13 / 25
部長の独白2
しおりを挟む
決断してからは、行動に移すのは早かった。
まず、1番良い大学へと進学し、時間ができたら彼女に会いに行った。
すくすく美しく育つ彼女に見惚れては、もっと頑張らなければ、と自分を鼓舞した。
大学卒業して就職すると、忙しくなり彼女に会いに行けない時期がながくなっていた。
流石に彼女を見ないと仕事も不調だと、仕事を切り上げ彼女の家の最寄りの駅に着くと、16歳になった彼女は、同じ高校の男子生徒と手を繋いでいた。
頭に雷を打たれたような激しい動揺と、衝撃が薄くなると沸々と怒りが込み上げてきた。
ーー瑠璃に触るなんてっ!
どうしようもない怒りに2人の手を引き離し、間に入ろうとしたのだが、思い留まった。
まだ、彼女の前に一度も出た事ない俺が2人の間に入ったら、確実に不審者になり初々しい彼女達の絆が深まりそうな気がした。
ーー耐えるしかない、耐えるしかない
ぐっと拳を握り、歯を食いしばった。
ーー俺に出来る事をしなければいけない
彼女の男を調べ、不穏な動きを見せるのを辛抱強く待った。
すると、男の方が女友達と出かけているのを知った。俺はこのチャンスを逃がさないと、写真を撮り浮気をしているとも、してないとも言えない微妙な写真を選び彼女のアドレスへと捨てアドで送った。彼女のアドレスは調査会社に頼み手に入れていた。
しばらくすると、彼女は付き合っていた男と別れた事を知った。きっと男も他にやましい何かあったのかもしれない。
それからといもの、彼女に男の気配が現れれば探偵を使い相手の弱点を調べ上げ、彼女の別れさせては早く彼女と一緒になりたいと強く思うようになった。
ーーだが、一番手強かったのは、最後の彼氏だな
名前は忘れたが、彼女のことを心底愛し彼女も強く惹かれていた。いくら調べようとも無害な男は、彼女との結婚を希望していた。そこで俺は彼の同僚を使い合コンを頻繁にセッティングしては、無害な男が掛かるのを待った。それでも落ちない男に苛々が募り始めた頃、男の同期の女が惚れているのに気がつき、すぐさま探偵を使い2人の仲を深め見事に瑠璃と別れさせる事に成功した。
ーー別れさせるのに、1年半掛かったが
その頃には瑠璃は軽い男性不信になったらしく、恋愛をする気配がなくなった。
別れの会話をして1人で帰る瑠璃が、涙を流している彼女を抱きしめたくてしょうがなかったが、ぐっと我慢した。
ーー彼女と結婚し生涯を共にするのは俺と決まっているから
それだけを信じてーー
*******************
ーー去年瑠璃が旅行に行けないと知ってどれだけ落胆したのか、君は知らないだろうな
彼女の頬に掛かる髪をどかしながら過去を振り返っていた。
ーーああ、やっと手に入れた…俺の…愛しい人
肩が露わになった彼女に口づけをする。先程よりも少し長めに触れ、ちゅぅっと音がする。
「んっ」
彼女の息が甘くなり、ゆっくりと目が開き俺を見ると微笑んだ。そのまま彼女に覆い被さるように彼女の左肩に顎を乗せると、彼女が左腕を上げ俺の髪に指を絡めた。
「起こしちゃってごめん」
ちゅっちゅっと肩にキスをする。擽ったそうに肩をすくめる彼女は、ふふふっと笑い俺の耳のもみあげにお返しにキスをしてくれる。
「もう…朝…?」
「ああ、もう朝だ」
肩越しに彼女と啄むキスに、至福の時を感じる。彼女の左腕の形を確かめるように触り手を取る。彼女の腕を曲げると彼女の細い指の薬指に、昨日プレゼントした指輪がキラキラと光る。お互い指輪を見つめ指を絡めると、彼女の指も俺に絡める。
「大事にする」
「…信じてます」
濁すように言う彼女に、歴代の恋人との別れの原因を作っていた俺は苦笑する。
ーー信じなくてもいいさ、もう俺のものだから、手放したりしない
そういえば、彼女の言う重いと言っていた言動は、付き合うなら当たり前の事すぎて、彼女なら喜んで束縛されたいと願い、彼女の肩に顔を埋めた。
まず、1番良い大学へと進学し、時間ができたら彼女に会いに行った。
すくすく美しく育つ彼女に見惚れては、もっと頑張らなければ、と自分を鼓舞した。
大学卒業して就職すると、忙しくなり彼女に会いに行けない時期がながくなっていた。
流石に彼女を見ないと仕事も不調だと、仕事を切り上げ彼女の家の最寄りの駅に着くと、16歳になった彼女は、同じ高校の男子生徒と手を繋いでいた。
頭に雷を打たれたような激しい動揺と、衝撃が薄くなると沸々と怒りが込み上げてきた。
ーー瑠璃に触るなんてっ!
