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第726話
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少し遡って二日前。 『星座盤』ユニオンホームでヨシナリはケイロンと向かい合っていた。
マルメルがいきなり連れて来た時は驚いたが、戦闘能力に関しては疑う余地がない。
近、中距離戦に於いて非常に完成度の高いプレイヤーだ。
マルメルと併せれば安定感が増す――のだが、問題が一つあった。
協調性のなさだ。 ユウヤとベリアルで多少の耐性は付いており、好きにさせてもいいとは思っていた。
だが、前に出せるケイロンの能力を切り離して運用するのは勿体ない。
その為、少し協力的になって貰えるように説得する必要があった。
――まぁ、考えはあるが。
「まずは参加してくれてありがとうございます。 正直、枠が余ってて困ってたんですよ」
「構わない。 俺としてはイベントに参加さえできれば問題ないからな」
反応から好きにやりたいといったオーラが凄まじい。
「……えーっと、当日は好きに動く感じになりそうですかね?」
「そのつもりだ」
つまり言う事を聞く気はないという事だ。
「一対一に強いこだわりを持ってるみたいですが、何か理由でも?」
「俺は俺の騎士道を貫く為に一人で戦い抜くと誓いを立てた。 それだけの話だ」
「なるほど」
聞いていた通りだ。
ヨシナリはこの時点でケイロンへの対応に関しての方向性を決めていた。
「俺は騎士道というものには明るくないのでケイロンさんの立てた誓いがどれほどのものかを推し量る事は出来ません。 ですが、そんな俺でも分かる事はあります」
「分かる事?」
「はい、一般的に騎士道とは勇気と名誉を重んじると聞きます」
「その通りだ。 だから俺は一騎打ちにて我が鉄騎を打ち破った貴公とマルメルの二人を勇者と讃え、尊敬する」
「あ、ありがとうございます」
正面から言われたのでヨシナリは少し照れながらそう返しつつも話を続ける。
「そして他には弱者の保護というものがあると聞きます」
「そうだ。 だからこそ俺は弱者を痛めつけるような真似は好まん。 同じ理由で集団で嬲るという強者とは真逆の行いを好まん」
これがケイロンがこのゲームをプレイするに当たってのスタンス。
言い換えるなら自身に課したルールのようなものだ。
だが、ヨシナリに言わせるとこのルールには割と穴が多かった。
「はい、ですのでケイロンさんには弱者である俺達を守って欲しいんですよ」
「……何を言っているんだ? 貴公等は強者だろう? 『烏合衆』相手に対等以上の勝負をした者達が弱者? 何の冗談だ?」
「考えてもみてください。 俺達は人数が足りなく、騎士であるケイロンさんに縋っている状態です。 そうでもしなければ優勝を狙えないんですよ」
弱者を自称しているのに目標が優勝とか馬鹿じゃないのかと自分で思っていたが、ケイロンには可能な限りその気になって欲しかった。
「――ケイロンさんに比べればちっぽけかもしれませんが、俺もゲームをプレイするに当たって誓いを立てています」
それは何だとケイロンが視線で尋ねる。 明らかにヨシナリの話に関心を示している証だ。
食いついてるなと思いながら脳裏で会話を組み立てる。
「負けない事です。 仮に負けたとしても次は勝つという不撓不屈」
ヨシナリは見せつけるようにぐっと拳を握る。
「確かにケイロンさん達と戦ってギリギリの所で俺達は負けました。 そう、負けたんです! あの日の夜から俺は悔しさで枕を濡らして眠っているんですよ。 あの時の敗北がいつまでも脳裏にチラついて離れない。 どうすれば勝てたのか、そればかり考えています」
捲し立てても相手の頭に入らない。 ヨシナリは意識してここでちょっと溜める。
ちなみに悔しくて枕を濡らしたのは本当だった。 その日の夜だけだったが。
「――ちょっと考えれば分かる事だったんですよ。 足りなかった。 実力が、性能が、そして何よりも人数が。 ですが、今回は最強の騎士という心強い味方を得る事ができました。 ケイロンさんは確かに強いですが、俺達と力を合わせればその力は更に高まるはずです! いえ、俺が高めて見せます! もう、負ける余地を残して戦場に向かうなんて真似をしたくないんですよ。 ――ですので、助けて頂けませんか?」
ヨシナリは最後に心が弱い俺に力を貸してくださいと頭を下げた。
