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42-1 五年間の猶予
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▽▽▽
「アデレード様、お久しぶりです。ご帰国されていらしたのですね」
「突然休学なされたから驚きました。ご結婚されたともお聞きして更に驚いたのですよ。先ほど踊られていた方が旦那様ですよね? 素敵な方ですね」
「本当に、おめでとうございます。卒業式には出席されるのですよね? 一緒に式に出られて嬉しく思います」
ペイトンと別れて化粧室に向かい、ダンスで乱れた服装を正し、サロンへ行く途中で声を掛けてきたのは同級生の令嬢達だった。
めちゃくちゃ仲が良かったわけではないが悪くもなかった。
多分、普通に良い人達だ。
深い交流を持てなかったのは、友人作りに重きをおかなかった自分のせいである感は否めない。
馬鹿だったな、と思う。なので、
「三日前に帰国したんです。私も皆様と一緒に卒業したかったので」
とアデレードは感じよく応じた。
後、五月したらノイスタインに戻るのだし、今更かもしれないが仲良くしてもらいたい、と未来を見つめて思った。
しかし、そんなよい気分を害するように背後から呼び止められた。
「まぁ、アデレード様、お久しぶりです。ご結婚おめでとうございます。まさか、隣国へ嫁いでいかれるとは意外でしたわ。レイモンド様と婚姻されると思っておりましたのに」
「本当にあんなにお慕いしていらしたのにね。でも、一年限りの結婚なのでしょう? お戻りになったらレイモンド様と一緒になるおつもりとか?」
「まさか。流石にそれは厚顔無恥というものよ」
笑顔のままゆっくり振り向くアデレードの目に映ったのは、レイモンドの取り巻きの令嬢達。
いずれも伯爵家の出自でリコッタ家とは仕事柄縁近い関係だ。
そして、彼女達の隣にはパートナーらしき男性がいる。
レイモンドを狙っていたのは明らかだったのに、それぞれ別の男性にエスコートされているのは意外。
ノイスタインの女性の結婚適齢期は学校を卒業後三年なので「何も不思議はない」と言われればそれまでのことなのだけれど。
(レイモンドがメイジー様と婚約したから諦めたのかしら?)
だったら、わざわざ喧嘩を売ってくる必要はないだろうに。
何がしたいのかさっぱり分からなくて困惑してしまう。
そして、囲まれてチヤホヤされ気分がよいところへ堂々と割り込んでくるとは「のさばらせ過ぎたわね」とも強く思った。
溜まった膿みを排除せねばならないな、と。
「お久しぶりですね。貴女方も随分レイモンド様に執着して、私に執拗な嫌がらせをしていたのに、新しいパートナーを見つけられたのですね」
アデレードの答えに令嬢達の顔がさっと赤くなった。
言い返されるとは夢にも思わなかったという表情。これまで平気だったから今も大丈夫だと高を括っていたのだろう。
「嫌がらせなんて人聞きが悪いわ」
「そうですよ。私達がいつそんなことを。酷いわ」
「いつ……そうですね。例えば今とか?」
アデレードは鼻で笑った。
馬鹿なんだろうか。先ほど話していた同級生達も後ろで聞いているから証人はいる。逃れようなどない。
「バルモア嬢、彼女達は別に貴女に嫌がらせしたつもりではないと思いますよ。しかし、失言でしたね。非礼を詫びます」
アデレードが冷めた目で、ぐうの音も出な令嬢達を見つめていると、一人の男が割って入ってきた。
見たことあるような、ないような顔。
自分より爵位が上の人間は常識として把握済みだから、アデレードが気を遣うべき人間でないことはわかる。
「その言葉、私が無礼を忠告する前に言って頂ければ、まだ快く許せたかもしれません。後、私は彼女達が仰ったように嫁いでおりますので今はバルモア姓ではないんですよ」
高位貴族の名前を間違えるのは致命的な失態だ。
わざとなのか、本当についうっかりなのか不明だが、こっちが庇ってやる必要はない。
そもそも指摘したように、令嬢達をすぐに嗜めなかった時点でいろいろ察して余りある。
「こ、これは失礼しました。フォアード侯爵夫人」
(知っているんじゃない)
男はすぐに姿勢を正して名前を訂正し紳士の礼を執った。
下に見て話し掛けてきていたことが余計に浮き彫りになり胸糞が悪い。
(舐めすぎでしょ)
高位貴族をこき下ろせるチャンスなど滅多にない。
この人達は自分をサンドバッグにすることで悦に入りたかったのか、と理解した。
