好きだから傍に居たい

麻沙綺

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大泣き…遥

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 暫くの間見守っていた俺。
 人だかりが消えた後で、悠磨達あいつらが教室の中に入っていったのが見えた。
 亜耶が、不安そうに笑みを浮かべながら、受け答えをしているのが窺える。

 何があるんだ。
 そんな不安になるような事をあいつらが口にしたのか?
 あ~ぁ気になる。
 様子を窺っていると、目にまで涙を浮かべてる。
 ちょ…、学校では泣くことの無い亜耶が、そこまでの事があったのだろうか?
 やばいな。
 特に悠磨あいつの前では、泣いて欲しくないんだが……な。
 なんて思ってたらあいつが、亜耶の背中を押すようにして廊下にやって来る。
 何するんだ。
 亜耶は、俺のだ!!

 なんて、醜い嫉妬を浮かべていたら、勢い良く俺の方にやって来る亜耶。
「亜耶……。」
 俺は、飛び付いてきた亜耶をなんなくと受け止めると、慌てて離れ。
「ごめんなさい……。」
 と小さな声が聞こえてくる。
 俺は、首を横に振り。
「龍哉、次の授業だが、鞠山を休ませるから、宜しく。」
 そう教室に声をかければ。
「わかりました。」
 と返事を返してきた。
 俺は、亜耶に背に手をやりその場を後にした。



 亜耶を連れてきた場所は、保健室。
 ここなら、伯母さんだけだから、目配せだけで気をきかせて、出てってくれた。まぁ、後で何か言われそうだが……。
 それでも、今の亜耶の胸の内をゆっくり聞きたいと思うと二人っきりにしてくれた事に感謝しないとな。


 俺は、保健室にある3ベッドの窓際を選び、亜耶をそこに誘導する。誰も来てなかったのが幸いだ。
 こんな亜耶を誰にも見せたくないからな。
 亜耶をベッドの縁に座らせ、俺は、傍らに立て掛けてあった、折り畳み椅子を引っ張り出して、座った。
「遥…さん……。」
 か細い声で俺を呼ぶ亜耶。
「亜耶?」
 どうしたのかと不思議に思いながら、彼女の顔を見つめれば。
「ごめんなさい……。」
 と俯きながら言う亜耶。
 何を謝ることがあるのだろうか?
 亜耶は、何もしてないのに……。
 見れば、大粒の涙を頬に伝えてポロポロと溢し出した。
 そんな亜耶をそっと胸に抱き締め。
「ここならいくら泣いても大丈夫だから、思いっきり泣きな。」
 囁くように口にする。
 すると、声を漏らしながら、子どものよう俺にすがるように抱きつき泣き出した。
 俺は、そんな亜耶の背を擦る。
 こんな風に亜耶が泣くのなんて、何時振りだろう。

 思い返せば、泣き顔を見るのは何年振りだと思う。それも、俺の前でしか泣かないって、その時は、不思議にしか思わなかったんだが……。
 今でこそ、それが正解なのかもと思ってるが……。
 だが、ここまで何を溜め込んでいたんだろうか?
 もしかして、俺の事だったりして……。
 そうだったらかなり凹む……。

 なんて思ったりしても、亜耶の口から聞くまでは、何とも言えない。


 亜耶が泣き止むまで、あらぬ不安が何度も頭の中を駆け巡る。
 そして、先程のやり取りを思い出し、更に不安に刈られる。
 あの時の亜耶の表情は、不安だらけですという顔だった。
 俺で解決できればいいのだが……。


 愛しい妻をあやしてると落ち着いたのか、俺の腕の中でゴソゴソと動き出す亜耶。
「……ごめんなさい。みっともない所を見せて……。」
 大人対応の亜耶に俺は、少し寂しさを感じた。
「何謝ってるのかなぁ。亜耶が、俺にしか甘えられないの知ってるんだから、こんな時は、甘えていいんだぞ。それにみっともないってなんだ? 俺にとっては、頼ってくれて嬉しいんだが、な。可愛い奥さんが、自分だけしか心を許してないってわかって、愛しさが増すだけだ。なぁ、落ち着いたところで聞いてもいいか?」
 俺の言葉に頷いたのを確認してから。
「何をそんなに溜め込んでたんだ? 俺の事か?」
 そう不安に感じてたことを口にすれば。
「ち…ちがうの……。嬉し……かったの。皆が、私の事を……心配……してくれたことが……。側に居てくれたことが……とても嬉しくて……そしたら……想いが溢れてきちゃって……。」
 慌てて否定して、オロオロしながらそう口から答えを出す亜耶。

 ハァ~。
 俺の事じゃなかったのか……。
 ひと安心だな。
 それでも、優しさに触れて泣き出すなんて、亜耶らしいなぁ。
「そうだな。あいつらは、ちゃんと亜耶の本質を見てくれてるんだな。後ろ楯がなくても、亜耶は亜耶なんだって、線を引く奴等じゃないよ。俺との結婚だって、白い目で見る奴等の方が多い中、あいつらは変わらず接してくれただろ。そんな友達がいるなんて、心強いよな。」
 亜耶の頭を撫でながら、言葉を紡げば頭が微かに動いた。
 あぁ、肯定したのか。
「そういう友達は、大切にしなよ。何時でも味方になってくれるからな。まぁ、俺には雅斗しか居なかったがな。だけど、こんな大切な奥さんが居るんだ。今は、雅斗に感謝しないとな。」
 そう、あの時雅斗が勉強会に誘ってくれなかったら、俺たち出会えてなかったかもしれないんだよな。

 そう思うと、感慨深いモノがあるなぁ、何て、つい昔の事を思い出してしまった。












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