意識して弱いの部分を強調する。 ケイロンは無言だったがややあって唸り始めた。
明らかに葛藤している。 しばらくの間、そうしていたがややあって――頷いたのだった。
――そして今に至る。
「ケイロンさん! 前方、100――気付いたな。 80の位置に敵機、空はこっちで処理します」
「任せろ!」
ケイロンが僅かに身を縮めると一気に加速。 敵中へと突っ込んで行く。
「カバーに入る」
即座にマルメルとユウヤが左右に散って追いかけた。
「ヨシナリくーん! ウチはー?」
「今はその場で待機。 ないと思いますが奇襲に備えてください。 ホーコートは俺と来てくれ」
ぶーぶーと不満そうなふわわとうっすと頷いてついて来るホーコート一瞥してヨシナリは空へ。
地上は任せて問題ないだろう。 ヨシナリとしては確認しておきたい事があった。
ホーコートの力だ。 この場合は実力ではなく戦闘力を指す。
敵機はキマイラが三機、Ⅱ型が二機。 地上とは別口のようだ。
相手としては手頃だろう。 下にはグロウモスもアイロニーもいる。
フォローも期待できるので、じっくりと観察できそうだった。
キマイラ三機が散開しようとした所でグロウモスの狙撃が飛ぶ。
一機が射抜かれて爆散。 残りが変形後、的を絞らせない為に加速する。
ヨシナリも応じるように変形して加速。 敵機は上下で挟むつもりのようだ。
バレルロールしながら旋回し、ロックオン警告。 ミサイルが飛んでくる。
内蔵機銃で撃墜。 その間に残りが直上から急降下、背に積んでいる突撃銃を連射。
バレルロールで回避しながら下の敵機を射線に収めると銃撃が一瞬停止。 そこを狙って急上昇。
敵機は迷ったが銃撃を選択。 だが、少し遅い。
即座に肉薄し、すれ違う直前に変形。 エネルギーウイングを噴かして横回転しながら足を延ばす。
それにより、変形しながら蹴りを繰り出せる。 敵機を捉えた蹴りは推力偏向ノズルを破壊。
錐揉みするように墜落。 落ちる前にアシンメトリーで撃ち抜いてとどめを刺す。
残りはちょうどグロウモスに撃ち落とされていた。
『グロウモスさん。 ちょっとホーコートの動きをみたいんでお願いしてもいいですか?』
『様子見って事でいい?』
回線をプライベートに切り替えてグロウモスに指示。
何かあれば助けに入るつもりだが、ヨシナリとしてはフォローに入る状況の方がいいかもしれないと思いながらホーコートへと視線を向けた。
マルメルがいきなり連れて来た時は驚いたが、戦闘能力に関しては疑う余地がない。
近、中距離戦に於いて非常に完成度の高いプレイヤーだ。
マルメルと併せれば安定感が増す――のだが、問題が一つあった。
協調性のなさだ。 ユウヤとベリアルで多少の耐性は付いており、好きにさせてもいいとは思っていた。
だが、前に出せるケイロンの能力を切り離して運用するのは勿体ない。
その為、少し協力的になって貰えるように説得する必要があった。
――まぁ、考えはあるが。
「まずは参加してくれてありがとうございます。 正直、枠が余ってて困ってたんですよ」
「構わない。 俺としてはイベントに参加さえできれば問題ないからな」
反応から好きにやりたいといったオーラが凄まじい。
「……えーっと、当日は好きに動く感じになりそうですかね?」
「そのつもりだ」
つまり言う事を聞く気はないという事だ。
「一対一に強いこだわりを持ってるみたいですが、何か理由でも?」
「俺は俺の騎士道を貫く為に一人で戦い抜くと誓いを立てた。 それだけの話だ」
「なるほど」
聞いていた通りだ。
ヨシナリはこの時点でケイロンへの対応に関しての方向性を決めていた。
「俺は騎士道というものには明るくないのでケイロンさんの立てた誓いがどれほどのものかを推し量る事は出来ません。 ですが、そんな俺でも分かる事はあります」
「分かる事?」
「はい、一般的に騎士道とは勇気と名誉を重んじると聞きます」
「その通りだ。 だから俺は一騎打ちにて我が鉄騎を打ち破った貴公とマルメルの二人を勇者と讃え、尊敬する」
「あ、ありがとうございます」
正面から言われたのでヨシナリは少し照れながらそう返しつつも話を続ける。
「そして他には弱者の保護というものがあると聞きます」
「そうだ。 だからこそ俺は弱者を痛めつけるような真似は好まん。 同じ理由で集団で嬲るという強者とは真逆の行いを好まん」
これがケイロンがこのゲームをプレイするに当たってのスタンス。