そして、幼い頃繰り返し教えられた家庭教師の言葉を思い出した。
――貴女はバルモア侯爵家の人間なのですから、その名に恥じぬよういつ何時も、毅然とした態度で振る舞わねばなりません。
初等教育で家庭教師から最初に習うことは自分の家柄についてと、それに見合う振る舞い。
しかし、五歳のアデレードには「毅然」と「つんけんしている」の違いがよくわからなかった。
何故、そんな感じの悪い態度をわざわざ取らなければならないのか。
ただ、「先生の言うことはちゃんと守るのよ」と母親に厳しく言い含められていたし、授業には姉が監視についてきていたしで、黙ってうんうん頷いていた。
わからないまま、姿勢を良くすること、ティーカップは音を立てずに使用すること、美しい食事のマナーなどを叩きこまれた。
やがて年齢を重ねて侯爵家の人間として公式の場にでても恥ずかしくない所作が身につき、「毅然」と「つんけん」の違いも理解できるようになった。
でも「侯爵家らしい振る舞い」をすることにレイモンドが良い顔をしなかったから、学校では敢えてそういう態度を取らなかった。
その結果が現状だ。
下手に出れば舐めた態度に出てくる人間がいて、やり返す術を知らなければ取って食われる。
やはり先生の言うことは正しかった。
改めて教育を受けさせてくれた家族と、根気よく教えてくれた先生に深く感謝したい気持ちになった。
何故なら、これまでは単に「やり返さなかった」だけでその方法を知らないわけではないのだから。
「構いませんよ」
アデレードが感じ良く笑った。
そして、相手が安堵の表情を浮かべるのを見て続けた。
「学生のうちは身分に関係なく学友達と付き合い、全て静観するように、と父にきつく言い含められているのですよ。将来付き合うべき相手か否か判断できるから、と。確かに忠告は正しかったです。見極めることができましたから。でも、後二日は学生の身分ですしょう? この場で貴方方に何かしようとは全く考えておりません」
アデレードの笑顔と真逆に一気に空気が凍りつく。
卒業したらバルモア家はお前らとは付き合わないとはっきり宣言したのだから、当然だ。
尤も父からそんな話はされていないのだが、家族に暴露したら結果は同じなので嘘ではない。
「アデレード様、それは」
「私達は決してそのような……!」
眼前の男女が口々に言い訳を始めるが知ったこっちゃない。
「五年間の猶予がありましたから」
今更遅いんだよ、バーカという思いを込めて笑う。
一番蒼白になっているのが仲介に入ってきた男であることは若干謎が残る。
何処かで見た顔だと思っていたが、そう言えば昔陰口を叩いていた男に似ている気がする。
(どうでもいいけどね)
アデレードは同級生の令嬢達の方へ振り返り、
「では、私は夫が待っておりますので行きますね。また、明後日の卒業式で」
とだけ告げて、とやかく引き留めてくる連中には一切応じずその場を後にした。
歩みを進めるごとに、あんなに我慢してきたことが、こんな雑魚すぎる結果で馬鹿馬鹿しくなった。
怒りなのか呆れなのか後悔なのか、気持ちが高揚する。
このままサロンへ行ったら誰彼構わず喧嘩を売ってしまいそうなので一端頭を冷やすため、サロンを通り過ぎ外廊下の方へ向かった。
人気の少ない場所に女性一人は危険が伴うので、端まで歩いてすぐに引き返そう、と何処か冷静に考えながら。
それにあまり遅くなると、自分を休ませるために「手洗いに行く」と嘘を吐いたペイトンが探し回りそうだから。
(あの人、異常に心配症なところあるのよね)
想像できすぎて笑えてくる。
くさくさした気持ちが波のように引いていく。
アデレードは、外廊下の曲がり角まで来ていたが、心配かけると申し訳ないので早く戻ろうと立ち止まり、くるっと方向を変えた。
が、次の瞬間、後ろから強い衝撃を受けた。
一瞬何が起こったか不明だったが、自分より前へよろめいていく女性の姿が目に飛び込んできて、曲がり角からきた人とぶつかったのだと理解できた。
「申し訳ございません!」
謝罪の言葉が耳に入る。
「いえ、大丈夫です。私もぼうっとしておりましたので。貴女こそお怪我は?」
アデレードはちょっとよろけた程度だったが、相手はかなり前の方へ蹴躓いている。
廊下を走ってきたのではないだろうか。
夜会で走る令嬢なんてあまり見掛けないが、とアデレードは相手の顔を確認する。
「あ、アデレード様……」
「え」
アデレードは思わず声を発した息を呑んだ。
名前を呼ばれたことに驚いたわけじゃない。
