婚約破棄された令嬢は騎士団長に溺愛される

狭山雪菜

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ハイネックのAラインの赤いドレスは鎖骨は赤いレースと裾に赤い花があしらわれており、腰の細さを引き立てる
ローヒールの赤い靴は主役のホークと一緒に長時間行動を共にするため履きやすいものにした
薬指にはホークからもらった赤い宝石が装飾されている指輪と結婚指輪の2つが輝く
銀色の美しい髪は赤い宝石が付いた髪留めのお団子でアップし、サイドに髪を少し垂らす

大きな鏡で全身チェックし
「ハンナ今日の私はどうかしら?」
「1万点ですわ」
と即答するハンナに呆れる
「厳し目にお願い、今日はホーク様の横に立って挨拶しなければいけないの、失敗は許されないわ」
ハンナは私にいつも甘いので咎める
「ですから1万点ですわ、なんなら今日行かないとか言いそうですが」
そう言ってハンナじゃ当てにならないと、自分自身をもう一度チェックするが
「…ホーク様カラー入れすぎかしら…減らした方がいいのかしら」
ぼそりと言ったひと言にハンナは慌てて
「いいえ!絶対にダメです!それだけはやめてください!」
と部屋から無理矢理送り出された



廊下で待っていたのはホーク様と執事のアークで、2人とも私を見て目を見開く
私も彼の勲章が胸元に色とりどりのいくつも飾りが付いている白い軍服姿に見惚れるが、ハッと我にかえる


「…やっぱり派手でしたか?」
ひと言も発しない2人に不安になり、着替えようと足を動かそうとすると
「…いや…美しい」
「そうですよ奥様、こんな美しい方は見たことありません」
それぞれ褒めてくれる
「ありがとうございます」
と一礼すると、手を差し出すホーク様
「行こうか」
低く呟く彼の手を取り一緒に歩き始めた






****************





馬車に乗り込み2人きりになった車内で膝の上に乗せようとするホーク様の手を止めた
「…どうした」
手を止められるとは思っていなかったのか不機嫌な声が耳元にかかる
「ホーク様の軍服にシワが出来てしまいますわ」
「…ふっ…それなら気にするな」
言い終わる前に手を引かれ膝の上に乗せられた

一応シワにならないよう慎重に座りホーク様の手に触れ握るが、慎重に座ったのにいつものようにぐいっと腰を寄せられる
お互いクスクス笑い馬車が動き出した


「ホーク様、騎士団の事を勉強したのですが、他に気をつける事などアドバイスはありますか?」
「…特にはない、むしろ側から離れるな」
ギュッと私の肩に頭を乗せ甘えるホーク様に胸がきゅんとする

ーーかっ…可愛い!!
抱きしめたいのを我慢して空いた手でホーク様の頭を撫でた



城に到着し、馬車からホークの手を借り降り、ホークが折り曲げた腕に手を添えた
会場内に近づくとだんだんと音楽が聞こえ、入り口から中が、人々は談笑し立食しているのが見える
私とホークが入ると人々は談笑をやめ静まり音楽のみが聴こえる

「?」

ギュッと腕に触れていた手に力が入る

ーーなんで静かになるの?!

心の中は凄く焦っているが感情を出さないよう無表情になる
するとホークに上から手を重ねられ、見上げると目を細めた彼と目が合い、
大丈夫と言っているような気がして
ホッとして微笑み返す
今度はどよっと騒がしくなり、談笑がまた始まり私達は国王陛下と王妃に挨拶に向かう


会場内にはエリカの慰労会にいた騎士団員も何人かいて見知った顔を見つけ肩の力が抜けた
国王陛下の元へ向かうと数人の列が出来ていたので並びゆっくり進む

私達の番になり、ホーク様が挨拶し言葉を交わすその後に私が軽く挨拶すると
「スワローズ…いやダリウス夫人よく来てくれた」
相変わらず渋い声の国王陛下
「マリア夫人ようこそいらっしゃいました」
にこにことする王妃に
「ご招待ありがとうございます」
お礼を伝えた

次の人も待っていたのでホークに手を引かれるままフロアに戻った
すると、騎士団員の人達と挨拶をしホーク様は話し込み
家では見せない仕事の時の真面目な顔になっていた
ーー家ではいつも優しい顔をしているから新鮮で…かっこいいわ

ホーク様に見惚れていたら、人混みをかき分ける騒ぎがした
近くなっている騒ぎに目を向けると


「マリア!」



王太子とミナ様だった
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