Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第327話

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 それで詰みだ。 完全に足が止まった敵機の足にユウヤの電磁鞭が絡みつく。
 放電。 敵機に高圧電流が走り機能が一時的に停止。
 ヨシナリは変形しながらアトルムとクルックスを抜いて構え、ユウヤは散弾砲を向ける。

 発射。 
 ヨシナリの銃弾は敵機のエネルギーウイングと頭部を穴だけにし、ユウヤの一粒弾が胴体に風穴を開けた。 爆散と同時にヨシナリとユウヤの機体は着地。
 
 僅かに遅れて敵機の残骸が彼等の背後に散らばる。

 「ガワを真似ただけで、ラーガストの足元にも及ばないカスだったな」
 「ですね。 不快な猿真似は雑魚ですらないので、カスでいいと思います」
 
 上では激しい戦闘の音が聞こえるが下は随分と静かだ。 
 周囲には先行した味方機の残骸が無数に転がっている。 
 恐らくはエレベーターシャフト内で撃破されたのだろう。 

 ――どうしたものか。

 無難なのはこのまま味方が追い付いてくるのを待つべきなのだが、時間をかけると追加が湧きかねない。 

 「どうします?」
 「行くぞ。 使える奴が勝手に追いついてくるだろ」
 「――そっすね」

 星座盤のメンバーのステータスは全員健在。 
 位置は真上で下に移動していない所から、上の敵に対応しているのだろう。
 流石に駆け出すような真似はせず、ユウヤはやや早足で施設内を進む。
  
 中は特に変化はなく、水が抜けているだけで来た時と全く同じだった。
 ヨシナリは周囲を警戒しながら考えていた。 運営の意図を。
 何故、一度外に出した後、戻ってくるように仕向けたのかが分からない。

 仕様と言われればそれまでだが、何か意図があるのではないかと疑ってしまう。
 知れた所で役に立つかは不明だが、気にはなる。 少し進み、そろそろ反応炉があった建物が近づいた辺りでシックスセンスが異変を捉えた。 

 僅かに遅れてユウヤも気が付いたのか足を止める。
 
 「先に入った連中が居るな」
 「みたいですね」

 内部で戦闘が行われている。 
 どうやらヨシナリ達よりも先に侵入したプレイヤーが奥にいる何かと戦っているようだった。
 識別が友軍の機体の反応が表示されるが凄まじい勢いで減っている。
 
 「あー、こりゃ着く頃には全滅かなぁ」
 
 一応、急いだのだが、通路を抜けて内部に入ると既に戦いは終わっていた。
 広い空間に大量の味方機の残骸。 キマイラ、エンジェルだけでなくジェネシスフレームの物と思われる残骸も大量に転がっている。 

 当然ながら彼等もただでやられた訳ではないようで、周囲には味方機だけでなく敵機の残骸も大量に転がっていた。 ここに来る途中に現れたSランクのコピー機の残骸らしきものが無数に見える。
 
 ――そして残っている敵機は一機。

 かなり特徴的な機体なので他と一緒でも目を引いただろう。
 形状は人型。 カラーリングは金――にしては暗いので黄土色。
 やや装甲を盛っているのかマッシブな印象を受けるが、動きを阻害しない為か、デザインとしてはかなりすっきりしている。 ブースターやスラスターなどの外部推進装置が見当たらない事も一因だろう。 明らかに噴かしている様子もないのに浮いている点からも例の重力操作の推進装置を使用しているものと思われる。

 そこだけ切り取れば特徴がないと思われがちだが、最も目を引くのは胸部だ。
 両胸に埋まるように頭部が二つある。 何に使うのかがよく分からなかった。
 センサーシステムの拡張? だとすると見た目以上に視野が広いのかもしれない。
 
 それとも頭部を模した武装の可能性もある。 
 どちらにせよ、この惨状を生み出した敵と考えると用心するに越した事はないからだ。

 「パクリ連中とは違うな」
 「これだけの人数が居たのにあっさり返り討ちに遭った事も気になります。 少し様子を見ましょう」 

 二人は即座に散開。 ユウヤは飛び降り、ヨシナリは上昇。
 まずは小手調べとアノマリーを実弾に切り替えて連射。 ユウヤも同期して散弾砲を発射。
 敵機は動かない。 二人の放った銃弾は命中する前に不可視の壁に阻まれて停止。

 ――妙な防がれ方だな。

 シックスセンスで敵機をフォーカス。 解析に入る。
 エネルギーフィールドの一種だと思われるが、既存の物と明らかに違う。
 何らかの手段で銃弾の運動エネルギーを奪った? 詳細は不明。
 
 反応炉が真下にある以上、無視する事は出来ないのだ。 
 対応は撃破一択。 防御手段の詳細が分からなければ解析して手品の種を暴き出せばいい。
 防御は見た。 次は攻撃だ。 

 ――さぁ、何をしてくる。

 どんな攻撃だろうとシックスセンスで兆候を見れば対処は――
 
 「――っ!?」

 それは運だった。 
 敵機がちらりとヨシナリの方へ視線を向けた事に嫌な予感を覚えたので、直感的に回避運動に入ったのだ。 次の瞬間、壁の一部が捻じれた・・・・
 
 そうとしか表現できない渦巻き状のパターンが刻まれていたのだ。
 
 「クソッ! なんだ今の? 全く見えなかったぞ!」
 「何をされた?」
  
 ユウヤが牽制に散弾砲を撃ち込むが効果がない。 

 「分かりません! エネルギー流動と動体センサーにも反応しない! こんなの初めてだ!」
 
 敵機は手を突き出すと空間から剣の柄のような物が出現。 
 よくよく見てみると独特なデザインで三鈷杵と呼ばれる代物に似ている。
 何もない空間から生み出したのは防衛戦のボスも似たような事をしていたので驚きはない。 
 
 軽く振るとぼんやりと透明の何か――恐らく刃が形成されるのが見えた。
 
 「――これもかよ……」

 エネルギー反応は僅かに見えるが柄だけで刃部分はセンサーに引っかからない。
 つまり視覚的には何かが見えているのだが、センサー的には何も無いのだ。
 これまではシックスセンスでの情報収集を基に戦いを組み立ててきたのだが、それが通用しない敵が出てくるとは流石に思わなかった。

 「切り替えろ! 正体は不明だが、剣って事ははっきりしてる。 だったら、このままやるしかないだろうが!」
 「了解」
 
 シックスセンスを使っていない頃に戻ったと思えばいい。
 ヨシナリは意識を敵にフォーカスする。 深く、鋭く、敵の一挙手一投足を見逃すな。
 まずは何が効くのかを見極める。

 ユウヤも同意見のようで、散弾砲を撃ちこんだ後、電磁鞭を一閃。
 敵機の防御フィールドに阻まれて散弾は停止。 電磁鞭は掻い潜ってユウヤへと肉薄。
 即座にヨシナリはアノマリーエネルギーに切り替えて三連射。 
 
 同時に手放してアトルムとクルックスを抜いて連射。
 敵は持っていた剣を雑に振るうだけでエネルギー弾は霧散。 実弾はさっきと同様に停止する。
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