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復讐は華やかに③
しおりを挟む「他の皆さんもお久しぶりです。あの崖以来ですね。」
カインはにこやかに笑みをたたえながらお辞儀をする。以前の面影はなく上等の衣服に身を包み、その顔は泥だらけのクェイルの取り巻きより端正な顔をしていた。
テンペスト国の一部は私とは違って彼の事を知っている者も多い。それは彼が前世持ちで造り手であるためである。
いつの間にか消えていた彼を誰もが噂をしていた。逃げ出したや殺されたなど。
そんなカインが騒がれずに会場に入れたのは、目立つ様に登場した私や、両親のおかげだった。
この世界に産んでくれた両親は幼い私と兄から無理やり引き離されて、望まぬ爵位を上げらる事になった。その後のカインの謎の失踪、私の隣国への付き添い。色々な噂で精神的に限界であった。
そこに私が帰って来た。
事情を知った両親は利用した貴族への怒りを示したがまずは涙を流して抱きしめてくれました。
カイン兄さんとも再会出来て、色々と協力をしてくれています。
「いやぁ、斬られて崖に落とされたときは死ぬかと思いましたよ。」
「なんで、い、生きてるのよ。」
「偶々、偶々が重なってね。無事、妹とも再会できたよ。」
妹という言葉に、私達の相互依存関係を知る人達は、目を見開き、声を失っていた。
数人からは、私を無理矢理手込めにすれば良かったと呟いて周りから冷たい視線を送られている。
もちろん、クェイル姫達も知らなかったのでしょう。
幼かったとはいえ、私は前世の記憶を持ち、カインは私の話をきいて物が造れるほど頭が良かったので、演じるべきなのは理解していた。
「貴女方の罪状は、殺人未遂、監禁、暴行、戦争斡旋、国家反逆罪等々といっぱいありますね。」
証人も証拠映像もあるのだから、もう逃がしはしない。私達の苦しみを味わえばいい。
クェイル姫は悔しそうな顔をして座り込んだ、だけどまだ諦めて居ないような感じを感じているのは何故なのだろうか。
「お、お姉さま。」
「クェイル、貴女は犯してはならないことを。」
さめざめとなくテンペスト国の王妃に向かってすがるような声を出す。
だが、いくら優しいとはいえ国を配する女王。どうにもならないと首を振る。
「本当に使えないわ。」
すがる姿も演技なのか、舌打ちをするクェイル王女は王妃によって手配された兵士により拘束された。
静かにその拘束を受ける彼らは、会場から連れ出されていく。あまりにも抵抗もなくつれてかれる姿にすこしだけ違和感を感じるけどね。
これからの処遇は後々の会議で決められていく事になると思われる。
「貴方兄妹を害していたものも調べて罰を受けさせますわ。」
「はい、そこは信じて待ちます。それより、せっかくのパーティーを利用してしまい申し訳御座いません。」
これはお詫びだと金色に輝く置物を控えていたフィシゴに持ってきてもらう。
金には見えるが、これはメッキである。
アクセサリーだと汗で反応する可能性もあるため置物にしたが、いい感じにできた。イェシル殿下の雷魔法のお陰でもある。
「こちら、獣人の国の特産になる予定です。金と違い軽いので運ぶのも楽なんです。」
「ありがたく頂戴しますわ。」
妹が拘束されたのだから、喜ばしく受けとる事は出来はしないだろうが、表面上は何事もなく受けとる。
とりあえずはクェイル王女の悔しい顔が見えて満足したし、残りのパーティーを楽しむことにしましょう。
このパーティーでこの国の悪い膿の部分は冷や汗をかいているだろう。今まで美味しい思いをしていたのだからざまぁみろって感じです。
「華やかなぎゃふんはこんな感じで満足しましたわ。」
「我が妻が満足して良かった。」
パーティーは夜更けまで続けられた。
燻る火の気を抱え込みながら。
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