この記憶、復讐に使います。

SHIN

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対する人③

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 とまあ、前と同じように水鉄砲なのですけど。
 ただ違うのは水鉄砲の中の陰圧を上げて強めの水流が出されているので当たればある程度痛いです。
 しかも、姫様の望む武器だと伝えてあるのだから、発射さらたときのショックは想像しえない。

 実際にクェイル王女の体から力が抜けてぐったりとシーシャの腕の中で気絶している。

 お茶会の時に頼んでいたのはこれである。
 とても、本物に近い水鉄砲。
 金属を使った水鉄砲なんてとても贅沢よね。


 重さは前世で良く買ったモデルガン並みでとあるステルスゲームにハマった時に色々と調べたのよね。
段ボールは正義よ。


「これはオモチャなのだけど、知識としては色々とあるわよ。」


 使うつもりは無いけどね。

 その言葉は喉の奥にとどめおいておく。だって、そうすれば抑制にもなるでしょ。勘違いをするならさせておいたほうが良い。

 睨み付けるように私をみるタナとシーシャだけども獣人の国の王様の弟、後の公爵の嫁だと私のほうが立場は上になっているのに良いのかしら。

 彼らの中では私はなんでも受け入れる捌け口のままなのでしょう。


「私はあの時、変わったの。カインを守るためになんでも受け入れる人形じゃないのよ。」
「今はお前達の誰よりも位の高い公爵夫人になる女だな。」
「カインによって形になってた私の知識は私が望んだ時に使うわ。」


 利用なんてさせてやらない。
 イェシル殿下も利用はしない。
 もう数日でこの国からおさばらだし、そしたら、友人や助けてくれる人もいなかったこの国に二度と帰る予定もない。カインだって、黄泉の国で暮らすみたいだし、両親も自由になって世界を旅するらしい。

 貴女方は私という影に怯えながら生きてゆけば良い。

  遠くで鐘がなっている。
 どこかで火事が広がったのだろう。人がまだまだ来る気配はない。


「貴女方は獣人が下だとよくいうけど、貴女方はここから数百m先の匂いを、音を感じる事ができるのかしら?彼らはそれができる。とても私達には出来ないことが出来るの。」
「そ、それは、獣に近いという証拠だろ?」
「獣人の方々は貴女方はよりもよっぽど紳士だし淑女よ。みすぼらしい私をこんなに慈しみてくれたもの。」


 まあ、陰口をたたく輩はいますけどね。


 私を虐げていた人ならばこの言葉は耳が痛くなるでしょうね。
 私は、獣人の国に行ってやっと人の暖かさを知ることになった。前世では両親がいて恋人もいて日本という生暖かな国で過ごしていて。あの時の様な幸せを感じることが出来たのだ。

 最初はカインの仇をうったら死ぬつもりだったのに、そのうち、イェシル殿下の愛想が尽きてから、誰も気にかけてくれなくなったらと伸ばし伸ばしに、何だかんだとこの温もりを手放したくなってきてしまったのだ。


「何よりも、このふかふかなキュートなお耳と、サラ艶の尻尾、最高でしょう。」
「そこっすか!」


 フィシゴの思わずといった突っ込みは無視しておく。
 クェイル王女と私は一生、相容れることはない。彼女が何をしようとも私を巻き込まなければここまで計画が破綻する事はなかったでしょうね。

 ユダも私という存在がなければ記憶を消してとんずら出来ていたでしょうに。


「貴女方はこの国で罰を受けるべきです。」
「そもそも、今回のパーティーはパーティー嫌いの妖精の国の外交官も参加して全てを見ているんだ、俺達をどうこうしようと無駄だがな。」
「そうね、あそこはどこよりも魔力の質も量も遥かに高くてそこの坊やの魔法なんて効かなさそうだしね。」



 全ては終わっているのだと暗に伝えればガックリと力が抜けた様になる。
 もしかしたらここから逃亡して機会を待つ予定だったのかもしれないけど、自分の力を過信してその機会を失ってしまったのでしょう。


 その後、小火騒ぎが収まって警備の者が説明するために来た際、嫌味をとてつもなく折り込みながらクェイル一行を差し出した。



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