Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第51話

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 戦闘終了の表示と共にリザルトが表示。
 同時に事前の取り決め通りにレラナイトの持っていたソルジャーⅡ型系列のパーツの所有権が全て移動した。 ヨシナリが確認するとズラズラとリストにパーツの詳細が表示される。

 ざっと見ただけでブースター等の推進装置、外装、センサー類、武装などなど。

 詳しい確認は後でいいだろうとウインドウを消す。 場所は戦闘が始まる前に居た場所。
 マルメルは喜ぶのかと思ったが、ほっと胸を撫で下ろしていた。
 ふわわは特に何も反応を示さない。 そして対峙していたレラナイト達だが、大半は呆然としていた。

 戦力差は五倍でその大半をふわわ一人に全滅させられた事を考えると無理もない反応だ。 
 元々、ヨシナリの立てた作戦は速攻でレラナイトを撃破し、瓦解するであろう敵のチームを各個撃破するといった内容のものだった。 繰り返しになるが、大渦は悪い意味でレラナイト一人のチームなので非常に行動が読み易い。 リーダーであるレラナイトは特にだ。

 速攻、奇襲。 この二つが勝利の鍵で敵の位置を早期発見し、こちらの位置を把握させない事が重要だった。 その後は同様の手で削っていく予定で、その為に足元に広がる地下道を活用しようとしていたのだが、ふわわの能力だけは想定外だ。 流石に単騎で他を全滅させるとは思っていなかったのでこの結果はヨシナリとしても驚きの大きい結果だった。

 ――というよりはショックが大きいのはレラナイト達だろうな。

 レラナイトは現実を受け入れられないのか呆然としており、思い出したかのようにウインドウを操作して所持パーツを確認していた。 不意に操作している手が止まる。
 全て空になっている事を認識したが、現実を受け入れられないのだろう。

 「――サマだ」

 レラナイトが何かを呟き始めた。 
 よく聞き取れなかったが、碌な事ではなさそうだった。 
 面倒な事になる前にさっさと引き上げようとしたがレラナイトの動きは素早く、ヨシナリは掴みかかられた。

 「イカサマだろ! どんなイカサマをしやがった! 卑怯な真似しやがって! お前にはスポーツマンシップはないのか!? もう一度だ! 俺が勝ったら全部返してお前らの有り金も全部寄越せ!」
 「いや、あんたパーツ全部没収されたじゃないですか? どっちにしろ無理でしょ」
 
 内心で面倒なキレ方しやがったと思いながらそう返す。
 そもそも卑怯な真似したのはお前らだろうがと思ったが、言っても無駄なのでそこには触れない。

 「だったらパーツを返せ!」
 「嫌ですよ。 あれはもう俺達の物です。 貴重なパーツをありがとうございました。 またⅠ型から頑張ってください」
 「この――」

 レラナイトの拳が振り上げられ、ヨシナリのアバターの顔面に炸裂する。
 ちらりとレラナイト仲間を見ると烏合の衆だけあって反応も分かり易い。
 一部はウインドウで何らかの操作を行ってその場からいなくなり、一部は棒立ち、残りはやっちまったなといった様子で顔を手で覆う。

 「テメエやりやがったな!」
 
 即座にマルメルが助けに入ろうとしていたがヨシナリは手で制する。
 どうせ痛みの感じないアバターだ。 好きなだけ殴らせてやればいい。
 終わったらやった事の責任は取ってもらうが。 レラナイトは一発では気が済まなかったのか、更に殴ろうとしていたがいつの間にか背後にいたふわわがその腕を捻り上げて地面に引き倒す。

 「はぁ、レラナイトさんだっけ? あんたみたいな人ってはっきり言わないと分からないみたいから言うけど、ちょっと卑し過ぎじゃない? 強い手下が欲しい、強い武器が欲しい――最後は都合のいい彼女が欲しい?」
 「離せよクソ女! 折角、目をかけてやったのにこんなイカサマをするなんてガッカリだ! 通報されたくなかったら盗んだパーツを返せ! そうしたら俺も穏便に済ませて――」

 まともな会話になっておらず、見苦しく喚くレラナイトを見てヨシナリはちょっとした驚きを感じていた。
 この高いモラルを要求するゲームでこんな輩が普通に棲息できる事にだ。
 少し考えてあぁと納得した。 もしかしてユニオン機能ってこういった輩の炙り出しも含まれているのだろうかと思ったからだ。

 ユニオンというシステムは集団を形成する事で利益を得られる。
 それは質、量が多ければ多いほどに大きい。 少なくともこれまで個人で行動して来た者達は集団行動の適性が試されるといっていいだろう。 
 
 この手のトラブルはこれからあちこちで起こる。 
 場合によっては運営ルールに抵触し、追放される可能性も充分にあり得るはずだ。
 
 ――この運営は何を考えているんだ?

 明らかにプレイヤーを間引いているとも取れる行動に疑問は尽きない。
 選ばれし人間だけが住めるディストピアのモデルケースでも作ろうとしているのだろうか?
 そんな疑問がふっと浮かんだが、考えすぎかと内心で肩を竦めると二人に声をかけてその場を後にした。 レラナイトはその場に放置だ。 礼儀を払う必要のない相手は無視しても問題ない。

 
 「ホント、感じ悪い人やったわ!」

 ホームに戻るとふわわがいつもの調子でぷんすこと怒りを露わにする。
 
 「つーか、割と最初から当たりきつくなかったっすか?」
 「いや、だってあの人、ウチが女って認識したら気持ち悪い声ですり寄ってくるねんもん。 アバターやから分からんかもしれんけど鳥肌が立つわ」
 「あー、確かにそりゃキモいっすね」

 雑談もそこそこにヨシナリはウインドウを可視化させると二人に見せる。
 
 「はい、取り合えず揉めそうな案件はさっさと片付けよう。 取り合えずレラナイトから根こそぎ奪ったⅡ型の関連パーツ及び装備一覧だ」
 「そういや互換性がないから使いたいんやったら一式積まんとあかんのやろ?」

 なんか喋り方変わったなと思いながらも敢えて触れずに話を続ける。

 「はい、パーツの規格がそもそも違うので無理に積もうとしても規格不一致って表示されてエラー吐くだけになります」

 レラナイトが持っていたⅡ型のコアパーツは頭部装備の大型センサー『ホークアイ』。 
 巨大なゴーグルのような見た目で高ランクのステルス装備以外は大抵の機体を早期に補足する事ができる便利な代物だ。
  
 それともう一つ。 内蔵型のセンサーシステム『ゼブラ』
 こちらはゴーグル型ではないのでホークアイに比べるとすっきりとした印象を受ける。

 「こっちのゼブラってやつの方がすっきりしてて使い易そうやね」
 「違いは何なんだ?」

 二人の質問にヨシナリはウインドウを操作しながら答える。
 
 「視野の広さと深さってところだな。 ホークアイは遠くまで見通せるが俺達が普段から使っている奴に比べるとかなり狭くなる。 双眼鏡か何かで遠くを見ている感じが近いかな? だから死角が増える」
 「ふーん? じゃあゼブラは?」
 「こちらは広さだ。 感度はかなり落ちるが真後ろ以外はほぼ見える」

 ほうほうと感心の声を上げる二人の反応に苦笑しながらヨシナリは説明を続ける。
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