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13.ゴールドの指輪
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「大河。なんでお前は指輪を外したんだよ。最近ケンカばっかりの恋人が、ついに指輪を外したんだ。俺はもう大河との関係は終わったんだと思った。俺のことなんてどうでもよくなって、俺と別れたいから外したんじゃないのか……?」
ずっと気になっていた。大河が指輪を外した意味を。
「外した、というより、無くしたんだ……。だから指輪を取り戻すまでは指輪をはめられなかった」
無くした……?
あんなに都合の良いタイミングで……?
「嘘だろ? そんな都合よく無くしたりするかよっ」
大河は陸斗とは違い、指輪をずっとはめっぱなしだった。自分から外したりしなければジャストサイズの指輪なんてそうそう無くすものじゃない。
「しかもそれ」
陸斗は大河の左手薬指に視線をやる。
「今度は都合良く見つかったのか? そんなことありえないだろ」
無くした指輪を見つけるのは困難なはずだ。一体どこで見つけたんだ……?
こんな短期間に指輪を無くしたり、見つけたり、そんな偶然がふたつも重なって起きることがあるのだろうか。
「わかった。ちゃんと話す。真実は少し違う。無くしたんじゃない、盗られたんだ」
「盗られた……?!」
「春希だ。あいつは酔った俺から指輪を盗んだんだよ……」
「えっ……なんでそんなことを……」
「俺が陸斗とうまくいってない話を聞いて、どうしても別れさせたかったから俺が酔い潰れてる時に指輪を盗んだと白状してた」
春希は策士だ。大河と別れそうな時に指輪が無くなり、陸斗は春希の思惑通りに大河の気持ちはもう自分にないんだと思い込んだ。そこから二人は破滅の道へと進んでいったのだから。
「俺は酔っててほぼ意識がなかったから、ずっと指輪の行方を思い出せずにいたんた。でも、断片的な記憶と、状況から春希に指輪を盗られたことに気がついた。だって春希に会うまでは指輪があったんだ。それが次の日の朝にはなくなったんだぞ。それに春希が指輪の話をしていたのを思い出したんだ。だから昨日の夜、春希を呼び出して、指輪を取り返したんだよ。『お前の仕業だろ。俺の指輪を返せ』って言ってやったら、素直に謝って返してきた」
そうだったのか。大河は陸斗を嫌いで指輪を外したわけではなかったのか。
「俺はずっと春希のことを友達だと思っていたけど、実は春希はそう思ってなかったらしいんだ……」
大河はひと呼吸おいて話し出す。
「昨日、春希に告白された。大学の頃からずっと好きだったって。恋人と別れたなら、付き合って欲しいって……」
春希は大河がフリーになった途端に大河に想いをぶつけたのか。
「未だに信じられない。あいつが俺をそういう目で見てたなんてさ。もっと早く気付けてたら、春希と二人きりで会うなんてことはしなかった。もう春希と会うのはやめる。俺は春希の気持ちに応えることは絶対にできないから」
「そんなのわからないだろ」
大河の思考は短絡的だ。これから先、大河だって気が変わるかもしれないのに。
「いいや、絶対だ。陸斗、お前に振られてよくわかったんだよ。俺だって陸斗に捨てられた後、時間が経てば次に進めるかもしれないと思ってたんだ。大多数の人間がそうするみたいに、俺もいつかは陸斗を忘れる日が来るのかと思ってたんだ。でも無理だ。陸斗は俺の運命の人なんだよ。俺は陸斗に会うまでは恋愛に興味もなかったし、一生ひとりでも気楽でいいなと思ってたんだ。学生の頃も特定の誰かを好きになったこともないし、思えば陸斗以外に惹かれたこともない。他の人には全く興味も湧かないんだよ」
大河は陸斗が初めての恋人だと言っていたことを思い出した。
「陸斗が俺のそばにいてくれなくても、お前と過ごした最高の35ヶ月の思い出を胸に生きていこうと思ってる。俺にはお前だけしかいない。陸斗以外の恋人は要らない。俺の人生には必要ないから」
大河に嫌われたと思っていたのに。大河はずっと陸斗を想ってくれていて、別れた今もその気持ちはずっと変わらない……?
