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第121話
――初戦からSランクと当たるとは運がない。
ユニオン『カヴァリエーレ』のリーダーでAランクプレイヤーのコンシャスは自分のくじ運のなさに泣きたくなったが幸か不幸か相手は三人。 数の利を活かせば充分に勝機はある。
彼の機体――白を基調とした機体でデザイン自体はソルジャータイプに近い機動性に寄りつつも汎用性に優れた機体で名称は『ヘヴストザイン』。
エイコサテトラ程の高速戦闘は不可能だが、機動力にはそこそこの自信はある。 それにラーガストと当たる事は彼の参加を知った段階で視野に入れており、対策は一応ではあるが練っていた。
本音を言えば全員で対処したいところではあったが、残りを抑える必要があるのでそちらにも人数を割かなければならない。 特にAランクのユウヤはコンシャス自身、何度も当たった相手なのでその厄介さは良く理解していた。 AI搭載の支援機を使用する非常に珍しいプレイヤーだ。
支援機は成長させれば非常に便利だが、そこまで持って行くのに手間と費用がかかる。
そうでもなければ使用しているユーザーはもっと増えているだろう。
何せ、支援機に使用したパーツは大破するとロストするのだ。 それはフレームも例外ではない。
つまり完全に大破すると支援機に使ったパーツは丸々消えてなくなるのだ。
しかもAIは戦闘回数を重ねる事で学習と最適化を行うので最初はかなり弱く、場合によっては足を引っ張る事すらある。 そんなお荷物を根気よく育てるのはマゾか何かではないかとコンシャスは思ってしまう。
それをAランク戦で通用するレベルまで持って行くのは執念を通り越して狂気とすら思っていた。
少なくともコンシャスには真似できない。 そんな狂気の果てに成長した支援機――アルフレッドは光学迷彩に様々な攪乱装備を備えた優秀な後衛だ。 ユウヤと一度でも対戦した上でアルフレッドをエネミーの延長と侮っている者は一人もいない。 警戒に値する敵だ。
それだけでも厄介なのにユウヤ自身の技量も極めて高い。 傍から見れば無謀に突っ込むだけに見えるが、こと近接戦においての反応の良さと攻撃の引き出しの多さは脅威だ。
だからと言って悲観する必要はない。 ユウヤは確かに強敵ではあるが、コンシャスにとっては『見知った』と但し書きが付く。 初見でない以上は効果的な戦い方は見えている。
そして最後の一人。 ユニオン『星座盤』のリーダー扱いだが、ランクはF。
使っている機体はソルジャータイプ。 最初に見た時は何の冗談だと思ったものだ。
ラーガストとユウヤ。 あの二人はこのゲームでも特に有名な個人主義者だ。
交流があるのは知っていたが、一定の距離感があったので慣れ合う関係ではないとコンシャスは思っていた。 だから二人がユニオンに入っていない事を知ってもまぁそうだろうなとしか思わない。
そんな二人を従えるのだからよほどの人物かとも思ったが、直接見てみると思わず首を傾げた。
外から見えるデータだけではあるがこのヨシナリというプレイヤーからは突出したものが見いだせない。 ユニオンはあの二人を合わせてたったの五人。
ヨシナリ自身の戦績は同ランク帯で比較すると平均は超えているがそれだけだ。
予戦でのリプレイ映像を確認したが動きは中々に悪くない。
遠、中、近と距離を選ばない戦い方は幅が広く、あらゆる状況に対応できる柔軟さがあった。
これから順調に成長すれば伸びていくだろう。 だが、このレベルの戦いに参加するにはやや力不足。
それがコンシャスがヨシナリに抱いた感想だった。
戦力の配分としてはラーガストにはコンシャス、キマイラタイプ四機で対処。
要はエイコサテトラを撃墜するのに半数を動員する。 他は残りで処理。
一番厄介なSランクを落とすまで抑えておくだけなので充分に可能と判断しての采配だった。
他を処理してから厄介な相手に集中するのも手だが、エイコサテトラのスピードを一度でも見ているならそんな手段は間違っても使えない。
「いくぞ。 エイコサテトラのスピードに気を付けろ!」
カウントダウンが終わり試合が開始。 距離はあるからと悠長な事をしていると碌な事にならない。
