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第120話
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カナタとユウヤ。
あの二人は元々幼馴染のような関係らしく何かにつけて彼女はユウヤの世話を焼いている様だ。
今回もその延長の痴話喧嘩に近い物であるのだろうというのがツガルの認識のようだが、ユウヤの様子を近くで見て来た身としては本当にそうなんだろうかと内心で首を傾げる。
少なくともユウヤは明らかにカナタの事を嫌っていた。
いや、嫌っているなんて生易しいものじゃない。 憎んでいると言っても過言ではないレベルだ。
その辺りをツガル達は知っているのだろうか? ヨシナリも付き合いが長い訳ではないのでユウヤの事をなんでも知っているとまでは言えないが、少なくとも友人とはいえSランクのラーガストを巻き込んで見ず知らずのヨシナリの所まで来たのだ。 苦手な相手に対する処置にしては明らかに度が過ぎている。
状況から察するにカナタはユウヤの事を好意的に見ているであろう事は間違いないが、ユウヤはカナタを酷く嫌っているのだろう。
そこでヨシナリは内心で首を傾げる。 何故ここまでの温度差が出るのだろうか?
カナタもユウヤの態度を見れば自分の事をどう思っているかぐらいは察する事ができるはずだ。
――にもかかわらずにそれに気づいている様子はない。
ちらりと視線を向けるとカナタが何やら口うるさく言ってユウヤが顔を逸らして聞き流している。
――これは俺の認識がおかしいのか?
まさかとは思うがアレはお互い照れ隠し的な感じの奴で本音では思い合っている?
さっぱりわからない。 ただ、この戦いでカナタを叩き潰せば鬱陶しい勧誘を封じる事ができるといった話もあったので混乱は深まる。
「まぁ、そんな訳でウチのボスは今回賭けをしたんだ」
「そっちが勝ったらユウヤさんは『栄光』に入る。 こっちが勝ったら勧誘を止めるって感じですか?」
「あぁ、だからウチのボスは随分と気合を入れてる。 俺としてもAランクプレイヤーが仲間になるのはユニオン的にプラスだから歓迎だ」
「なるほど」
言いながらヨシナリはあぁこいつらとはあんまり合わないなと少し思ってしまった。
人物ではなく戦力だけを見て数に入れる考えは好きではなかったからだ。 ユニオンというシステム上、頭数が居れば有利なのは間違いない。
極端な話、ユニオンに介護して貰えば自身のランクに見合わない装備を得る事も可能だからだ。
つまり引き入れる方は稼ぐ頭数が増え、入る方も恩恵が得られるのでどちらにとっても特になる仕組みといえる。 ただ、ヨシナリはそれを窮屈だと思った。
それを良しとするプレイヤーは多いだろう。 単純に効率だけを考えるなら賢いともいえる。
――ただ、それは楽しいのだろうか?
楽しみ方は十人十色。 人それぞれ、ユニオンというコミュニティの歯車となる事に喜びを見出す者はいるかもしれないし、それを否定する気は欠片もない。
ただ、ヨシナリにはその生き方は合わないだけの話だ。 何故、ゲームでそこまで使わなくていい気を使わなければならないのだろうか? 疑問は尽きない。
ヨシナリは楽しむ為にゲームをしているのであって他人との不要な摩擦で自身を研磨したいとは思っていなかった。 だから、マルメルやふわわのような合う奴とだけ組んでいたい。
その方が気楽で、何より楽しいからだ。 だからカナタのユニオン入りを強制するようなやり方は好きではなかった。 二人の問題ではあるので深入りする気はないが、負けてやるつもりもない。
――それに――
「話は分かりました。 当たったらお手柔らかに頼みますよ」
ヨシナリは意識してにこやかにそう口にした。
――こいつらには借りがある。
アバターの裏では獰猛な表情を浮かべて本音を隠す。
やられっぱなしは性に合わない。 特にセンドウには何もさせて貰えなかったという屈辱を与えられたのでここらでその辺りの清算は済ませておきたかった。
「おう、まぁ、お互い頑張ろーぜ!」
去っていくツガルの背を見た後、ヨシナリは小さく手を振って思った。
――前と同じと思うなよ。 ぶっ潰してやる、と。
チームメイトが強すぎるので自力で勝つまでは本当の意味での勝利ではないが、イベント戦、予戦と潜り抜けて掴んだ物を活かせているかの試金石には良い相手だ。 自分なりの勝利を手に入れてやる。
そう強く思いヨシナリは拳を握った。
残ったチームは二百。
そのチームが潰し合うトーナメント戦となる。 あの熾烈な潰し合いを生き残った者達だ。
どこも強いチームなのは間違いないのだが――
「四回も勝たなきゃならねぇのか面倒だな」
「あのクソ女。 ぶち殺す」
チームメイトの二人はもう勝つ前提で話を進めているのでヨシナリとしては割と大きな温度差を感じていた。 最初に当たるチームはユニオン名『カヴァリエーレ』ユニオンランクはⅢ。
参加メンバーはAランクプレイヤーが一人にBランクが四人、Cランク五人。
機体は当然のようにAランクは専用機にBは残らずエンジェルタイプ、Cはキマイラだ。
こういうのって時間置くものじゃないのかなとも思っていたが、もうそのまま一回戦を始めるようだ。
プレイヤー全員にこれより試合を開始するといったアナウンスが入り早々に機体に乗った状態でフィールドへ移動。 地形は荒野。
何もない場所なので互いの地力が出る地形といえるだろう。
狙撃する場合は遮蔽物が全くないので最悪と言っていい。 加えて人数も少ないので隠れる場所のないここではただの的だ。
――やるしかない、か。
ここはビビる所じゃない。 相手は数も多い格上。
予戦で微かに掴んだ何かと格上の戦いを見て得た物を形にするいい機会だ。
機体の配置は分かり易い。 数十キロ挟んで向かい合う形。
心の準備をする時間が欲しかったが、さっさと始めろと言わんばかりにカウントダウンが始まる。
「あのー、作戦とかってあります?」
「適当にやれ」
「皆殺し」
ラーガストは無責任に、そしてユウヤは明らかに機嫌悪くそう返した。
カウントゼロ。 その場に居た全ての機体が一斉に動き出した。
エイコサテトラは推力を全開にして真っすぐに突っ込み、アルフレッドは光学迷彩を使用したのかすっとその姿を消し、プルガトリオ地面を踏み砕く勢いで走り出した。
ヨシナリはその背を追うように背のブースターを噴かす。
相手も応じるように散会。 距離はそこまで離れていないので即座に互いを射程に捉え――
戦いが始まった。
あの二人は元々幼馴染のような関係らしく何かにつけて彼女はユウヤの世話を焼いている様だ。
今回もその延長の痴話喧嘩に近い物であるのだろうというのがツガルの認識のようだが、ユウヤの様子を近くで見て来た身としては本当にそうなんだろうかと内心で首を傾げる。
少なくともユウヤは明らかにカナタの事を嫌っていた。
いや、嫌っているなんて生易しいものじゃない。 憎んでいると言っても過言ではないレベルだ。
その辺りをツガル達は知っているのだろうか? ヨシナリも付き合いが長い訳ではないのでユウヤの事をなんでも知っているとまでは言えないが、少なくとも友人とはいえSランクのラーガストを巻き込んで見ず知らずのヨシナリの所まで来たのだ。 苦手な相手に対する処置にしては明らかに度が過ぎている。
状況から察するにカナタはユウヤの事を好意的に見ているであろう事は間違いないが、ユウヤはカナタを酷く嫌っているのだろう。
そこでヨシナリは内心で首を傾げる。 何故ここまでの温度差が出るのだろうか?
カナタもユウヤの態度を見れば自分の事をどう思っているかぐらいは察する事ができるはずだ。
――にもかかわらずにそれに気づいている様子はない。
ちらりと視線を向けるとカナタが何やら口うるさく言ってユウヤが顔を逸らして聞き流している。
――これは俺の認識がおかしいのか?
まさかとは思うがアレはお互い照れ隠し的な感じの奴で本音では思い合っている?
さっぱりわからない。 ただ、この戦いでカナタを叩き潰せば鬱陶しい勧誘を封じる事ができるといった話もあったので混乱は深まる。
「まぁ、そんな訳でウチのボスは今回賭けをしたんだ」
「そっちが勝ったらユウヤさんは『栄光』に入る。 こっちが勝ったら勧誘を止めるって感じですか?」
「あぁ、だからウチのボスは随分と気合を入れてる。 俺としてもAランクプレイヤーが仲間になるのはユニオン的にプラスだから歓迎だ」
「なるほど」
言いながらヨシナリはあぁこいつらとはあんまり合わないなと少し思ってしまった。
人物ではなく戦力だけを見て数に入れる考えは好きではなかったからだ。 ユニオンというシステム上、頭数が居れば有利なのは間違いない。
極端な話、ユニオンに介護して貰えば自身のランクに見合わない装備を得る事も可能だからだ。
つまり引き入れる方は稼ぐ頭数が増え、入る方も恩恵が得られるのでどちらにとっても特になる仕組みといえる。 ただ、ヨシナリはそれを窮屈だと思った。
それを良しとするプレイヤーは多いだろう。 単純に効率だけを考えるなら賢いともいえる。
――ただ、それは楽しいのだろうか?
