にくるまっているんだ。

「おい……」

「あっあっ、うわぁぁぁぁぁぁーーっ」

カイトが泣いていた。

横にいるマリア、リタ、リアは体をガタガタ震わせて涙ぐんでいた。

「悲しい事があったんだね……」それしか言えない。

大体の想像はつく、恐らくは『死に直面した』のか『あるいは犯された』のか。

そのどちらかに違いない。

だが、どちらにしてもそれで心が傷ついたに違いない。

「それで、何があったんだ」

「「「「……」」」」

話さないか。

この場合は、話すまで待つしか無いな。

暫く待つと、カイト達はポツリポツリと話し始めた。

要約すると、ゴブリンの洞窟で戦っている時に数十体のゴブリンに囲まれたそうだ。

その中にはゴブリンソルジャーやゴブリンナイト、ゴブリンシャーマンなどの上位種がいて、総攻撃を受けた。

そして……

マリア、リタ、リアは複数のゴブリンによって服を千切られ、暴力を受け組み伏せられ犯される寸前。

そしてカイトはゴブリンナイトに刺され片手を切断され、目の前で犯され掛かっている三人を助ける事が出来なかった。

『助けてーーっ助けてカイト―っ』

『いやぁぁぁぁーーーー助けて』

『カイトーーお願い見ないでーー』

その声を聞きながら、何も出来なかった。

それ処か『死にたくない……助けて』そう無様に叫んでいたそうだ。

四人の話を聞くと、大体こんな感じだった。

この前、俺に言った嘘が本当になった。

そういう事だ。

恐らく、今度は嘘じゃないだろう。

青ざめた顔。

回復はしているが、痣や怪我が薄っすらとある。

だが、おかしい。

「その状況で良く、生きていたな」

どう考えてもその状況なら、カイトは殺されていて今頃ゴブリンの胃袋だ。

他の三人も今頃は苗床でゴブリンに犯されている筈だ。

なのに……此処に居る。

「実はゴブリンハンターが助けてくれたんだ」

「そうか……」

これでわかった。

恐らくゴブリンハンターは国か教会どちらかの依頼でカイト達の監視と手助けを頼まれている。

そうじゃ無ければ2回も連続してカイト達のピンチに出くわす筈がない。

普通に考えてそんな凄腕の集団がこんな場所にいるのもおかしいし、なにより監視者がいなければ、あんな書類が送られてくる筈がない。

だが、これはカイト達に話す必要は無い。

「「「「……」」」」

「本当に大変な目にあったね。だけど助かって良かったじゃないか?」

「それだけかよ!」

「私が危ない目に遭ったのに……なんでよ」

「私がどうなっても良い……そう言うのか?」

「冷たいよ、同じ村の仲間でしょう」

こいつ等、本当に馬鹿だ。

「頑張れよ! それしか言えないな」

「リヒトお前! なんだよそれ! ふざけているのか? この野郎――」

ハァ~ガキもいい所だ。

「お前馬鹿なの?」

「馬鹿だとーー!」

本当に馬鹿だ。

「馬鹿に、馬鹿って言って何が悪い! いいか? お前等は勇者パーティでジョブに恵まれているから、本来はこんな事にならない。だが、冒険者にとってはその位の危機は何時でもあるんだ。お前等だって聞いた事はあるだろう?『冒険者の命は自己責任』毎日のように沢山の冒険者が死に、沢山の女の子が苗床にされていくんだぜ。 冒険者なら子供だって、その覚悟を背負って生きて居るんだ。今更だよ、今更!」

「だが……それだって、言い方があるだろうが!」

「そうよ……」

「なんで、そこ迄言われなくちゃならないの」

「少しは優しく……」

ハァ~

「あのな、お前等は助かって良かったな。だが、お前らが毎日修行をしないで強くならないから……きっと幾つかの村や街で被害が出ていると思うよ! お前等みたいに運よく助かる筈がない。きっともう沢山の人が殺されて、沢山の女が攫われ苗床にされ犯され続けている筈だ! 俺言ったよな? 本気で訓練頑張れって……これは流石に言いたくなかったけど! お前達はもう沢山の人間を見殺しにしているんだよ……なぜ、それが解らないんだ」

「俺は……弱い……」

「馬鹿言うな! お前は超人。勇者という名の超人! 人類最強のジョブ持ちだ! 例えるならドラゴンに生まれたのに鍛えないで成長しないから野良犬に食われそうになっただけだ」

「私は怖いのよ……」

「馬鹿か? 成長した聖女は、死んでいなければ全ての怪我を治す究極の聖人。 そして一度戦いに身を投ずれば死霊の軍団ですら滅ぼす女神の使者だ」

「私は…」

「剣聖だろうが! 剣一本で騎士団5個大隊ですらぶっ倒す。究極の剣士。騎士や戦士、その頂点のジョブを持つ存在だろう」

「そんな事言われても……怖いの」

「馬鹿じゃないの? 練りに練った魔法はその一撃で石垣を瓦解させ、数千の敵を葬る。人類最強の魔法使い、それが賢者だよ」

「リヒトお前なにいっているんだ……」

「あのな、誰も勝てない魔王を倒す! そんなお前達が弱い訳ない! 今言ったのは、伝説だけど、お前達にも同じ事が出来る筈だ。出来ないのはサボって訓練しないからだ。ドラゴンなのに碌に鍛えないから、犬っころに食われそうになっただけだよ! 同情なんてしない……お前達は強い! 弱いなんて言うな! 自分が弱いって言っていい奴は毎日、死ぬ程努力してそれでも力が手に入らなかった奴が初めて言ってよい言葉だ」

「「「「……」」」」

「お前達は弱いんじゃない『ただの怠け者』だ。悔しければ、強くなって人を救えよ……なに悲劇の主人公になっているんだ馬鹿」

「お前、偉そうに! そういうお前は何をしているんだ?」

「「「そうよ、そうよ」」」

「俺は、適当に冒険者をしているよ? だって勇者パーティじゃないからな!」

「だったら偉そうなこと言うな!」

「そうよ、なにもしない癖に」

「何もしないなら文句言わないで」

「ふざけているの?」

「あのな……世の中、権利と義務なわけ。勇者パーティとして破格の待遇を貰っているから、魔物や魔族の討伐、魔王との戦いという義務がある訳だ。俺は国からも教会からも何も貰ってないから義務がない。それだけだよ。 俺と同じになりたいなら簡単だった筈だよ。国も教会も強制はしていなかったんだから『魔王討伐なんてしない』そう断れば良かったんだ。なんなら今からでも断れば良い。支度金からなにから全部返せば、多分怒られるが断れると思う。それが良いなら『魔王討伐出来る実力は無いから辞める。そう言っている』そう報告書に俺から書こうか?」

「いや……それはやめてくれ」

「そこ迄しなくていいわ」

「やめない」

「頑張るからそんな事言わないで」

こいつ等本当に大丈夫なのか?

言葉に重みを全く感じないんだけど……

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