和製切り裂きジャック

九十九光

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#12ー2

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マの言葉がなくても、適当な理由を作ってついて行っただろう。
 もちろん、今回私は事件に関する話を橋本さんから聞き出そうとか考えていない。私もそこまで鬼じゃないし、前にも言った理由で、聞いたところでなんにもならないと考えているからだ。
いつものことながら前置きが長くなったが、そうこうしているうちに藤が丘の橋本さんのアパートに到着した。
 地下鉄藤が丘駅から北東に歩いて十分ほどの場所にあるそこは、比較的古い造りの、乳白色の四階建てで一階層に十部屋ある物件だった。後で調べてみると、ここはかつて複数棟ある市営住宅だったらしく、南区への移転で解体される時に地元の不動産会社が一棟だけ買い取り、聴覚障がい者向けの物件として売り出したらしい。そのため建物正面にあるアスファルトの駐車場には、聴覚障がい者が運転することを示すステッカーが貼られた車が数台停まっている。他には愛知県警と印字されているパトカーが二、三台駐車停まっているだけで、数えきれない台数の報道陣のワゴン車や警察車両はどこにもなかった。事前にパパが言っていた通り、ある程度日数が経ってから行くことにしたのは正解だった。発生から二日経過とかの時期だったら、テレビカメラと警察官の群れで身動き取れなかっただろう。事件現場の部屋の位置はすぐにわかった。アパート裏側の、一軒家だらけの道路から見える狭いベランダ群の底辺部分の一つに、ブルーシートがかぶせられたところがあった。後で確認すると、107号室に相当する部屋だとわかった。
 パパがアパート入り口前で捜査員に事情を説明すると、すぐにアパートの大家さんの家を教えられた。橋本さんといざこざを起こしたパパを、精神的に不安定なあの人に合わせたくないのだと思った。
大家さんの家はアパート向かいに立っている一軒家だった。灰色のブロック塀に、それよりも背の高い濃い緑色の葉をつけた南天の植木に、外壁が金属でできた増築丸わかりの二階と、いかにも昔の日本の民家という感じの物件を改築した元平屋だった。
 私は買ってきたお菓子を持ってパパの後ろをついていく。パパがアパートを背にしてインターホンを鳴らすと、かん高い犬の鳴き声に混じって、「はーい」という男の人の声が聞こえてきた。小型犬でも飼っているのだろうか。
 曇りガラスのはめられた金属製の引き戸を開けて出てきたのは、背の高い金髪の若い男だった。服装もジーンズにドクロマークのラメが入った黒いシャツで、明らかに大家という雰囲気の人じゃなかった。大家さんの息子さんだろうか。
「あ、もしかして遺族の人ですか? 大家の氷川です」
 いや、このチャラそうな男が大家だった。どういう経緯でこんな奴がアパートの大家をやっているのか知らないが、あんまり頼りたくない第一印象の人だった。大方暇な時間は地元のライブスタジオでギター弾いているか、動画投稿サイトでメントスコーラやってみたって感じの動画上げているかの、うらやましいくらい時間のある生活をしていそうに見
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