眼前にいるのが、ある意味レイモンドよりも会いたくなかった人物、メイジー・フランツだったからだ。
「アデレード様、お久しぶりです。ご帰国されていらしたのですね」
「突然休学なされたから驚きました。ご結婚されたともお聞きして更に驚いたのですよ。先ほど踊られていた方が旦那様ですよね? 素敵な方ですね」
「本当に、おめでとうございます。卒業式には出席されるのですよね? 一緒に式に出られて嬉しく思います」
ペイトンと別れて化粧室に向かい、ダンスで乱れた服装を正し、サロンへ行く途中で声を掛けてきたのは同級生の令嬢達だった。
めちゃくちゃ仲が良かったわけではないが悪くもなかった。
多分、普通に良い人達だ。
深い交流を持てなかったのは、友人作りに重きをおかなかった自分のせいである感は否めない。
馬鹿だったな、と思う。なので、
「三日前に帰国したんです。私も皆様と一緒に卒業したかったので」
とアデレードは感じよく応じた。
後、五月したらノイスタインに戻るのだし、今更かもしれないが仲良くしてもらいたい、と未来を見つめて思った。
しかし、そんなよい気分を害するように背後から呼び止められた。
「まぁ、アデレード様、お久しぶりです。ご結婚おめでとうございます。まさか、隣国へ嫁いでいかれるとは意外でしたわ。レイモンド様と婚姻されると思っておりましたのに」
「本当にあんなにお慕いしていらしたのにね。でも、一年限りの結婚なのでしょう? お戻りになったらレイモンド様と一緒になるおつもりとか?」
「まさか。流石にそれは厚顔無恥というものよ」
笑顔のままゆっくり振り向くアデレードの目に映ったのは、レイモンドの取り巻きの令嬢達。
いずれも伯爵家の出自でリコッタ家とは仕事柄縁近い関係だ。
そして、彼女達の隣にはパートナーらしき男性がいる。
レイモンドを狙っていたのは明らかだったのに、それぞれ別の男性にエスコートされているのは意外。
ノイスタインの女性の結婚適齢期は学校を卒業後三年なので「何も不思議はない」と言われればそれまでのことなのだけれど。
(レイモンドがメイジー様と婚約したから諦めたのかしら?)
だったら、わざわざ喧嘩を売ってくる必要はないだろうに。
何がしたいのかさっぱり分からなくて困惑してしまう。
そして、囲まれてチヤホヤされ気分がよいところへ堂々と割り込んでくるとは「のさばらせ過ぎたわね」とも強く思った。
溜まった膿みを排除せねばならないな、と。
「お久しぶりですね。貴女方も随分レイモンド様に執着して、私に執拗な嫌がらせをしていたのに、新しいパートナーを見つけられたのですね」
アデレードの答えに令嬢達の顔がさっと赤くなった。
言い返されるとは夢にも思わなかったという表情。これまで平気だったから今も大丈夫だと高を括っていたのだろう。
「嫌がらせなんて人聞きが悪いわ」
「そうですよ。私達がいつそんなことを。酷いわ」
「いつ……そうですね。例えば今とか?」
アデレードは鼻で笑った。
馬鹿なんだろうか。先ほど話していた同級生達も後ろで聞いているから証人はいる。逃れようなどない。
「バルモア嬢、彼女達は別に貴女に嫌がらせしたつもりではないと思いますよ。しかし、失言でしたね。非礼を詫びます」
アデレードが冷めた目で、ぐうの音も出な令嬢達を見つめていると、一人の男が割って入ってきた。
見たことあるような、ないような顔。
自分より爵位が上の人間は常識として把握済みだから、アデレードが気を遣うべき人間でないことはわかる。
「その言葉、私が無礼を忠告する前に言って頂ければ、まだ快く許せたかもしれません。後、私は彼女達が仰ったように嫁いでおりますので今はバルモア姓ではないんですよ」
高位貴族の名前を間違えるのは致命的な失態だ。
わざとなのか、本当についうっかりなのか不明だが、こっちが庇ってやる必要はない。
そもそも指摘したように、令嬢達をすぐに嗜めなかった時点でいろいろ察して余りある。
「こ、これは失礼しました。フォアード侯爵夫人」
(知っているんじゃない)
男はすぐに姿勢を正して名前を訂正し紳士の礼を執った。
下に見て話し掛けてきていたことが余計に浮き彫りになり胸糞が悪い。
(舐めすぎでしょ)
高位貴族をこき下ろせるチャンスなど滅多にない。
この人達は自分をサンドバッグにすることで悦に入りたかったのか、と理解した。
そして、幼い頃繰り返し教えられた家庭教師の言葉を思い出した。
――貴女はバルモア侯爵家の人間なのですから、その名に恥じぬよういつ何時も、毅然とした態度で振る舞わねばなりません。
