和製切り裂きジャック

九十九光

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#10ー2

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いはずの、あの残虐なシリアルキラーの捜査も中断せざるを得なくなったなんて。この状態で新しい事件が起きたらどうするつもりなのか。事件に発展した理由も、詳細な話の内容を除けば子供のケンカそのもの。なんでこんないい加減な人が警部補になれたのかが不思議でしょうがない。こいつこそ謹慎だけで済んだのがまさに奇跡だった。私かこいつの上司なら、迷うことなく降格と減給も追加して依願退職しなさいという雰囲気で圧迫してやるところだ。
 そしてこの辺にしておかないと、この時の父親への不満は書き出したらきりがない。
 その後、私はパパの腕をその場でつかんで家の中へ引っ張り込み、今にいたるというわけだ。
「はい、お茶」
「あ、ありがと、ママ。いい! 私が楓さんに初めて会ったのは栄のBOOK・OFFの中なんだよ! デリヘルや援交や普通の彼女と一緒にそんなところに入るわけないでしょ! 一課で殺人しか扱わない人でもそれくらいわかるでしょ!」
 騒音による近所迷惑も考えずに叱っていると、パパが今までになく小さく見えてくる。いい気味だという言葉以外、今になってもかける言葉が見つからない。
「それくらいにしてあげたら? この人が空気読めないのは今に始まったことじゃないんだから」
 横で私たちの様子を見ているママは、録画しておいた大河ドラマを見ながら、呆れと面白がっている感情が混じった感じで提案してきた。
 この人の感情のわかりにくさこそ、今に始まったことじゃない。私が小学生の時に健康食品のセールスが来た時も、ニコニコとした笑顔のまま「あんまり効果がなさそう」とか、「テレビショッピングで同じやつがもっと安い値段で売ってた気がする」とか、相手からすれば恐怖以外のなんでもないことを言いまくっていた記憶がある。
「だからママは甘いの! 時代は変わるもんなの! こんな頭の固いダメ男が年の功だけでいばり散らせる時代はもう終わってんの! ポケベルもブラウン管テレビも時代が終わったでしょ! それと同じ!」
 何を考えているのかわからないママに向かって、私も持論を力任せにぶつけてやった(絶対こんなよくできた言い回しじゃなかっただろうが)。
「あの……」
「何!」
 蚊帳の外に行きかけたパパの発言に、苛立っていた私は激しく冷たく言い返す。
「俺は、どうしたら……」
 パパはひどく恐縮した様子で質問した。もう一家の大黒柱も、ホームズを支えるワトソン役も似合いそうになかった。
「……。家の場所は知ってるの?」
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