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残念な会話
しおりを挟むアタシが慌ててエレベーターから転がり出ると、すでに尾上さんは待っていてくれた。
そのあまりの早業に、ぽかんと空きそうになる口を引き締める。
「お待たせしてすみません」
「好きで待ってるんだから、気にしないで。行こうか」
にっこりと笑った尾上さんと並んで歩き出す。あちこちから刺すような視線を感じていたたまれない。ちらりとうかがうと、綺麗にハーフアップしたパンツスーツの女性だったり、エアリーな髪のワンピースの女性だったりした。
同性の反感を買っているということに、くらくらと目眩をおこしそうだった。
出来るなら、誤解だと弁解してまわりたいけれど、アタシの気持ちに気づかない尾上さんはすたすたとホールを横ぎって行く。
歩きながら尾上さんが口をひらく。
「苦手なものや、食べられないものはある」
「いいえ。大概の物は美味しくいただけます。アレルギーもありませんから」
ぱっと尾上さんが笑顔になる。
「そんな気がしてた。なんでも食べそう。じゃあ俺のオススメの所でいいね。軽く食べられるし、飲めるから」
「DVDを貸しただけなのに、そんなに気を使ってもらわなくてよかったんですよ?」
悪戯っぽい目をした尾上さんが、唇の前に指をたてる。
「いいんだよ。そんなの口実なんだから。一緒にご飯を食べるまで借りてる資料は人質だからね」
「うわっひどい…アタシが何日我慢してると思ってるんですか」
録画したドラマが見れないので、また動画を漁っていたのに!
「でもDVDの中の高遠くんは同じことを繰り返すだけだよね。会話が出来ないだろ」
「いいんです!もう画面に写ってさえいれば名場面ですから」
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