どうしようもない怒りに2人の手を引き離し、間に入ろうとしたのだが、思い留まった。
まだ、彼女の前に一度も出た事ない俺が2人の間に入ったら、確実に不審者になり初々しい彼女達の絆が深まりそうな気がした。
ーー耐えるしかない、耐えるしかない
ぐっと拳を握り、歯を食いしばった。
ーー俺に出来る事をしなければいけない
彼女の男を調べ、不穏な動きを見せるのを辛抱強く待った。
すると、男の方が女友達と出かけているのを知った。俺はこのチャンスを逃がさないと、写真を撮り浮気をしているとも、してないとも言えない微妙な写真を選び彼女のアドレスへと捨てアドで送った。彼女のアドレスは調査会社に頼み手に入れていた。
しばらくすると、彼女は付き合っていた男と別れた事を知った。きっと男も他にやましい何かあったのかもしれない。
それからといもの、彼女に男の気配が現れれば探偵を使い相手の弱点を調べ上げ、彼女の別れさせては早く彼女と一緒になりたいと強く思うようになった。
ーーだが、一番手強かったのは、最後の彼氏だな
名前は忘れたが、彼女のことを心底愛し彼女も強く惹かれていた。いくら調べようとも無害な男は、彼女との結婚を希望していた。そこで俺は彼の同僚を使い合コンを頻繁にセッティングしては、無害な男が掛かるのを待った。それでも落ちない男に苛々が募り始めた頃、男の同期の女が惚れているのに気がつき、すぐさま探偵を使い2人の仲を深め見事に瑠璃と別れさせる事に成功した。
ーー別れさせるのに、1年半掛かったが
その頃には瑠璃は軽い男性不信になったらしく、恋愛をする気配がなくなった。
別れの会話をして1人で帰る瑠璃が、涙を流している彼女を抱きしめたくてしょうがなかったが、ぐっと我慢した。
ーー彼女と結婚し生涯を共にするのは俺と決まっているから
それだけを信じてーー
*******************
ーー去年瑠璃が旅行に行けないと知ってどれだけ落胆したのか、君は知らないだろうな
彼女の頬に掛かる髪をどかしながら過去を振り返っていた。
ーーああ、やっと手に入れた…俺の…愛しい人
肩が露わになった彼女に口づけをする。先程よりも少し長めに触れ、ちゅぅっと音がする。
「んっ」
彼女の息が甘くなり、ゆっくりと目が開き俺を見ると微笑んだ。そのまま彼女に覆い被さるように彼女の左肩に顎を乗せると、彼女が左腕を上げ俺の髪に指を絡めた。
「起こしちゃってごめん」
ちゅっちゅっと肩にキスをする。擽ったそうに肩をすくめる彼女は、ふふふっと笑い俺の耳のもみあげにお返しにキスをしてくれる。
「もう…朝…?」
「ああ、もう朝だ」
肩越しに彼女と啄むキスに、至福の時を感じる。彼女の左腕の形を確かめるように触り手を取る。彼女の腕を曲げると彼女の細い指の薬指に、昨日プレゼントした指輪がキラキラと光る。お互い指輪を見つめ指を絡めると、彼女の指も俺に絡める。
「大事にする」
「…信じてます」
濁すように言う彼女に、歴代の恋人との別れの原因を作っていた俺は苦笑する。
ーー信じなくてもいいさ、もう俺のものだから、手放したりしない
そういえば、彼女の言う重いと言っていた言動は、付き合うなら当たり前の事すぎて、彼女なら喜んで束縛されたいと願い、彼女の肩に顔を埋めた。
53
あなたにおすすめの小説
禁断溺愛
流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。
体育館倉庫での秘密の恋
狭山雪菜
恋愛
真城香苗は、23歳の新入の国語教諭。
赴任した高校で、生活指導もやっている体育教師の坂下夏樹先生と、恋仲になって…
こちらの作品は「小説家になろう」にも掲載されてます。
兄の親友が彼氏になって、ただいちゃいちゃするだけの話
狭山雪菜
恋愛
篠田青葉はひょんなきっかけで、1コ上の兄の親友と付き合う事となった。
そんな2人のただただいちゃいちゃしているだけのお話です。
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しています。
オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない
若松だんご
恋愛
――俺には、将来を誓った相手がいるんです。
お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。
――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。
ほげええっ!?
ちょっ、ちょっと待ってください、課長!
あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?
課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。
――俺のところに来い。
オオカミ課長に、強引に同居させられた。
――この方が、恋人らしいだろ。
うん。そうなんだけど。そうなんですけど。
気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。
イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。
(仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???
すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。
パーキングエリアに置いていかれたマシュマロボディの彼女は、運ちゃんに拾われた話
狭山雪菜
恋愛
詩央里は彼氏と1泊2日の旅行に行くハズがくだらないケンカをしたために、パーキングエリアに置き去りにされてしまった。
パーキングエリアのフードコートで、どうするか悩んでいたら、運送会社の浩二に途中の出口に下ろすと言われ、連れて行ってもらう事にした。
しかし、2人で話していく内に趣味や彼に惹かれていって…
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる