君までの距離

高遠 加奈

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美味しい親子丼

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「もうランチの時間じゃないけど、何か食べるかい。ウチのランチは親子丼かお任せしかないんだよ」



その言葉に慌てて時計を探す。

時刻は5時、だった。




「……すみません、もうランチ終わってますね。お店、準備中ですよね」

しょぼくれたアタシに、お店の人は優しい。

「いいよ。疲れてるんだろう。この店は俺の店だから、何も気にすることないさ。俺の料理で元気を出してもらえるなら、こんな嬉しいことはないからね」



にこにこと言われて気持ちがほぐれる。
それなら、手早く出来て安いであろう親子丼にしようと考える。


「じゃあ…親子丼ください」

「いいよ。ちょっと待ってな」


店長は、お客さんにするような返事ではなく、近所の人に言うようにアタシに言った。


手慣れた作業で出汁をはり、玉葱と鶏肉を加える。調味料で味付けして卵でとじるまでアタシはみとれていた。



目の前に出された丼の美味しそうなこと!

アタシのお腹がぐーっと鳴った。


「あはは。そんなに見てないで早く食べな」

「やー もうすっごい美味しそう!いただきます!」



卵はとろっとろ、鶏肉はぷりぷり、玉葱のしんなり具合もたまらない。

はぐはぐ夢中で食べていると、店長はお漬物とお茶を出してくれた。



「そんなに喜んでもらえたんじゃ、作ったかいがあるねぇ」

「だって美味しいです!今まで食べた親子丼で一番美味しい!」

その言葉に店長は破顔した。

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