ウサギの牙 いつか狼やトラを殺す素質…

石のやっさん

文字の大きさ
4 / 51

第4話 ハンティングゲーム

しおりを挟む

一体どうなっているんだ?

頭が凄く痛い…

此処は、どうやら見た感じはさっきの場所のようだ。

僕は…嘘だろう…なんで男なのにバニーガールの様な恰好をさせられているんだ。

周りを見ると皆が騒いでいる。

「私は中年だぞ!この年齢でこの恰好はあんまりだ…ふざけるな!」

「なんで、私…こんな格好なのよ…嘘、この恰好をしているという事は…裸を見られたの…嘘、嫌ぁぁぁぁぁーーー」

「あっ、泰明くん目覚めたんだ…」

大樹さん以外はパニックになっていた。

正直、僕も訳が解らない。

さっきまで、最後の晩餐を過ごしていたら、いきなり眠くなって…バニーガールの姿なんて…しかも、これかなりのハイレグだ。

陽子さんなんて後ろから見ると網タイツ越しだがくっきりとお尻が見える。

「一体何が起きたんでしょうか?」

「解らない、私が知りたい位だ」

「知らないわよ! それより今私のお尻見ていなかった? 変態――っ」

「嫌なら壁を背にして立ってよ…正直僕も解らないんだ…」

「そうですか…そう言えば神代さんは」

「居ない…彼奴が何か仕込んだに違いない」

「そう言えば居ないわ」

「居ないね」

神代さんは一体どこにいったんだろう?

そう思い部屋を見たが、何処にも居ない。

ただ、この部屋、鍵が掛かっていて出られないようされているみたいだ。

暫く待つと急にテレビが付いた。

『幸運なウサギさん達! 君たちは凄くついているよ! これから素晴らしいゲームに参加できるんだからね!』

正直何がなんだか解らないが神代さんがノリノリでテレビに映っていた。

「神代くん、これは一体どう言う事だね、私は君に感謝していたんだが、これはなんの冗談だ」

「なんで私…こんな格好させられているの?」

「ふざけるな! 一体なんのつもりでこんな馬鹿げた事をするんだよ! 僕のスマホと服を返せよ」

怒るのも当たり前だ…これから死のうと思っていた矢先に、これは無い。

『黙れ…弱者のウサギ!』

「「「「ぎゃぁぁぁぁぁーーー」」」」

突然、首に装着されたチョーカーが電気を発し、僕たちは体が痺れた。

テレビに映った神代さん…いや神代の顔を見た瞬間、解ってしまった。

彼は『奪われる側の人間じゃない』『奪う側の人間だ』

これが僕が感じた違和感…そして事情は知らないが僕と同じ弱者だった3人も解ったようだ。

『逆らってはいけない』

それが良く解るから…黙るしか無かった。

「「「「…」」」」

『ふぅ、解っているじゃないか? いいかい?これから死のうという君達に俺から素晴らしいゲームをプレゼントしよう…そういう訳さぁ! 説明が全部終わるまで…喋るなよ!喋ったら殺しちゃうからね』

その目が本当に殺すのだ…そう物語っていた。

『死にたいという君たちに俺からのプレゼントはデスゲームだ!どうだ嬉しいだろう?』

神代は僕たちに話し始めた。

神代が用意したハンター(殺人鬼)が僕達を狩りにくる。

逃げきれたら僕たちの勝ち。

捕まって殺されたら僕たちの負け。

実にシンプルな内容だった。

「何故我々を苦しめるんだ…人生に疲れて此処に来たのに…お前はその私達を更に虐めるのか…」

「そうよ…私達は充分に苦しんだわ…最後位楽に死なせて」

「ふざけんなよ!自殺志願者の僕たちを虐めて楽しいのか?この野郎」

『はぁ、話すなと言ったよな! お前等自殺しに来たんだよな?殺してくれる人間が居るんだ幸せじゃないかよ! もし、死にたいなら、そのまま何もしなければ速やかに殺して貰えるぞ…凄くラッキーだろう! 俺は約束を破って無いよな? だが、大抵の人間はお前達みたいに生き汚ねーんだよ! いざ殺されるとなると、今のお前達みたいに泣き喚くんだ…みっともなくな!だからゲームだ…俺が用意したハンター、まぁ、そこそこ名前が売れている奴だ!そいつとハンティングゲームをして貰う! 範囲はこの山。この山の中から逃げられたらお前らの勝ち…もし逃げられたら…そうだな、今までの事が嘘のような楽しい生活をあげよう…』

「「「…」」」

これはもう『逃げられない理不尽だ』

虐めをやる人間…どんなに『止めて』と言ってもやめてくれない理不尽。

だから、もう…これはやめられない。

神代のあの顔は…人を平気で踏みつけ笑っている。

そう言う奴の顔だ。

僕はテレビに向かって手をあげた。

『なんだい? 他の奴と違って礼儀正しいじゃないか? 命乞い以外であれば聞くよ!』

「もし、僕達が逃げるだけじゃなく、ハンターを返り討ちにしたら、どうなるんですか?」

『あははははっ…それは絶対にないな!だけどもし、そんな番狂わせが起こせたなら、そうだ…お金では絶対に買えない非売品の物をやるよ…ちゃんと話をしないで聞いていた、お前だけの特典だ!勝手に喋った奴にはこれはやらない...これで良いか…それでハンターだが…此奴らだ』

嘘だろう…彼奴らは警察に捕まっている筈だ。

監禁暴君Sに斬り裂きクィーンのKじゃないか?

「冗談は止めてくれ、これは合成だよな!その二人は捕まっている筈だ」

「嘘よね…なんでそんな犯罪者が居るのよ…可笑しいよ」

「どうせ嘘だ…」

その二人は居る筈が無い。

監禁暴君Sは未成年だから正確な名前は解らないが、余りに残酷な事件を起こしたから『死刑囚』になった筈だ。
下は16歳から上は35歳まで強引に家に上がり込み女を犯し続け、飽きると殺して去って行く…強姦魔だ。
しかも、普通では考えられない位残酷で気にいった女を犯す為なら、旦那が居ようが家族が居ようがお構いなしで上がり込み…まずは家族を殺す。
ネットでの噂では家族を殺した状態で3日間女を犯し続け殺した…そんな話もあった。

被害者の数は実に18人。
未成年の犯した犯罪で珍しく残酷な事件として『死刑』になった事件だ。

斬り裂きクィーンKも同じく未成年者だから、名前は解らない。だが、このKは将来はT大学の医学部に入るのは確実と言われていた優秀な女生徒だったが、解剖に魅せられて人間を解剖したくなり、その誘惑に負けて同級生を含む10人以上の人間を切り刻んだ事で有名になった犯罪者だ。確か親は開業している外科医だったが、彼女の事を気に病み自殺した...確か、そんな話だった気がする。
尤も彼女は精神的に問題があると言う事で死刑にはなっていない。
だが、それでもこんな所に居る筈が無い。

『別に信じなくても良いぜ? 死にたいんだよな! 俺が撲殺してやるよ…特にそこの女、ブサイクだけどご無沙汰だから犯してから殺してやるから俺の方に来い』

「ヒィーーっ」

そりゃ悲鳴もあげたくなるよな。

『あはははっSって惨いよね! 楽に死にたければ私の方に来なよ!頸動脈を一瞬で斬って殺してあげるから…解剖はその後だから、Sに捕まる位ならこっちに来た方が良いよ…楽に死ねるから、お得だよ』

「「「「…」」」」

『それじゃ、これから1時間したら2人を解き放つから…楽しんでね…それじゃ』

いう事だけ言って…テレビは消えた。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...