初等教育で家庭教師から最初に習うことは自分の家柄についてと、それに見合う振る舞い。
しかし、五歳のアデレードには「毅然」と「つんけんしている」の違いがよくわからなかった。
何故、そんな感じの悪い態度をわざわざ取らなければならないのか。
ただ、「先生の言うことはちゃんと守るのよ」と母親に厳しく言い含められていたし、授業には姉が監視についてきていたしで、黙ってうんうん頷いていた。
わからないまま、姿勢を良くすること、ティーカップは音を立てずに使用すること、美しい食事のマナーなどを叩きこまれた。
やがて年齢を重ねて侯爵家の人間として公式の場にでても恥ずかしくない所作が身につき、「毅然」と「つんけん」の違いも理解できるようになった。
でも「侯爵家らしい振る舞い」をすることにレイモンドが良い顔をしなかったから、学校では敢えてそういう態度を取らなかった。
その結果が現状だ。
下手に出れば舐めた態度に出てくる人間がいて、やり返す術を知らなければ取って食われる。
やはり先生の言うことは正しかった。
改めて教育を受けさせてくれた家族と、根気よく教えてくれた先生に深く感謝したい気持ちになった。
何故なら、これまでは単に「やり返さなかった」だけでその方法を知らないわけではないのだから。
「構いませんよ」
アデレードが感じ良く笑った。
そして、相手が安堵の表情を浮かべるのを見て続けた。
「学生のうちは身分に関係なく学友達と付き合い、全て静観するように、と父にきつく言い含められているのですよ。将来付き合うべき相手か否か判断できるから、と。確かに忠告は正しかったです。見極めることができましたから。でも、後二日は学生の身分ですしょう? この場で貴方方に何かしようとは全く考えておりません」
アデレードの笑顔と真逆に一気に空気が凍りつく。
卒業したらバルモア家はお前らとは付き合わないとはっきり宣言したのだから、当然だ。
尤も父からそんな話はされていないのだが、家族に暴露したら結果は同じなので嘘ではない。
「アデレード様、それは」
「私達は決してそのような……!」
眼前の男女が口々に言い訳を始めるが知ったこっちゃない。
「五年間の猶予がありましたから」
今更遅いんだよ、バーカという思いを込めて笑う。
一番蒼白になっているのが仲介に入ってきた男であることは若干謎が残る。
何処かで見た顔だと思っていたが、そう言えば昔陰口を叩いていた男に似ている気がする。
(どうでもいいけどね)
アデレードは同級生の令嬢達の方へ振り返り、
「では、私は夫が待っておりますので行きますね。また、明後日の卒業式で」
とだけ告げて、とやかく引き留めてくる連中には一切応じずその場を後にした。
歩みを進めるごとに、あんなに我慢してきたことが、こんな雑魚すぎる結果で馬鹿馬鹿しくなった。
怒りなのか呆れなのか後悔なのか、気持ちが高揚する。
このままサロンへ行ったら誰彼構わず喧嘩を売ってしまいそうなので一端頭を冷やすため、サロンを通り過ぎ外廊下の方へ向かった。
人気の少ない場所に女性一人は危険が伴うので、端まで歩いてすぐに引き返そう、と何処か冷静に考えながら。
それにあまり遅くなると、自分を休ませるために「手洗いに行く」と嘘を吐いたペイトンが探し回りそうだから。
(あの人、異常に心配症なところあるのよね)
想像できすぎて笑えてくる。
くさくさした気持ちが波のように引いていく。
アデレードは、外廊下の曲がり角まで来ていたが、心配かけると申し訳ないので早く戻ろうと立ち止まり、くるっと方向を変えた。
が、次の瞬間、後ろから強い衝撃を受けた。
一瞬何が起こったか不明だったが、自分より前へよろめいていく女性の姿が目に飛び込んできて、曲がり角からきた人とぶつかったのだと理解できた。
「申し訳ございません!」
謝罪の言葉が耳に入る。
「いえ、大丈夫です。私もぼうっとしておりましたので。貴女こそお怪我は?」
アデレードはちょっとよろけた程度だったが、相手はかなり前の方へ蹴躓いている。
廊下を走ってきたのではないだろうか。
夜会で走る令嬢なんてあまり見掛けないが、とアデレードは相手の顔を確認する。
「あ、アデレード様……」
「え」
アデレードは思わず声を発した息を呑んだ。
名前を呼ばれたことに驚いたわけじゃない。
眼前にいるのが、ある意味レイモンドよりも会いたくなかった人物、メイジー・フランツだったからだ。
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