君までの距離

高遠 加奈

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夢の後先

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起きた時には、まだ夜が明けていなかった。薄闇のなかでホテルの部屋が見えてくると、寝る前の記憶も蘇ってくる。

横向きのアタシの背中にくっつくように、高遠さんの温もりがあって、髪に柔らかな寝息がかかる。

抱きしめるように腰に手が回っていた。

すやすやと規則正しい寝息につられて、昨日のことを思い出していた。



初めての経験で、結ばれた後に自分の体を見たら赤い跡が体じゅうに散っていた。

胸や、柔らかい腕の内側、お腹、よくよく見たら太ももの内側にまで跡がある。

「わっ…なにこれ」

「キスマーク」

体を覗きこもうとするのを布団で隠すと、高遠さんはむっとして眉を寄せる。


「今更隠すことないよ。跡を付けるほど見てるんだから」

「ええっ…でもわからないうちに付いてたから…」

「そんなに良かった?」

背中ごしに、くすくすと笑い声がする。

「なんだか…まだ良くわからないけど……」

思い出すと恥ずかしいばかりで、いいことはない。近づいた高遠さんが、むきだしの肩にちゅっとキスをした。

慌てて見ると赤くなってはいなかった。なんだか不思議。

「どうやって付けるの?」

「……本当、俺ってまだまだだよな。キスマークは普通のキスじゃなくて吸うんだよ」


腕を取って柔らかい内側に唇を付けると、肌にちくりと痛みが走る。

笑いながらあげるその顔は、とても整っているのにいたずらっぽい色がある。

「ほらできた」

「アタシもやってみたい」

思わず縋り付いてねだると、高遠さんは赤くなって俯いた。

「そういうの反則」

「ダメ…?」

「可愛すぎる…他の男にそんなことしちゃダメだ」

「じゃあ…いいの?」

「付けたいなら、いいよ。独占欲?」

「そう。印を付けたいの」

薄明かりに浮かび上がる、引き締まった胸に唇を寄せる。この気持ちが高遠さんの心に染み込むように、心臓の上にキスをする。


ちゅっと音をたてて唇を離すと、高遠さんに抱きすくめられた。

「やっぱり好き。言葉も仕草も、みんな。無理させたくないけど我慢出来そうにない…」

そうしてまた翻弄されて溺れてしまった。





「好きなのは、アタシもいっしょだよ」





…………大好き

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