婚約破棄された令嬢は騎士団長に溺愛される

狭山雪菜

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2人の時間

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久しぶりに2人で摂る食事も終わり
辛いだろう、と横抱きに持ち上げられ連れて行かれる寝室

ゆっくりソファーへ降ろされ、ホークは着替えるために一度退室した
入れ替えでハンナが来て軽くシャワーを浴びて、黒いワンピースタイプの夜着に着替えソファーに座り、ハンナの淹れたお茶を飲む
するとガウン姿のホークが入り、ハンナにおやすみというと下がる
ホークはソファーに座ると当たり前のようにマリアを膝の上に座らせ、マリアもホークの肩に頭を乗せ身を寄せる
しばらくお互い無言だったが、マリアが
「…ホーク様…あの…今日から月のモノ…が」
言いにくそうにモジモジしている姿は可愛く、手を出しそうになった手が空を切り思い留まりマリアの背を撫でるだけにした
「そうか」
ホークの返事を貰い安心したマリアは彼の喉仏をうっとりと眺め
「…赤ちゃん出来ませんでした」
するりと零れた言葉に自分自身が驚く
残念とも、まだ2人だけの時間が出来たとも複雑な感情だ
「…そうだな」
「ホーク様…ホーク様は…」
「…ん?」

顔を上げ優しい眼差しのホークと目を合わせるマリアは意を決して口を開く

「ホーク様は…今子供欲しいですか?」
「………そうだな…こればかりは神のみぞしる…だが…出来たらまだ、2人の時間を大切にしたい」
少し考えて慎重に言葉にするホークに、2人の時間と…反芻して目が潤む
「…私も…私も!もう少し2人で居たいです」
ホークの首に腕を回し抱きつくマリアに背を回すホーク
額をくっつけ啄むキスにお互いクスクス笑う

「…避妊薬…飲みますね」
甘い香りの彼女が囁くと、ああ、と低い声が答えた






****************







そういえば、報告されている事と好きって伝えてない!と気がついたのは生理も終わる6日目だった

初日に私の想いが伝わっている事を知って顔を見れなかったけど、抱きしめられた時にどうでも良くなってしまった
だってホーク様の香りに包まれ、目を合わせてないと気がついて勿体ないと思ったからだ
彼と一緒にいれるのは帰って来てから朝までだけだから





「…王家主催の祝賀会ですか?」

仕事が落ち着いたのか夕食時間を一緒に過ごし、定位置になったホークの膝の上でこの数日寝るまでのおしゃべり時間で城での祝賀会の参加を言われた

「ああ…騎士団が5年間死者なしで国中を巡回した事を讃えるとの事だ」
「…でもホーク様達が戻って来たのは9ヶ月前ですよね?…今ですか?」
困惑してホークを見るが、同じ気持ちだったのかホークは苦虫を噛み潰したような顔だ
私の手を取りホークの親指の背で私の手の甲を撫でる

「王命だから出席せねばならない、3日後の夜一緒にエスコートさせてくれ」
恭しく手の甲にキスを落とすホークにときめく

「…はい」
夫婦になって初めての公の場だから、ホーク様の評判に傷をつけないようにしっかりしないとね

メラメラと使命感を持つ私にホークの目が笑っていない事に気がついていないマリアだった


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