コンシャスとその仲間達は始まった瞬間、周囲に四角い装置を放り投げ、エンジェルタイプ地面を這うように飛んで散開。 瞬く間にエイコサテトラが距離を詰めてくる。
――来ると思ったぜ。
起動。 装置を起点として不可視のフィールドが形成される。
これはエネルギー系の装備の使用を無効にする装置だ。 エンジェルタイプ以上の機体はエネルギー系の武装に偏りがちなのでこういったピンポイントに特定の装備に対するメタは割と通用する。
エネルギーの収束を阻害するフィールドを展開し、影響範囲内ではエネルギー弾は霧散しエネルギー式のウイングはまともに動かない。 機体によっては飛行すらままならなくなるだろう。
ただ、完全に無効化するわけではなく、エイコサテトラの出力を完全に封じるのは不可能というのがコンシャスの見立てだ。 だが、足は遅くなる。
エイコサテトラ最大の長所はその機動力にある以上、足をもぎ取った上で袋叩きにすれば撃破は可能。
Sランクは最強であっても無敵ではない。 質で劣るなら数と装備で圧倒すればいいのだ。
欠点として味方のエネルギー系の武装も使えなくなるのでエンジェルタイプは全てユウヤへ達の対策へ回した。 それによりキマイラタイプだけになったが、推進システムがエネルギー系ではないのでこちらは十全にスペックを発揮できる。 これで勝ちの目が見える戦いになるだろう。
「手筈通り奴がフィールドの影響圏内に入った当時に仕掛ける。 ビビる必要はない。 Sランクだろうが奴もプレイヤー。 叩きのめして俺達の戦績に箔をつけるぞ!」
「おう、任せとけ! Sランクだかなんだか知らねーが、十対三とかナメプかましてくれたんだ。 後悔させてやるぜ!」
「撃破してSラン撃破したって自慢してやろう!」
「ぜってー俺が仕留めてヒーローになってやるぜ!」
コンシャスはそう言って仲間を鼓舞し、仲間達も威勢よく応える。
良いチームだ。 連携も形になっているのでそう簡単に負ける訳が――
次の瞬間、一機のキマイラタイプが矢のように飛んできたエイコサテトラのブレードに貫かれていた。
「――え??」
ユニオン『カヴァリエーレ』のリーダーでAランクプレイヤーのコンシャスは自分のくじ運のなさに泣きたくなったが幸か不幸か相手は三人。 数の利を活かせば充分に勝機はある。
彼の機体――白を基調とした機体でデザイン自体はソルジャータイプに近い機動性に寄りつつも汎用性に優れた機体で名称は『ヘヴストザイン』。
エイコサテトラ程の高速戦闘は不可能だが、機動力にはそこそこの自信はある。 それにラーガストと当たる事は彼の参加を知った段階で視野に入れており、対策は一応ではあるが練っていた。
本音を言えば全員で対処したいところではあったが、残りを抑える必要があるのでそちらにも人数を割かなければならない。 特にAランクのユウヤはコンシャス自身、何度も当たった相手なのでその厄介さは良く理解していた。 AI搭載の支援機を使用する非常に珍しいプレイヤーだ。
支援機は成長させれば非常に便利だが、そこまで持って行くのに手間と費用がかかる。
そうでもなければ使用しているユーザーはもっと増えているだろう。
何せ、支援機に使用したパーツは大破するとロストするのだ。 それはフレームも例外ではない。
つまり完全に大破すると支援機に使ったパーツは丸々消えてなくなるのだ。
しかもAIは戦闘回数を重ねる事で学習と最適化を行うので最初はかなり弱く、場合によっては足を引っ張る事すらある。 そんなお荷物を根気よく育てるのはマゾか何かではないかとコンシャスは思ってしまう。
それをAランク戦で通用するレベルまで持って行くのは執念を通り越して狂気とすら思っていた。
少なくともコンシャスには真似できない。 そんな狂気の果てに成長した支援機――アルフレッドは光学迷彩に様々な攪乱装備を備えた優秀な後衛だ。 ユウヤと一度でも対戦した上でアルフレッドをエネミーの延長と侮っている者は一人もいない。 警戒に値する敵だ。
それだけでも厄介なのにユウヤ自身の技量も極めて高い。 傍から見れば無謀に突っ込むだけに見えるが、こと近接戦においての反応の良さと攻撃の引き出しの多さは脅威だ。
