14 / 17
14.シルバーの指輪
「なぁ、陸斗。俺もさっきからずっと気になってることがあるんだけど、訊いてもいいか?」
「ああ。なんだよ」
「陸斗は、俺を振ったくせに、俺と別れたくせに、なんでまだ指輪を付けてるんだ?」
「えっ? いや、これはその……」
昨日の夜からシルバーの指輪を付けっぱなしだった。指輪を眺めながら大河のことを考えていた時に、突然の春希の訪問にとりあえず指にはめたんだった。
「あとさ、なんで俺達が別れる時に『キスしてくれ』なんてこと俺に言ったんだよ」
「それは……」
過去の恥ずかしい言動の指摘はやめろ。あれはつい寂しくて口走ってしまっただけのことで……。
「陸斗。俺は1%でも可能性があるなら、お前のことを諦めたくない。もしかしてお前、俺を嫌いになって別れを切り出したけど、ほんの少しでも後悔……してたりってことは、ないか……? 別れてみて、気持ちが落ち着いて、俺を許してやろうって思い直してくれたりは、ないか……?」
大河は床に片膝をつき、陸斗と目線を揃えて、陸斗の顔色をうかがっている。まるで恋人にうやうやしくプロポーズをするときの姿勢だ。
「いや、そもそも俺は大河のことを嫌いになって別れたんじゃない……」
「え……?」
陸斗の言葉に大河がぴくりと反応した。
「大河が俺を嫌いになって、でも大河は別れようとは言えないから、俺から言わなくちゃ、大河との関係を終わらせなくちゃと思って、それで、お前に『別れよう』って……」
「はぁ? 色々おかしい。まず俺が陸斗のことを嫌いになるなんてありえない。そして俺のためを思うなら『別れよう』なんて言うのはおかしいだろ。俺は陸斗のそばに居たいと思ってるのに。まぁ、俺からお前に三行半を突きつけることだけは絶対にないけどな」
「だって大河の俺に対する態度はひどかった。俺に冷たいし、笑顔もない。喧嘩ばっかりで……」
「そっか。そうだよな……。俺が悪かった。お前を追い詰めるようなことをして……俺は本当に陸斗のことを理解してなかった」
誤解していたとはいえ、大河に避けられて本当に苦しかった。
「まさか陸斗はそんなに俺に触って欲しいと思ってたなんてな!」
ん……? こんなときに大河はどうして嬉しそうな顔をするんだ……?
「いつもそんなこと興味ないって態度だったのに、本当は俺に抱かれたりキスされたりしたかったのか? そういうの、実は好きってことか?」
大河! 赤裸々に言うなよ! 恋人同士だったらそういうのも大事だろ……。
「俺、陸斗はそういうのは好きじゃなくて、いつも俺に付き合わせて悪いなと思ってた……。陸斗が新井のことが好きなのかと勘違いしてからはお前に手を出さないようにしようって必死で我慢してたのに……」
本当に大河はバカだ。ひとり勘違いして……。そんな事情を知らない陸斗は大河に嫌われたと思ってたのに。
大河は愛おしそうに陸斗を見つめてくる。
「なぁ、陸斗。別れた時の『俺にキスしてくれ』っていうお前の言葉はまだ有効? あの時は、陸斗は新井のものだと思ってたから我慢したけど、それが誤解なら、俺、お前に最後のキスしたい」
最後なんて言うな。
これで大河と終わりだなんて——。
大河に言わなくちゃ。
まだ大河のことが好きだって。大河に嫌われたわけじゃないのなら、別れる理由もなかったって。でも今さら——。
「陸斗。俺はお前が好き。お前に振られて、そばにいることを許されなくても、それでもずっとお前のことが好きだ」
大河は陸斗を真っ直ぐに見つめている。大河の瞳に映る陸斗の姿を確認できるくらい、ひたすらに。
「でも、もし陸斗が俺のことを嫌いじゃないなら、一緒にいたい。陸斗の気まぐれでもいい。他に好きな人が出来たら俺を捨てていい。それでも俺は陸斗のこと待ってるから。何度陸斗に振られても構わない。陸斗が俺を少しでも必要としてくれるなら気軽に呼び出してくれていい。セフレだって友達だって、都合のいい男だっていい。どんな関係でもいいから、陸斗のそばにいたい。頼む。俺をお前のそばにおいてくれないか?」
おい大河、そんな振り回されるだけの人生でも構わないのか?!