楽しみ方は十人十色。 人それぞれ、ユニオンというコミュニティの歯車となる事に喜びを見出す者はいるかもしれないし、それを否定する気は欠片もない。
ただ、ヨシナリにはその生き方は合わないだけの話だ。 何故、ゲームでそこまで使わなくていい気を使わなければならないのだろうか? 疑問は尽きない。
ヨシナリは楽しむ為にゲームをしているのであって他人との不要な摩擦で自身を研磨したいとは思っていなかった。 だから、マルメルやふわわのような合う奴とだけ組んでいたい。
その方が気楽で、何より楽しいからだ。 だからカナタのユニオン入りを強制するようなやり方は好きではなかった。 二人の問題ではあるので深入りする気はないが、負けてやるつもりもない。
――それに――
「話は分かりました。 当たったらお手柔らかに頼みますよ」
ヨシナリは意識してにこやかにそう口にした。
――こいつらには借りがある。
アバターの裏では獰猛な表情を浮かべて本音を隠す。
やられっぱなしは性に合わない。 特にセンドウには何もさせて貰えなかったという屈辱を与えられたのでここらでその辺りの清算は済ませておきたかった。
「おう、まぁ、お互い頑張ろーぜ!」
去っていくツガルの背を見た後、ヨシナリは小さく手を振って思った。
――前と同じと思うなよ。 ぶっ潰してやる、と。
チームメイトが強すぎるので自力で勝つまでは本当の意味での勝利ではないが、イベント戦、予戦と潜り抜けて掴んだ物を活かせているかの試金石には良い相手だ。 自分なりの勝利を手に入れてやる。
そう強く思いヨシナリは拳を握った。
残ったチームは二百。
そのチームが潰し合うトーナメント戦となる。 あの熾烈な潰し合いを生き残った者達だ。
どこも強いチームなのは間違いないのだが――
「四回も勝たなきゃならねぇのか面倒だな」
「あのクソ女。 ぶち殺す」
チームメイトの二人はもう勝つ前提で話を進めているのでヨシナリとしては割と大きな温度差を感じていた。 最初に当たるチームはユニオン名『カヴァリエーレ』ユニオンランクはⅢ。
参加メンバーはAランクプレイヤーが一人にBランクが四人、Cランク五人。
機体は当然のようにAランクは専用機にBは残らずエンジェルタイプ、Cはキマイラだ。
こういうのって時間置くものじゃないのかなとも思っていたが、もうそのまま一回戦を始めるようだ。
プレイヤー全員にこれより試合を開始するといったアナウンスが入り早々に機体に乗った状態でフィールドへ移動。 地形は荒野。
何もない場所なので互いの地力が出る地形といえるだろう。
狙撃する場合は遮蔽物が全くないので最悪と言っていい。 加えて人数も少ないので隠れる場所のないここではただの的だ。
――やるしかない、か。
ここはビビる所じゃない。 相手は数も多い格上。
予戦で微かに掴んだ何かと格上の戦いを見て得た物を形にするいい機会だ。
機体の配置は分かり易い。 数十キロ挟んで向かい合う形。
心の準備をする時間が欲しかったが、さっさと始めろと言わんばかりにカウントダウンが始まる。
「あのー、作戦とかってあります?」
「適当にやれ」
「皆殺し」
ラーガストは無責任に、そしてユウヤは明らかに機嫌悪くそう返した。
カウントゼロ。 その場に居た全ての機体が一斉に動き出した。
エイコサテトラは推力を全開にして真っすぐに突っ込み、アルフレッドは光学迷彩を使用したのかすっとその姿を消し、プルガトリオ地面を踏み砕く勢いで走り出した。
ヨシナリはその背を追うように背のブースターを噴かす。
相手も応じるように散会。 距離はそこまで離れていないので即座に互いを射程に捉え――
戦いが始まった。
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