言い換えるなら自身に課したルールのようなものだ。
だが、ヨシナリに言わせるとこのルールには割と穴が多かった。
「はい、ですのでケイロンさんには弱者である俺達を守って欲しいんですよ」
「……何を言っているんだ? 貴公等は強者だろう? 『烏合衆』相手に対等以上の勝負をした者達が弱者? 何の冗談だ?」
「考えてもみてください。 俺達は人数が足りなく、騎士であるケイロンさんに縋っている状態です。 そうでもしなければ優勝を狙えないんですよ」
弱者を自称しているのに目標が優勝とか馬鹿じゃないのかと自分で思っていたが、ケイロンには可能な限りその気になって欲しかった。
「――ケイロンさんに比べればちっぽけかもしれませんが、俺もゲームをプレイするに当たって誓いを立てています」
それは何だとケイロンが視線で尋ねる。 明らかにヨシナリの話に関心を示している証だ。
食いついてるなと思いながら脳裏で会話を組み立てる。
「負けない事です。 仮に負けたとしても次は勝つという不撓不屈」
ヨシナリは見せつけるようにぐっと拳を握る。
「確かにケイロンさん達と戦ってギリギリの所で俺達は負けました。 そう、負けたんです! あの日の夜から俺は悔しさで枕を濡らして眠っているんですよ。 あの時の敗北がいつまでも脳裏にチラついて離れない。 どうすれば勝てたのか、そればかり考えています」
捲し立てても相手の頭に入らない。 ヨシナリは意識してここでちょっと溜める。
ちなみに悔しくて枕を濡らしたのは本当だった。 その日の夜だけだったが。
「――ちょっと考えれば分かる事だったんですよ。 足りなかった。 実力が、性能が、そして何よりも人数が。 ですが、今回は最強の騎士という心強い味方を得る事ができました。 ケイロンさんは確かに強いですが、俺達と力を合わせればその力は更に高まるはずです! いえ、俺が高めて見せます! もう、負ける余地を残して戦場に向かうなんて真似をしたくないんですよ。 ――ですので、助けて頂けませんか?」
ヨシナリは最後に心が弱い俺に力を貸してくださいと頭を下げた。
意識して弱いの部分を強調する。 ケイロンは無言だったがややあって唸り始めた。
明らかに葛藤している。 しばらくの間、そうしていたがややあって――頷いたのだった。
――そして今に至る。
「ケイロンさん! 前方、100――気付いたな。 80の位置に敵機、空はこっちで処理します」
「任せろ!」
ケイロンが僅かに身を縮めると一気に加速。 敵中へと突っ込んで行く。
「カバーに入る」
即座にマルメルとユウヤが左右に散って追いかけた。
「ヨシナリくーん! ウチはー?」
「今はその場で待機。 ないと思いますが奇襲に備えてください。 ホーコートは俺と来てくれ」
ぶーぶーと不満そうなふわわとうっすと頷いてついて来るホーコート一瞥してヨシナリは空へ。
地上は任せて問題ないだろう。 ヨシナリとしては確認しておきたい事があった。
ホーコートの力だ。 この場合は実力ではなく戦闘力を指す。
敵機はキマイラが三機、Ⅱ型が二機。 地上とは別口のようだ。
相手としては手頃だろう。 下にはグロウモスもアイロニーもいる。
フォローも期待できるので、じっくりと観察できそうだった。
キマイラ三機が散開しようとした所でグロウモスの狙撃が飛ぶ。
一機が射抜かれて爆散。 残りが変形後、的を絞らせない為に加速する。
ヨシナリも応じるように変形して加速。 敵機は上下で挟むつもりのようだ。
バレルロールしながら旋回し、ロックオン警告。 ミサイルが飛んでくる。
内蔵機銃で撃墜。 その間に残りが直上から急降下、背に積んでいる突撃銃を連射。
バレルロールで回避しながら下の敵機を射線に収めると銃撃が一瞬停止。 そこを狙って急上昇。
敵機は迷ったが銃撃を選択。 だが、少し遅い。
即座に肉薄し、すれ違う直前に変形。 エネルギーウイングを噴かして横回転しながら足を延ばす。
それにより、変形しながら蹴りを繰り出せる。 敵機を捉えた蹴りは推力偏向ノズルを破壊。
錐揉みするように墜落。 落ちる前にアシンメトリーで撃ち抜いてとどめを刺す。
残りはちょうどグロウモスに撃ち落とされていた。
『グロウモスさん。 ちょっとホーコートの動きをみたいんでお願いしてもいいですか?』
『様子見って事でいい?』
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