Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第563話

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 ログアウト。 ヨシナリから嘉成へ。 ふぅと息を吐いてベッドで横になる。 
 あの後、マルメルは完全に寝落ちしていたので簡単な反省会と戦闘の決着を待って解散となった。
 結局、要塞を失った敵軍は拠点を攻めきれずに制限時間を使い切ってプレイヤー側の勝利で終了だ。
 
 満足のいく内容とはいえなかったが、及第点は付けられる活躍だったのではないかと自己採点する。
 イベント戦に関しては課題が見えた事もあって得るものはあったと思っていたが――

 「あぁ、そういえば何だったんだあいつは?」
 
 終盤の内容が濃い所為で忘れていたが、序盤に気になる事があったのだ。
 リベリオンフレームを筆頭にしたテロリストの使っていた機体が侵入してきた点。
 結局、どうやって入って来たのかはっきりしなかった事もあって考えれば考えるほど気になった。

 どう考えてもあの連中だけが浮いていたのだ。 
 装備もそうだが、明らかに他のエネミーと目的が違う。 
 組織的に動いているという点では一番統率が取れていたかもしれない。

 二層で一部が派手に暴れて陽動、本命が第三層へと侵入。 
 四層へと向かわずに三層に留まって何かをしていたとの事だが、はっきりする前に全滅させたらしいので分からずに終わった。 
 
 分からない事だらけだが嘉成としてはその際に遭遇したリベリオンフレームに興味があった。
 自分と似た機体構成、似た動き。 そして似た戦いの組み立て。
 非常に面白い相手だった。 

 機体の性能差があったので勝てはしたが、全く同じ条件、機体だったらどうだろうか?
 勝てると即答したい所ではあったが、分からなかった。 
 あいつとも機会があれば再戦して見たいものだ。 

 そんな事を考えながらウインドウを開き、いつものニュースサイトへとアクセス。
 面白そうなニュースはないかと検索すると――

 ・アフリカ地区でのテロリストとの大規模戦闘。 一部に逃走を許したが拠点の制圧に成功!
 ・月面に新たな宇宙港が完成! 一般開放も視野に入れ、月面旅行へのハードルが下がる。
 ・宇宙開発に追加予算の投入が決定。 不透明な内容に市民が怒りの声。

 最初のニュースはタイトル通り、アフリカ地区での大規模戦闘の結果だった。
 どうも砂漠の中に古い軍事施設のような物が残っており、そこを拠点としていたらしい。
 場所を特定した国軍が制圧に戦力を投入したとの事。 

 作戦は成功し、施設は制圧したがテロリストの一部は未だに逃走を続けているとの事。

 ――嫌だなぁ。 血生臭いのはゲームだけにしてほしいものだ。

 ドンパチがやりたいならゲームでやればいいのになと思いながら次のニュースへ。
 月面に宇宙港が完成との事だが、アミューズメント施設なども作るらしく、富裕層向けのリゾート地という印象を受けた。 

 ホテル、遊園地、カジノだけに留まらず月面である事を活かした月面歩行や宇宙遊泳などの体験ができるらしい。 
 正直、ちょっと面白そうとは思っているが、予定されている料金を見るととてもではないが手が出せない。

 ニュースによれば宇宙開発の成果を一般に公開する場を兼ねているとの事。
 それに対して嘉成は最近、金の使い方で突き上げを喰らってるからそれ対策かなといった感想しか出てこなかった。

 ――で、これか。

 次のニュースを開くと宇宙開発に追加の予算を投入と大きな見出しが目に入る。
 毎回、追加追加と湯水のようにジャブジャブ金を放り込んでいるので、使い方を説明しろと喚き散らすデモが世界中のあちこちで起こっているようだ。 

 世界規模なので事ある毎に数百億から数兆というとんでもない金が宇宙開発に流れている。
 使っている額の割には目立ったリターンが提示されないのでその辺をはっきりさせろとデモ活動を行っている人達が怒り狂っている訳だ。 

 ――上手くいってないんだろうなぁ。

 嘉成としてはそんな感想しか出てこない。 成果が報告できない、追加の予算が要る。
 誰かが中抜きしている可能性もなくはないが、上手くいっていないであろう事は明白だ。

 他の情報サイトでは宇宙開発は全くの嘘で莫大な予算は権力者に吸い尽くされている。 
 実は宇宙人との接触に成功し、連中のご機嫌を取る為に金が要るのではないか?
 かなりの数の軍人が宇宙に上がっている事から実は宇宙生物との最終戦争の真っ最中で、秘密裏に製造されている兵器を前線に送り続けている。 金がかかるのはその為だ。

 ――等々。

 この手の話題が出るといつも同じ話が出てくるが、やっぱり宇宙開発というワードが大き過ぎる事もあってこんな流れになるんだろうなと思ってしまう。
 現実的に考えると宇宙開発自体はやっているが、誰かが中抜きしているというのがありそうなオチだろうなと脳内で結論を出してウインドウを閉じる。

 ふぅと息を吐いて目を閉じる。 
 そのまま眠ってしまっても良かったが、別で考える事があった。
 ICpwに付いてだ。 イベントのローテーション的に次はサーバー対抗戦になる。
 
 ギリギリまで対戦相手が何処かは明かされないが、簡単に勝てる相手ではない事だけは確かだろう。
 イベントクリアが進んでいるサーバーだと訳の分からない武装を当然のように使ってくることが多いので初手から油断はできない。

 ――相手が何をしてくるのかが分からないのが怖いんだよなぁ。

 結局のところ、重要なのは対応力なのであまり考える事がない。
 それよりもランク戦での昇格についてを考えた方が現実的だろう。
 今のホロスコープならCランクなら問題なく勝ち上れる上、Bでも充分に通用する。
 
 問題はその先だ。 Aに上がる前にPを溜める必要があった。
 ジェネシスフレームを作る環境が整う前に昇格してしまえば碌に勝てずに沈むのは目に見えている。
 手っ取り早く稼ぐにはイベントで大物を仕留めるか、対抗戦で高ランクプレイヤーを仕留めるかのどちらかが簡単に思いつく手段だ。

 ランク戦の消化、資金集め、あとはプレイヤースキルの向上。
 特にここ最近は近接スキル――要は接近戦の引き出しを増やしたいと思っているので、イラの扱いを研究している所だった。

 ――とはいっても独学だと限界があるんだよなぁ。

 ベリアルはどちらかというと転移を絡めた格闘なので、部分的には参考になるが真似するにはハードルが高い。 

 ならユウヤはどうか? 
 イラの扱いに関しては非常に参考になるのは間違いないが、嘉成の思い描く戦い方とのズレを感じる。
 その為、切り口の違う接近戦を得意とするプレイヤーの動きを見たいといった気持ちが強いのだ。

 ――まぁ、何をするかは次にログインする時にでも考えればいいか。

 意識がぼんやりとしはじめ、嘉成はそのまま眠りに落ちた。
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