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6 開幕! 図書館地味作業バトル
しおりを挟む翌週の放課後。俺は机に突っ伏したまま、無情にも届けられた「お知らせの紙」を握りしめていた。
「……図書委員の手伝い、だと?」
なんでも最近、本を大量に仕入れたせいで図書室の整理が追いつかず、雑用要員を緊急招集しているらしい。
そんなの聞いてねえよ。聞いてないけど来ちゃったよ。なぜなら俺は転生者、ヒロインイベントを求める者なり。
本来このタイミングでは、清楚系ヒロイン・月城ミオと図書室で運命的な出会いを果たす予定だった。だったのに。なんだこの展開は。労働って聞いてない。ラブコメどこいった。
でも……もしかしたら、その図書室のどこかにミオがいるかもしれない。という淡い期待が俺を動かす。
あと、呼び出しの紙に「手伝いに来なかったら生徒会に報告」とか小さく書いてあったのも効いた。
ヒロインかペナルティか……俺に選択肢はない!
===
重い足取りで図書室の扉を開けると、そこには既に一人の生徒がいた。
窓際の机に座って黙々と作業しているその姿は、まさに“真面目の権化”。さらりとした黒髪、整った制服、どことなく猫っぽい目元――なにこのインテリビジュアル。しかも見覚えがある。
(あー……たしか、うちのクラスの……えーと、なんだっけ)
少し考えていると、そいつが俺に気づき、無表情で言った。
「……誰?」
第一声がそれ? 俺、けっこう誠意ある感じで来たんだけど?
「あ、あー……麻布タツミです。手伝いの紙見て来たんだけど……」
どもりながら名乗ると、彼はすっと立ち上がって近づいてくる。近い。距離感ゼロの猫。
「ああ……邪魔しないなら、別にいいけど」
塩すぎる対応に俺の心がしょっぱくなる。
(え、俺、歓迎されてない?)
でも、ここで帰るわけにはいかない。万が一、ここに月城ミオがここにやってきたら、「働き者で素敵……」ってなるかもしれないし。
「手伝うよ。何すればいい?」
「……新しい図書カードを五十音順に並べるだけ」
「地味ィ!」
俺が叫ぶと、黒髪男子――後に名前を知ることになる、ハルは、うっすらと眉をひそめた。
「嫌なら、帰れば」
うわあ。突き放しボイス。だけど、冷たさの中にほんの少しだけ、気まずさが混ざってるような……? こう、不器用男子特有の“ツン”というか、“壁”というか。
警戒心MAXで俺を見つめるその目、ほんの少しだけ睫毛が長いのが気になる。いや、見てないぞ? そういう意識で見たんじゃない。目が合ったからだ、仕方ないだろ!? ……って何一人で考えてるんだ、俺。
「別に、無理しなくていいよ。他に来る奴、いないし。僕一人でやるつもりだったから」
むしろその言葉で、帰りづらくなるやつ。
「……っやるよ! やります! 働きます! 俺、やればできる子なんで!」
「……そう」
俺はやけくそになりながらカードの束を受け取った。
こうして俺とハルの、図書室地味作業バトルが幕を開けた――
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