「大河。俺達、やり直せるかな……」
陸斗だって大河に負けないくらい、大河のことを想ってる。大河が好きでいてくれるなら、もう一度大河と——。
「大河とまた恋人同士になりたい……昔みたいに二人で一緒にいられるかな……?」
二人の間には色々な誤解があった。それでもお互いが想い合っているのなら、今からでもやり直せるのではないか。
「俺、大河のことが好きだ。大河を自由にしなくちゃって別れを決めたけど、早く忘れなくちゃって気張ってみたけど無理だ。大河を見ると胸が苦しくなる。大河が許してくれるならまた一緒にいたい……」
「陸斗……」
大河は陸斗にキスをした。大河との久しぶりのキスだ。
「ああ。なんだよ」
「陸斗は、俺を振ったくせに、俺と別れたくせに、なんでまだ指輪を付けてるんだ?」
「えっ? いや、これはその……」
昨日の夜からシルバーの指輪を付けっぱなしだった。指輪を眺めながら大河のことを考えていた時に、突然の春希の訪問にとりあえず指にはめたんだった。
「あとさ、なんで俺達が別れる時に『キスしてくれ』なんてこと俺に言ったんだよ」
「それは……」
過去の恥ずかしい言動の指摘はやめろ。あれはつい寂しくて口走ってしまっただけのことで……。
「陸斗。俺は1%でも可能性があるなら、お前のことを諦めたくない。もしかしてお前、俺を嫌いになって別れを切り出したけど、ほんの少しでも後悔……してたりってことは、ないか……? 別れてみて、気持ちが落ち着いて、俺を許してやろうって思い直してくれたりは、ないか……?」
大河は床に片膝をつき、陸斗と目線を揃えて、陸斗の顔色をうかがっている。まるで恋人にうやうやしくプロポーズをするときの姿勢だ。
「いや、そもそも俺は大河のことを嫌いになって別れたんじゃない……」
「え……?」
陸斗の言葉に大河がぴくりと反応した。
「大河が俺を嫌いになって、でも大河は別れようとは言えないから、俺から言わなくちゃ、大河との関係を終わらせなくちゃと思って、それで、お前に『別れよう』って……」
「はぁ? 色々おかしい。まず俺が陸斗のことを嫌いになるなんてありえない。そして俺のためを思うなら『別れよう』なんて言うのはおかしいだろ。俺は陸斗のそばに居たいと思ってるのに。まぁ、俺からお前に三行半を突きつけることだけは絶対にないけどな」
「だって大河の俺に対する態度はひどかった。俺に冷たいし、笑顔もない。喧嘩ばっかりで……」
「そっか。そうだよな……。俺が悪かった。お前を追い詰めるようなことをして……俺は本当に陸斗のことを理解してなかった」
誤解していたとはいえ、大河に避けられて本当に苦しかった。
「まさか陸斗はそんなに俺に触って欲しいと思ってたなんてな!」
ん……? こんなときに大河はどうして嬉しそうな顔をするんだ……?
「いつもそんなこと興味ないって態度だったのに、本当は俺に抱かれたりキスされたりしたかったのか? そういうの、実は好きってことか?」
大河! 赤裸々に言うなよ! 恋人同士だったらそういうのも大事だろ……。
「俺、陸斗はそういうのは好きじゃなくて、いつも俺に付き合わせて悪いなと思ってた……。陸斗が新井のことが好きなのかと勘違いしてからはお前に手を出さないようにしようって必死で我慢してたのに……」
本当に大河はバカだ。ひとり勘違いして……。そんな事情を知らない陸斗は大河に嫌われたと思ってたのに。
大河は愛おしそうに陸斗を見つめてくる。
「なぁ、陸斗。別れた時の『俺にキスしてくれ』っていうお前の言葉はまだ有効? あの時は、陸斗は新井のものだと思ってたから我慢したけど、それが誤解なら、俺、お前に最後のキスしたい」
最後なんて言うな。
これで大河と終わりだなんて——。
大河に言わなくちゃ。
まだ大河のことが好きだって。大河に嫌われたわけじゃないのなら、別れる理由もなかったって。でも今さら——。
「陸斗。俺はお前が好き。お前に振られて、そばにいることを許されなくても、それでもずっとお前のことが好きだ」
大河は陸斗を真っ直ぐに見つめている。大河の瞳に映る陸斗の姿を確認できるくらい、ひたすらに。
「でも、もし陸斗が俺のことを嫌いじゃないなら、一緒にいたい。陸斗の気まぐれでもいい。他に好きな人が出来たら俺を捨てていい。それでも俺は陸斗のこと待ってるから。何度陸斗に振られても構わない。陸斗が俺を少しでも必要としてくれるなら気軽に呼び出してくれていい。セフレだって友達だって、都合のいい男だっていい。どんな関係でもいいから、陸斗のそばにいたい。頼む。俺をお前のそばにおいてくれないか?」
おい大河、そんな振り回されるだけの人生でも構わないのか?!