だからと言って悲観する必要はない。 ユウヤは確かに強敵ではあるが、コンシャスにとっては『見知った』と但し書きが付く。 初見でない以上は効果的な戦い方は見えている。
そして最後の一人。 ユニオン『星座盤』のリーダー扱いだが、ランクはF。
使っている機体はソルジャータイプ。 最初に見た時は何の冗談だと思ったものだ。
ラーガストとユウヤ。 あの二人はこのゲームでも特に有名な個人主義者だ。
交流があるのは知っていたが、一定の距離感があったので慣れ合う関係ではないとコンシャスは思っていた。 だから二人がユニオンに入っていない事を知ってもまぁそうだろうなとしか思わない。
そんな二人を従えるのだからよほどの人物かとも思ったが、直接見てみると思わず首を傾げた。
外から見えるデータだけではあるがこのヨシナリというプレイヤーからは突出したものが見いだせない。 ユニオンはあの二人を合わせてたったの五人。
ヨシナリ自身の戦績は同ランク帯で比較すると平均は超えているがそれだけだ。
予戦でのリプレイ映像を確認したが動きは中々に悪くない。
遠、中、近と距離を選ばない戦い方は幅が広く、あらゆる状況に対応できる柔軟さがあった。
これから順調に成長すれば伸びていくだろう。 だが、このレベルの戦いに参加するにはやや力不足。
それがコンシャスがヨシナリに抱いた感想だった。
戦力の配分としてはラーガストにはコンシャス、キマイラタイプ四機で対処。
要はエイコサテトラを撃墜するのに半数を動員する。 他は残りで処理。
一番厄介なSランクを落とすまで抑えておくだけなので充分に可能と判断しての采配だった。
他を処理してから厄介な相手に集中するのも手だが、エイコサテトラのスピードを一度でも見ているならそんな手段は間違っても使えない。
「いくぞ。 エイコサテトラのスピードに気を付けろ!」
カウントダウンが終わり試合が開始。 距離はあるからと悠長な事をしていると碌な事にならない。
コンシャスとその仲間達は始まった瞬間、周囲に四角い装置を放り投げ、エンジェルタイプ地面を這うように飛んで散開。 瞬く間にエイコサテトラが距離を詰めてくる。
――来ると思ったぜ。
起動。 装置を起点として不可視のフィールドが形成される。
これはエネルギー系の装備の使用を無効にする装置だ。 エンジェルタイプ以上の機体はエネルギー系の武装に偏りがちなのでこういったピンポイントに特定の装備に対するメタは割と通用する。
エネルギーの収束を阻害するフィールドを展開し、影響範囲内ではエネルギー弾は霧散しエネルギー式のウイングはまともに動かない。 機体によっては飛行すらままならなくなるだろう。
ただ、完全に無効化するわけではなく、エイコサテトラの出力を完全に封じるのは不可能というのがコンシャスの見立てだ。 だが、足は遅くなる。
エイコサテトラ最大の長所はその機動力にある以上、足をもぎ取った上で袋叩きにすれば撃破は可能。
Sランクは最強であっても無敵ではない。 質で劣るなら数と装備で圧倒すればいいのだ。
欠点として味方のエネルギー系の武装も使えなくなるのでエンジェルタイプは全てユウヤへ達の対策へ回した。 それによりキマイラタイプだけになったが、推進システムがエネルギー系ではないのでこちらは十全にスペックを発揮できる。 これで勝ちの目が見える戦いになるだろう。
「手筈通り奴がフィールドの影響圏内に入った当時に仕掛ける。 ビビる必要はない。 Sランクだろうが奴もプレイヤー。 叩きのめして俺達の戦績に箔をつけるぞ!」
「おう、任せとけ! Sランクだかなんだか知らねーが、十対三とかナメプかましてくれたんだ。 後悔させてやるぜ!」
「撃破してSラン撃破したって自慢してやろう!」
「ぜってー俺が仕留めてヒーローになってやるぜ!」
コンシャスはそう言って仲間を鼓舞し、仲間達も威勢よく応える。
良いチームだ。 連携も形になっているのでそう簡単に負ける訳が――
次の瞬間、一機のキマイラタイプが矢のように飛んできたエイコサテトラのブレードに貫かれていた。
「――え??」
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