ずっと気になっていた。大河が指輪を外した意味を。
「外した、というより、無くしたんだ……。だから指輪を取り戻すまでは指輪をはめられなかった」
無くした……?
あんなに都合の良いタイミングで……?
「嘘だろ? そんな都合よく無くしたりするかよっ」
大河は陸斗とは違い、指輪をずっとはめっぱなしだった。自分から外したりしなければジャストサイズの指輪なんてそうそう無くすものじゃない。
「しかもそれ」
陸斗は大河の左手薬指に視線をやる。
「今度は都合良く見つかったのか? そんなことありえないだろ」
無くした指輪を見つけるのは困難なはずだ。一体どこで見つけたんだ……?
こんな短期間に指輪を無くしたり、見つけたり、そんな偶然がふたつも重なって起きることがあるのだろうか。
「わかった。ちゃんと話す。真実は少し違う。無くしたんじゃない、盗られたんだ」
「盗られた……?!」
「春希だ。あいつは酔った俺から指輪を盗んだんだよ……」
「えっ……なんでそんなことを……」
「俺が陸斗とうまくいってない話を聞いて、どうしても別れさせたかったから俺が酔い潰れてる時に指輪を盗んだと白状してた」
春希は策士だ。大河と別れそうな時に指輪が無くなり、陸斗は春希の思惑通りに大河の気持ちはもう自分にないんだと思い込んだ。そこから二人は破滅の道へと進んでいったのだから。
「俺は酔っててほぼ意識がなかったから、ずっと指輪の行方を思い出せずにいたんた。でも、断片的な記憶と、状況から春希に指輪を盗られたことに気がついた。だって春希に会うまでは指輪があったんだ。それが次の日の朝にはなくなったんだぞ。それに春希が指輪の話をしていたのを思い出したんだ。だから昨日の夜、春希を呼び出して、指輪を取り返したんだよ。『お前の仕業だろ。俺の指輪を返せ』って言ってやったら、素直に謝って返してきた」
そうだったのか。大河は陸斗を嫌いで指輪を外したわけではなかったのか。
「俺はずっと春希のことを友達だと思っていたけど、実は春希はそう思ってなかったらしいんだ……」
大河はひと呼吸おいて話し出す。
「昨日、春希に告白された。大学の頃からずっと好きだったって。恋人と別れたなら、付き合って欲しいって……」
春希は大河がフリーになった途端に大河に想いをぶつけたのか。
「未だに信じられない。あいつが俺をそういう目で見てたなんてさ。もっと早く気付けてたら、春希と二人きりで会うなんてことはしなかった。もう春希と会うのはやめる。俺は春希の気持ちに応えることは絶対にできないから」
「そんなのわからないだろ」
大河の思考は短絡的だ。これから先、大河だって気が変わるかもしれないのに。
「いいや、絶対だ。陸斗、お前に振られてよくわかったんだよ。俺だって陸斗に捨てられた後、時間が経てば次に進めるかもしれないと思ってたんだ。大多数の人間がそうするみたいに、俺もいつかは陸斗を忘れる日が来るのかと思ってたんだ。でも無理だ。陸斗は俺の運命の人なんだよ。俺は陸斗に会うまでは恋愛に興味もなかったし、一生ひとりでも気楽でいいなと思ってたんだ。学生の頃も特定の誰かを好きになったこともないし、思えば陸斗以外に惹かれたこともない。他の人には全く興味も湧かないんだよ」
大河は陸斗が初めての恋人だと言っていたことを思い出した。
「陸斗が俺のそばにいてくれなくても、お前と過ごした最高の35ヶ月の思い出を胸に生きていこうと思ってる。俺にはお前だけしかいない。陸斗以外の恋人は要らない。俺の人生には必要ないから」
大河に嫌われたと思っていたのに。大河はずっと陸斗を想ってくれていて、別れた今もその気持ちはずっと変わらない……?
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