君までの距離

高遠 加奈

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出掛けるタイミング

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それからバタバタとシャワーを浴びて、着替えることにする。

いつも綺麗な遥香と並ぶのには、こちらも見られる側になるということで、みすぼらしくないだけの気はつかう。あからさまに引き立て役だと思われたくないし、遥香にセンスを疑われる事態にはなりたくはない。

この前、一緒に買った服にしよう。シフォン素材のブラウスにショートパンツを合わせる。

睡眠不足な腫れぼったい目をバッチリまつげでカバーして、お気に入りのヒールをはく。

そういえば、このヒールは高遠さんと出会った日にはいていた靴だ。出会った日から今まではいていなかった。思い出してにやけながら家を後にする。



遥香が言い出したこととはいえ、駅に一人で待たせる訳にはいかない。人目を引く遥香はナンパされやすい。いくら遥香がしっかりしていたって、男が二人、三人になったら断るほうも大変だし、力ずくで連れていかれたりしたらたまらない。

思いついてメールする。『どこかマックとか入ってて。駅じゃ心配』

すぐにメールが返ってくる。『大丈夫よ。安全な所にいるから』

ほっと一息ついて、残りの道を駅まで小走りで急ぐ。


新宿駅の改札を抜けて、アナウンスや人混みのざわめきから離れるなり、携帯で遥香にコールする。

二回…三回…

呼び出し音が止まり、遥香に繋がる。



「お待たせ~着いたよ。遥香どこにいるの?」

『……ふふ早いのね。悪いんだけど……こっちまで来て?……5分くらい歩くけど…ナビするわ……』

「了解。もーどこにいるのよ」



笑いながら遥香の指示に従う。遥香のナビは的確で、目印もコンビニだったりしてわかりやすい。

5分程歩くと遥香から確認が入る。


『……そろそろかしら。今何が見えてる?』



言われて、車道を挟んだ向かい側の建物を仰ぎ見る。


『大きな建物があるよ。茶色の外観で…垂れ幕が下がってる。あ、劇場みたいよ……劇団、フォーマルハウト』

どくんと心臓が大きく打った。
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