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対する人②
しおりを挟む相反する魔法がぶつかると辺りに光の粒が四散する。
魔法が打ち消された証拠だ。
その光景にユダの目が見開かれる。
すぐさままた魔力を練り始めると、同じ魔法を打とうとするが、それよりも早くにイェシル殿下の動きのほうが早かった。
イェシル殿下は魔法を発動するワードの前にユダの腕をクェイル王女の方に向けさせると、魔法が暴発する。
記憶が消えるのはよしとはしないのですかさず私の魔法も打っておくが、ユダの魔法が自らに向いたことで慌てたタナとシーシャがその身を盾としようと姫を突飛ばした。
尻餅をつくクェイル王女はそのまま痛みに呻いている。
「キャンセラーか。」
魔法を打消すことのできる者をそう呼ぶらしいが、私のこの魔法がそれに当たるのかが分からないのでなんともいえない。
1ヶ月前に分かった私の魔法の中の謎の『解体』と『分析』は、特殊な魔法だった。
『分析』は鑑定の上位をいくもので、私の知る物質が含まれているとその構造を知らなくても表示してくれる便利な魔法であった。
そして、『解体』は本来狩りをした動物などに使う魔法なのだけど、私が冗談で解体って色々と考えられるよなぁとイメージをしながら特訓していたら、色々な解体や、解体、解体など出来事を解体することが出来るようになって、しまった。
なので、先程も打ち消したというよりは解体したということが近いだろう。
「ただ、魔法を解体しただけよ。」
「お前、魔法が使えたのか。」
「学ばせて貰ってないだけでちゃんと素質はあったみたいね。」
「儀式も受けていなかったのか。」
さすがにそこまではなかったと思っていたであろうユダが驚きの顔でクェイル王女を見ると、クェイル王女はふんと鼻を鳴らす。
あの表情は、自分よりいい魔法を持っていたら気にくわないという、自分が一番じゃないと嫌なときの顔つきだ。
ちなみに姫は魔力は大きく持っていて、その魔力を自らの美しさに使える面白い魔法をもっていた。
「もし、この魔法を取り込めていたらとても利用できたはずなのに。」
「それだけじゃないぜ。」
とても面白そうにイェシル殿下がこちらをみる。
あら、カインと話さしていたの聞いてたのね。
すっと、荷物から黒光りのする思い鉄の塊を取り出す。L字の様な形のそれは、カチャリと音を立ててクェイル王女に向けて暗い穴を見せている。
「本来の記憶もちはカインではなくこいつだ。」
「姫様の望んでいた兵器ですよ。」
にこりと微笑めば、姫様一行の顔色が変わる。
タナやシーシャがこの武器の形状から色々と推測を立てて騒ぎ出す。
ユダはその身をイェシル殿下に拘束されながらも、やはりそうだったかなど、私が記憶持ちであったことに納得して、それでも冷静に頭を働かせてどうにか対処しようとしているようだった。
「わ、私にその兵器を使うの?」
「その筒状からして大砲の一種。大きい音で人が集まるぞ。」
「姫様、俺の後ろに!」
「良いことを教えてあげます。」
この武器って一秒で300mも行く弾がでてくるんですよ。弾には特殊な加工もしてあるので人一人が盾になろうとも突き抜けて後ろの人にも貫通するのですよ。
なあに、貴方がたが人避けしてくれたので気づかれませんよ。
「さあ、安心して受け入れてください。」
カタカタと私の話を聞くにつれて青くなりながら、寒くも無いのに震えるクェイル王女の額に向かって標準を合わせる。
まさか、カインがこれまで創ってくれるとは思わなかったけど、彼は彼で怒っていたのかもしれない。
重たく冷たい兵器のトリガーをゆっくりと引く。
暗いくらい穴から出てきた物に、クェイル姫の意識は刈り取られて行きました。
ビシャンッ
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