好きだから傍に居たい

麻沙綺

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胸の内をさらけ出した…亜耶

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 静かな廊下を肩を抱かれたまま職員用の下駄箱に向かう。
 相変わらず私の鞄は、遥さんの鞄と一緒に反対の方の肩に掲げられてる。

 何か話さないとって思ってるんだけど、何も思い付かずにただ黙々と歩く。


「さっきは、ありがとう、な。」
 遥さんが、ポツリと呟くように言う。
 遥さんを見上げれば、少し照れた顔をして、そっぽを向いていた。あれ、耳まで赤くなってるの久し振りだ。何て思いながら。
「私の方こそ、ありがとう。遥さんが居るから私は、自分を偽る事なく居れるんだよ。何時も傍に居てくれてありがとう。」
 笑顔でそう告げたら、驚いた顔をして、私をマジマジと見てくる遥さん。
 ちょっと、恥ずかしいけど。
「遥さんが誰よりも私の事を見てくれてるの。自分が気付いていないうちに感情を溜め込んで居るのを誰よりも早く気付いて、連れ出してくれるのわかってた。だからね、今度は、遥さんが私を頼って欲しいなぁ、何て……。遥さん、中々自分の弱いところ見せてくれないもん。まぁ、好きな娘には弱い部分は、見せたくないんだろうけどさ、さっき遥さんが言ってた通りで、私は遥さんの奥さんです。私に話しても解決しないかもしれないけど、一緒に考えたりする事は出来るよ。頼りないかもしれないけど、話す事で整理できる事もあると思うよ。さっきみたいに感情を押さえ込まないで、見てる方も辛いから……。」
 自分が思ったことをそのまま口にしてるから、要点に纏まりはないけど、少しでも遥さんの役に立ちたいと思ってるの。
「亜耶……。」
 遥さんの困惑した声に、余計なことだったかなって落ち込む。
 そして、遥さんが漏らした溜め息に自分はダメだなって思ってしまう。
 遥さんの憂鬱を少しでも緩和してあげたいと思っんだけど……。
「やばい。亜耶が何時もよりカッコよく見える。」
 ちょっとだけ声のトーンが上がったのを感じた。
 って言うか、何時もはどう思ってるんだろ何て、疑問が生まれたけど。
「えへへ。たまにはね、ちゃんと思ってることを伝えないとね。」
 おどけて言ってみる。
 もちろん、照れ隠しなんだけど……。
 普段口にして言えない言葉を今なら、言えるかなって思ったんだよね。

「あぁ、俺って幸福者だ。自分の事を一番心配してくれる "嫁" が居て。」
 わざわざ、嫁の部分を強調するように言ってくる。
 それ、誰が聞いて得するんだろう?
 でも、嬉しいかな。
 遥さんが認めてくれたんだから。
 その言葉が合図になり、私の頭をポンポンと叩き、頭上でクスクス笑ってる。
 通常に戻ったかな。何て思い、安心する。
「さぁて、急いで買い物して、飯食って帰るぞ。」
 遥さんの言葉に。
「うん。」
 と頷いていた。












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