「大河。俺達、やり直せるかな……」
陸斗だって大河に負けないくらい、大河のことを想ってる。大河が好きでいてくれるなら、もう一度大河と——。
「大河とまた恋人同士になりたい……昔みたいに二人で一緒にいられるかな……?」
二人の間には色々な誤解があった。それでもお互いが想い合っているのなら、今からでもやり直せるのではないか。
「俺、大河のことが好きだ。大河を自由にしなくちゃって別れを決めたけど、早く忘れなくちゃって気張ってみたけど無理だ。大河を見ると胸が苦しくなる。大河が許してくれるならまた一緒にいたい……」
「陸斗……」
大河は陸斗にキスをした。大河との久しぶりのキスだ。
あなたにおすすめの小説
失恋したと思ってたのになぜか失恋相手にプロポーズされた
胡桃めめこ
BL
俺が片思いしていた幼なじみ、セオドアが結婚するらしい。
失恋には新しい恋で解決!有休をとってハッテン場に行ったエレンは、隣に座ったランスロットに酒を飲みながら事情を全て話していた。すると、エレンの片思い相手であり、失恋相手でもあるセオドアがやってきて……?
「俺たち付き合ってたないだろ」
「……本気で言ってるのか?」
不器用すぎてアプローチしても気づかれなかった攻め×叶わない恋を諦めようと他の男抱かれようとした受け
※受けが酔っ払ってるシーンではひらがな表記や子供のような発言をします
恋人がキスをしてくれなくなった話
神代天音
BL
大学1年の頃から付き合っていた恋人が、ある日キスしてくれなくなった。それまでは普通にしてくれていた。そして、性生活のぎこちなさが影響して、日常生活もなんだかぎくしゃく。理由は怖くて尋ねられない。いい加減耐えかねて、別れ話を持ちかけてみると……?
〈注意〉神代の完全なる趣味で「身体改造(筋肉ではない)」「スプリットタン」が出てきます。自己責任でお読みください。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法
あと
BL
「よし!別れよう!」
元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子
昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。
攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。
……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。
pixivでも投稿しています。
攻め:九條隼人
受け:田辺光希
友人:石川優希
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグ整理します。ご了承ください。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
別れたはずの元彼に口説かれています
水無月にいち
BL
高三の佐倉天は一歳下の松橋和馬に一目惚れをして告白をする。お世話をするという条件の元、付き合えることになった。
なにかと世話を焼いていたが、和馬と距離が縮まらないことに焦っている。
キスを強請った以降和馬とギクシャクしてしまい、別れを告げる。
だが別れたのに和馬は何度も会いに来てーー?
「やっぱりアレがだめだった?」
アレってなに?
別れてから始まる二人の物語。
率先して自宅警備員してたら宅配業者に両思い判定されてた話
西を向いたらね
BL
[配達員×実家暮らしニート]
・高梨悠斗 (受け)
実家住みのニート。常に家にいるため、荷物の受け取りはお手の物。
・水嶋涼 (攻め)
宅急便の配達員。いつ荷物を届けても必ず出てくれる受けに対して、「もしかして俺のこと好きなのでは…?」となり、そのままズルズル受けの事が好きになる。
伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き
メグエム
BL
伯爵家次男のユリウス・ツェプラリトは、ずっと恋焦がれている人がいる。その相手は、幼なじみであり、王位継承権第三位の王子のレオン・ヴィルバードである。貴族と王族であるため、家や国が決めた相手と結婚しなければならない。しかも、レオンは女関係での噂が絶えず、女好きで有名だ。男の自分の想いなんて、叶うわけがない。この想いは、心の奥底にしまって、諦めるしかない。そう思っていた。