Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第7話

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 その後、時間いっぱいまでヴルトムと一緒にミッションを周回した。
 しばらくするとヴルトムが用事があると言う事でその日はお開きとなった。
 そこそこ暖かくなった懐にヨシナリは思わず笑顔になる。

 自分の機体と資金、後はショップの値段を順番に眺めてどうしようと考えていた。
 トルーパーの扱いにも慣れて来たのでそろそろこのゲームの本領である対人戦を視野に入れる事にしたのだ。 参考にする為、同ランク帯の試合を見学したが、ヴルトムの言う通り躱して刺すか火力で押し切るかの二パターンが大半を占めていた。

 流行りではなく選択肢が多くないので自然とそうなって行った形だろう。
 両者の特性を取り入れた機体を扱う者もいるが半端な分、技量が露骨に出るので欲張るだけでは戦績は振るわない傾向にあるようだ。

 その辺を踏まえてヨシナリはどうしたものかと首を捻る。
 今まではミッションの特性上、射撃武器ばかり扱って来たので避けて躱すスタイルの方に傾いていた。
 一応、チュートリアルミッションを利用して色々と練習を行いはしたが、動かない的相手だと微妙だ。

 ――やっぱりその辺の答えは自力で見つけていくしかないか。

 俺の進む道は戦いの中にしかない! 
 そう考えてヨシナリは少し恥ずかしくなって身をくねらせた。
 思春期特有の病から半端に抜け出した彼はそう言ったセリフや行動に強い憧れと羞恥の両方を感じるので、やった後に思い出して恥ずかしいと顔を覆うのだ。

 ともあれ、やってから考えればいいのだ。
 どうせ低ランク帯だと負けても特に失いものもないので、気軽に試して気軽にアップデートしていけばいい。 取りあえずヨシナリはライフルと突撃銃、後はナイフとやや嵩張る装備でランク戦に挑む事にした。

 IからFまでは十勝で昇格となる。 一先ずはIランクで十勝し、一つ上のHランクを目指す。
 同ランク帯ならまだ機体の操作に慣れていない者も多いので頑張れば行けそうだ。
 実際、Fランクの試合を見て自分でも勝機を見出せそうだったので、それよりも格下なら今の自分でもどうにかなるだろう。

 「いざ、初陣」

 ウインドウを操作してランクマッチに登録し実行。
 数秒のマッチング時間を経て戦闘開始。 対戦相手のランクとプレイヤーネームが表示される。
 同ランク帯なのでそこまでやり込んでいない相手の筈だ。 プレイヤーネームは『ヂウ』

 機体情報の部分は空欄。 これはこのゲームの機能の一つで対戦した相手の情報は登録され、再度マッチングするとどのような機体を使って来たのかが分かるようになっている。
 フィールドは荒野。 何もない荒野にヨシナリの機体――ホロスコープが出現し、同時にレーダーに敵の位置が表示された。 そこそこの距離があるのでまずはとライフルで牽制かなと考える。
 
 まだ始まっていないので機体は動かせず、武器はロックされていた。
 画面内にカウントダウンが表示され、戦闘が開始。 ヨシナリは戦いが始まり、武器のロックが解除されたと同時にライフルによる狙撃。 当たってくれると楽だなと思い――遠くで小さく爆発の光が見えた。

 「当たったっぽいな」

 ラッキーと思いながら排莢を行って次を撃ち込む。
 取りあえず近寄られるまでライフルでチクチク削るかと撃ち込むのだが――命中、命中、また命中。
 ヂウというプレイヤーはあまり動きが良くなかった事もあって面白いように当たる。
 
 どうにか回避しようとしているが、慣れていない所為かヘリより少し当て難い程度だった。
 七発目でいい所に当たったのか崩れ落ちて爆散。 決着となった。
 
 「――……あれ?」

 ヨシナリは思わず首を傾げた。 もう終わり?
 随分と呆気ないなと思いながら戦闘が終了した事で相手の機体構成を確認する事ができるので見てみると武器は突撃銃のみで、追加装甲を盛っていたが腕や足などの部分的なものだったので胴体を捉えて仕留められたようだ。 リプレイ映像で確認すると手足の追加装甲で防ごうとしていたが、上手くいかずに七発目で胴体貫かれて爆散。 正直、見るべき所があまりない戦いだった。

 ステージに救われた面もあったが、ライフルによる一方的な攻撃で終わったので改善するべき点もない。 精々、ついていたなと言った感想が出た程度だった。
 
 「……次だな」

 再度、マッチングを行って戦闘開始。 相手のプレイヤーネームは『バーガー』。
 ステージはジャングル。 木々があるので射線が通らない。
 ライフルはまず当たらないので突撃銃をメインに中距離での戦闘を行うべきか。

 脳裏で戦い方を組み立てながら深い木々をかき分けてレーダーを頼りに敵機を探す。
 ある程度距離が詰まって来た所で、相手が先に撃ってきた。
 突撃銃を乱射している。 恐らく有効射程に届いたと同時に撃ちまくる事にしたのだろう。

 ヨシナリは機体を屈ませて身を低くしてやり過ごす。
 撃ちまくっているので位置が丸わかりだ。 逆にこちらは撃ち返していないので位置は特定されていない。 狙っていない点からもこの辺りに居る程度の認識だろう。
 
 マズルフラッシュで位置がバレるので一対一の状況で無暗やたらに撃つのは他のゲームでもあまり褒められた行為ではなかった。 ヨシナリはまぁいいかと弾が切れてマガジン交換を行ったタイミングで突っ込んで敵機をハチの巣にする。

 ――うーん。

 こちらも余り反省する点のない内容だった。
 敵が勝手に撃ちまくって居場所を晒したのでタイミングを見計らって撃ち返して終わり。
 敵機の構成を見ても色が変わっているだけでほぼ初期装備だ。

 もしかしたら俺ってちょっと強いんじゃないだろうかと少し自惚れた気持ちになるが、ランクが上がればプレイヤーの質も上がるはずなのでやっていれば自然と歯ごたえのある相手と当たるだろう。
 取りあえず、次を――と思ったが、そろそろ食事の時間なので一端をログアウトする事にした。

 ゲームから離れ、ヨシナリから嘉成へ、アバターから肉体に戻るとちょうど食事が出来上がったらしく部屋を出てリビングへ向かう。
 食事の準備を済ませた母とちょうど仕事を片付けた父が席に着いていた。
 あまり会話はないので嘉成は席に着いて料理を口に運びながらウインドウを操作してニュースサイトを開く。 内容は惑星開発についてだ。

 太陽系の外縁に存在する惑星の開拓を進めようとした計画で事故が起こったと報じられている。
 宇宙開発はまだまだ技術的に難しい点があるようで、進みは遅い。
 嘉成はいつか宇宙に行ってみたいなとぼんやり考えて食事を片付ける事に集中した。
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