好きだから傍に居たい

麻沙綺

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嬉しい言葉…遥

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 奈津先生を振り切って静かな廊下を亜耶の肩を抱きながら進んでいく。
 まだ、ボーッとしてる頭でさっきの事を振り返った。


 亜耶のあの言葉、単純に嬉しかった。
 自分の事を煩わしいんじゃないかって、ずっと思ってきたから……。

 気付けば。
「さっきは、ありがとうな。」
 素直に口にしていた。
 が、恥ずかしくて亜耶と顔を会わすことはできないが……。
 亜耶の視線が、俺に向かってるのはわかるが、どんな顔すればいいのかわからくてそっぽを向いた。
「私の方こそ、ありがとう。遥さんが居るから私は、自分を偽る事なく居れるんだよ。何時も傍に居てくれてありがとう。」
 亜耶の優しい声音が耳に届く。
 俺は、その言葉に驚いて亜耶の顔を見いる。
「遥さんが、誰よりも私の事を見てくれてるの。自分が気付いていないうちに感情を溜め込んで居るのを誰よりも早く気付いて、連れ出してくれるのわかってた。だからね、今度は、遥さんが私を頼って欲しいなぁ、何て……。遥さん、中々自分の弱いところ見せてくれないもん。まぁ、好きな娘には弱い部分は、見せたくないんだろうけどさ、さっき遥さんが言ってた通りで、私は遥さんの奥さんです。私に話しても解決しないかもしれないけど、一緒に考えたりする事は出来るよ。頼りないかもしれないけど、話す事で整理できる事もあると思うよ。今みたいに感情を押さえ込まないで、見てる方も辛いから……。」
 亜耶が、歯に噛みなが告げてくれる言葉が、俺の胸にズシっと響く。
 最後の言葉が、亜耶に辛い思いをさせてたんだと今更ながら、気付かされた。
 普段、上手く隠せてると思ってたんだがなぁ。知らず知らずの内に亜耶には見破られてたんだと思った。

「亜耶……」
 この時ばかりは、自分が不甲斐ないと思った。
 ハァー。
 俺が吐いた溜め息で、亜耶が落胆してるなんてこの時は思わなかった。
「やばい。亜耶が、何時もよりカッコよく見える。」
 俺は、少しだけトーンをあげてそう口にした。
 だって、亜耶が俺の事を想って口にした事、とても嬉しいと思った。
 まぁ、ちょっとだけ茶化してみたかったのもあるけど。
「えへへ。たまにはね、ちゃんと思ってることを伝えないとね。」
 亜耶が、胸を張りながら照れ臭そうに言うのが、なんとも可愛くて仕方がない。
 確かにそうだな。
 思ったことを口にして伝えないと、通じないよな。
「あぁ、俺って幸福者だ。自分の事を一番心配してくれる "嫁" が居て。」
 俺は敢えて嫁の部分を強調してみた。
 わかってくれただろうか。
 何て思いながら、亜耶の頭をポンポンと叩いた。


 こんな風に想われてるんだと思えば、少しずつでも相談しても大丈夫だろう。何て、頭の中で思う。
 だが、思考に走って戻ってこない時があるから、その時は俺が戻せばいいかと思う。


「さぁて、急いで買い物して、飯食って帰るぞ。」
 それと、ドレスの採寸もな。
 敢えて口にせずに心で唱えた。
 亜耶の顔を覗けば、笑顔で。

「うん。」

 って頷いてくれた。

 俺の奥さん、滅茶苦茶可愛い。


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