ウサギの牙 いつか狼やトラを殺す素質…

石のやっさん

文字の大きさ
5 / 51

第5話 ただ運が良かっただけだ

しおりを挟む
テレビのモニターは消えた。

あと1時間もすれば、理不尽なハンティングゲームが始まる。

考えろ…少しでも生き残る確率をあげる為に!

『死にたい』そう思っていたが…今は死にたくない。

神代は『生き汚い』そう言っていたが…違う。

同じ『死ぬ』と言っても…自由に成る為に死ぬのと…

誰かに、尊厳を弄ばれ死ぬのは大きく違う。

さっきドアのノブをまわしてみたら、回った。

そうでなくちゃゲームじゃない。

ゲームという名前を付けている以上はある程度の公平性がある筈だ。

何やら泣き喚いている三人を背に部屋を後にした。

ハンターである殺人鬼は2人…別行動で逃げれば、逃げられる確率は上がる。

運が良ければゼロ。

確率の高いのが1人…最悪は2人。

だが、纏まって逃げるよりは確率が高くなる可能性がある…それに…

『道具は限りがある』

まずはフォークやナイフだ。

さっき迄バーベキューで使っていた物がそのままあった。

流石に包丁や串は無くなっていた。

他には…ライター等、使えそうな物は全部持って行く。

なにか着替えは…無いな。

糞っ!

この変態みたいな恰好で逃げなくちゃいけないのか…

今の時点で10分。

少しでも時間を稼ぐ為にもう出た方が良いだろう。

少しでも時間を稼がないといけない…

中ではまだ三人が神代の事を罵っている声が聞こえる。

下手に加わって一緒に『逃げる事』になったら最悪だ。

やるなら1人…昔から仲間なんて居ない。

下手に仲間なんて作っても裏切られる。

昔からそうだ…信頼しても…裏切られる。

僕の人生はずうっとそうだった。

仲間を信じて裏切られる。

此処に来ても同じだ…心からの信頼はしていなかった。

だが、1人で死ぬのが悲しく寂しかった。

誰かに一緒に死んで欲しかった。

それだけだ…

それなのに…これだ。

いつも僕は裏切られてばかりだ…

神代、俺はお前の思う通りにはならない。

例え、死ぬにしても…お前達の思い通りには死なない!

◆◆◆

恐らく、相手は少しでも早く『下に降りる』そう考えて山の下方で構えている可能性が高い。

だから僕は敢えて上に進む…上に進んで、そこから違う方向に進む。

これだけでGPSでも無ければ追えないだろう…

一応チェックしてみるか? 

チョーカーは、簡単に外れた。

案外、神代は公平なのかも知れない。

しかし、本当に自然の多い山だ。

武器になりそうな物は無い。

不法投棄された物も何も見つからない。

幾つか石を手にした。

一応、このバニースーツポケットはあるが小さく小石しか入らない。

無いよりはまし…そう思いポケットに入れた。

がさっ…嘘だろう…

ざざぁぁぁぁぁーーっ…

「うわぁぁ…(駄目だ声を出しちゃいけない)」

草むらを踏んだ瞬間僕は釣り上げられた。

『ヤバい』もう終わりだ。

まさか、くくり罠が仕掛けてあるとは思わなかった。

幸い鈴等、音が出る物は仕掛けられていない。

回りを見るが誰も人は居ない。

『運が良かった』そうとしか思えない。

恐らく、この場所は巡回して回ってくる場所なのだろう。

今は周りには誰も居ないようだ…

良かった。

しかもワイヤーとかではなくロープだ。

僕は持っていたナイフでロープを切り下に落ちた。

高さもそれほどでも無かった。

これは運が良かっただけだ…

これがもし違う罠だったら…

例えばトラバサミだったら、僕の足はダメージを食らい真面に歩けなくなっていた。

落とし穴で下に刺さる物があったら、人生が終わっていたかも知れない。

ただ、ついていただけだ。

より慎重に行動しなければ、そこには死しかない。

今、死ななかったのは『ただ運が良かっただけだ』

気を引き締めて僕は山を登り始めた。


しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...