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5 初デート
5-4
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混み合う境内の中に俺たちは足を踏み入れる。
左右にひしめく明るい祭りの露店に目を奪われながら、有馬と「アレうまそうじゃない?」「今ってあのキャラクター人気だね」とか話をしながら進んでいく。
「有馬、射的あった! やろうぜ!」
俺は『射的場』という文字と的の絵柄がある露店を見つけて有馬を誘う。有馬も「やるやる」と乗り気になった。
お金を払って、ひとり四発ぶんの弾を店員から受け取る。
俺の隣には有馬がいる。有馬も、俺も、一発目の弾を弾倉に込めた。
「どれ狙う?」
俺は有馬と一緒に目の前の獲物を物色する。
缶入りの炭酸飲料を模した小さなラムネ。タバコの箱みたいな形のシガレット。コアラの絵柄のついたチョコレート菓子もある。
あとは大物。車やキラキラステッキ、キャラクターもののオモチャが並ぶ。
「俺はガムかな」
「ガムっ?」
俺は声がうわずった。
有馬が狙うのはオレンジガムらしい。小さな四角い箱に丸いガムが四つ入っているお菓子で、この射的の商品の中でもっとも難度が低いものだ。
「ショボいな有馬は」
だったら有馬よりもデカいお菓子を落とせば俺の勝ちになる。
俺の照準は決まった。
タバコみたいなデザインのシガレットだ。あのシガレットの濃紺の箱はオレンジガムの倍以上はある。
それに俺はあのお菓子が好きだ。以前、友人のダンスの発表会を見に行ったとき、お礼としてあのシガレットの箱に、ご丁寧にのし紙をつけたものを貰ったんだ。
それで食べたらおいしくて、一時期ハマってよく食べてたんだ。
「俺はあのタバコのお菓子にする」
俺は獲物を宣言して、有馬に視線を送る。
有馬も俺の言わんとすることがわかったみたいだ。
そう、これは男と男の勝負だ。射撃上手い王決定戦。
有馬が先行で、一発目を放つ。
有馬が放った弾は、オレンジガムの箱を見事に捉え、ガムの箱が台から落ちて、下の網までしっかりと落ちていった。
「えっ? マジっ?」
思わず有馬を睨みつけると、有馬はしたり顔をする。
クッソ、ムカつくな。
俺だって。
俺はタバコ型のシガレットに向けて照準を合わせる。
俺の一発目はちゃんとシガレットの箱に当たったけど、若干後ろに後退させただけ。
有馬が「ダッサ」みたいな目で俺を見るから、俺は慌てて「ちょっとずつずらして追いつめてんの!」と苦しまぎれの言い訳をする。
二発目、三発目も当たったけど、またちょっと位置がズレただけだ。ちなみに有馬は外した。よし。それでいい。
ラスト一発。俺の集中力はMAX、絶対に景品をゲットしてみせる。
何度も狙いを確認して、最高の一撃をかましてやる。
気合い入魂の俺の最後の一発は、シガレットの箱をかすめることもなく、あさっての方向へと飛んでいった。
「うっわ、悔しいー!」
この時点で俺、有馬に負けじゃん。あいつ、最後の一発残したまんま、オレンジガムをゲットしてるもん。
「俺がお前のカタキをとってやる」
有馬がずいと身体を寄せてきて、俺の場所を陣取った。
有馬が狙うのは、さっきまで俺が狙っていたタバコ型のシガレットだ。
肘をつき、銃を両手に構えた有馬は、さながらスナイパーみたいな格好で、狙いを澄まして目を細めた。
パンッ! とコルク弾が弾き出される音が響く。
有馬が撃った最後の一発は、見事に俺が狙っていたシガレットに当たり、棚から景品が転がり落ちていった。
左右にひしめく明るい祭りの露店に目を奪われながら、有馬と「アレうまそうじゃない?」「今ってあのキャラクター人気だね」とか話をしながら進んでいく。
「有馬、射的あった! やろうぜ!」
俺は『射的場』という文字と的の絵柄がある露店を見つけて有馬を誘う。有馬も「やるやる」と乗り気になった。
お金を払って、ひとり四発ぶんの弾を店員から受け取る。
俺の隣には有馬がいる。有馬も、俺も、一発目の弾を弾倉に込めた。
「どれ狙う?」
俺は有馬と一緒に目の前の獲物を物色する。
缶入りの炭酸飲料を模した小さなラムネ。タバコの箱みたいな形のシガレット。コアラの絵柄のついたチョコレート菓子もある。
あとは大物。車やキラキラステッキ、キャラクターもののオモチャが並ぶ。
「俺はガムかな」
「ガムっ?」
俺は声がうわずった。
有馬が狙うのはオレンジガムらしい。小さな四角い箱に丸いガムが四つ入っているお菓子で、この射的の商品の中でもっとも難度が低いものだ。
「ショボいな有馬は」
だったら有馬よりもデカいお菓子を落とせば俺の勝ちになる。
俺の照準は決まった。
タバコみたいなデザインのシガレットだ。あのシガレットの濃紺の箱はオレンジガムの倍以上はある。
それに俺はあのお菓子が好きだ。以前、友人のダンスの発表会を見に行ったとき、お礼としてあのシガレットの箱に、ご丁寧にのし紙をつけたものを貰ったんだ。
それで食べたらおいしくて、一時期ハマってよく食べてたんだ。
「俺はあのタバコのお菓子にする」
俺は獲物を宣言して、有馬に視線を送る。
有馬も俺の言わんとすることがわかったみたいだ。
そう、これは男と男の勝負だ。射撃上手い王決定戦。
有馬が先行で、一発目を放つ。
有馬が放った弾は、オレンジガムの箱を見事に捉え、ガムの箱が台から落ちて、下の網までしっかりと落ちていった。
「えっ? マジっ?」
思わず有馬を睨みつけると、有馬はしたり顔をする。
クッソ、ムカつくな。
俺だって。
俺はタバコ型のシガレットに向けて照準を合わせる。
俺の一発目はちゃんとシガレットの箱に当たったけど、若干後ろに後退させただけ。
有馬が「ダッサ」みたいな目で俺を見るから、俺は慌てて「ちょっとずつずらして追いつめてんの!」と苦しまぎれの言い訳をする。
二発目、三発目も当たったけど、またちょっと位置がズレただけだ。ちなみに有馬は外した。よし。それでいい。
ラスト一発。俺の集中力はMAX、絶対に景品をゲットしてみせる。
何度も狙いを確認して、最高の一撃をかましてやる。
気合い入魂の俺の最後の一発は、シガレットの箱をかすめることもなく、あさっての方向へと飛んでいった。
「うっわ、悔しいー!」
この時点で俺、有馬に負けじゃん。あいつ、最後の一発残したまんま、オレンジガムをゲットしてるもん。
「俺がお前のカタキをとってやる」
有馬がずいと身体を寄せてきて、俺の場所を陣取った。
有馬が狙うのは、さっきまで俺が狙っていたタバコ型のシガレットだ。
肘をつき、銃を両手に構えた有馬は、さながらスナイパーみたいな格好で、狙いを澄まして目を細めた。
パンッ! とコルク弾が弾き出される音が響く。
有馬が撃った最後の一発は、見事に俺が狙っていたシガレットに当たり、棚から景品が転がり落ちていった。
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