5 / 16
5 屋上イベントとその反省点について
しおりを挟む屋上での予定外の遭遇を経て、俺は教室に戻ってきた。
心身ともに疲れ果て、机に突っ伏していると、そこにのそのそと近づいてきた男が一人。
「おやおや。随分とお疲れのようで?」
この無駄に余裕のある爽やかな声。見なくても分かる、レンだ。
顔をあげれば、案の定、外面完璧モードのレンが、俺の机に頬杖をついて覗き込んでいた。
こいつの顔を見るだけで、若干イラっとするのはなぜだろう。
……いや、原因はわかってる。どうせお前のせいだ。
「どうだった、屋上の女神攻略イベントは。会えたんだろう?」
「うるせえ! 弟に遭遇して、弁当シェアして終わったわ!!」
思い出すだけで胃が痛い。
「ユナ先輩は風邪で休みだと。さてはお前、仕組んだな!」
「心外だな。俺はいつでも親友の恋路を応援してるさ」
その顔。百点満点のうそつきの顔だ。
「応援してるやつは、攻略イベントを強奪しない! 今朝のカレンイベントを忘れたとは言わせねえぞ」
「ふむふむ。つまり君は、俺がひったくり犯を秒で片付けたのが悪いというんだな」
「そうだよ! 空気読めよ」
「ごめんごめん。でもあれは本能的に体が動いてしまったからなあ……ほら、女性の危機って助けないと心が痛むだろ?」
「イケメンぶるんじゃなあああい!」
思わずバンッと机を叩いてしまう。
案の定、教室中の視線がこちらに集まってしまった。
俺×イケメンの痴話喧嘩、と受け取られたのか、女子達がざわざわし始める。やめろ。そんな視線で見るんじゃない。妄想は本人達のいない場所でやりなさい……じゃなかった、こっちは真面目に人生賭けてるんだよ!
「ま、応援してるとは言ったけど、手伝う気はさらさらないからな」
ほらな。こういう奴ですよーみなさーん。
「しかしいくら俺でも、他人の体調なんて操作出来るわけないのに、責任転嫁もいいとこだ」
「はいはい悪かったよ」
「俺が犯人でした」って言えば、その端正な顔に一発ぶち込もうと思ったのに。
「ふむ、ところで弟……ということは、屋上にいたのは白銀カイだな」
そう言うと、さりげなくレンが椅子を引いて、俺の前に座る。どこの彼氏ポジだよお前。
「ああ、そう言ってたな」
「うちの生徒会長の」
「そうそう、生徒会ちょ……え、あいつ、生徒会長なの?」
声が裏返った。
「知らなかったのか? 正真正銘、うちの学校の生徒会長。『恋トモ』の攻略本にも小さく載っていたと思うがな。全く、お前はハーレムを作ると言っておきながら、やる気はあるのか?」
痛恨の一撃。
この世界、俺の知ってる『恋トモ』と違いすぎる……
「相手は成績優秀、運動神経抜群、喧嘩も強い。性格は無愛想……って話だが」
レンがちらりと俺の顔色を窺う。
俺は情報過多で、思考が止まっていた。
「弁当シェアするほど仲良くなるなんて、しっかりフラグを立てて、好感度上げたじゃないか」
「俺が目指してるのはガールズハーレム。なんでそっちになるんだよ」
涙目で抗議する俺に、レンはにこやかに頷いた。
「よかったじゃないか。俺以外の男からも好かれて」
「やめろ! 誤解を生む言い方すんな。俺以外ってなんだよ、俺以外って」
「案外そっちの方向の方が向いてるんじゃないか、お前」
「やーめーてっ!」
にやにやと楽しそうにレンが笑う。
俺は机に突っ伏したまま、現実逃避するしかなかった。
74
あなたにおすすめの小説
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。
悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!
はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。
本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる……
そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。
いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか?
そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。
……いや、違う!
そうじゃない!!
悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!!
【16話完結】スパダリになりたいので、幼馴染に弟子入りしました!
キノア9g
BL
モテたくて完璧な幼馴染に弟子入りしたら、なぜか俺が溺愛されてる!?
あらすじ
「俺は将来、可愛い奥さんをもらって温かい家庭を築くんだ!」
前世、ブラック企業で過労死した社畜の俺(リアン)。
今世こそは定時退社と幸せな結婚を手に入れるため、理想の男「スパダリ」になることを決意する。
お手本は、幼馴染で公爵家嫡男のシリル。
顔よし、家柄よし、能力よしの完璧超人な彼に「弟子入り」し、その技術を盗もうとするけれど……?
「リアン、君の淹れたお茶以外は飲みたくないな」
「君は無防備すぎる。私の側を離れてはいけないよ」
スパダリ修行のつもりが、いつの間にか身の回りのお世話係(兼・精神安定剤)として依存されていた!?
しかも、俺が婚活をしようとすると、なぜか全力で阻止されて――。
【無自覚ポジティブな元社畜】×【隠れ激重執着な氷の貴公子】
「君の就職先は私(公爵家)に決まっているだろう?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる