好きだから傍に居たい

麻沙綺

文字の大きさ
97 / 183

固まる亜耶…遥

しおりを挟む


 職員室を出て、保健室に辿り着けば、見慣れた男子生徒が三人、廊下で話してる。
 俺は、そいつらに声を掛けた。

「お前ら、三人揃ってどうした?」
 用もないのに保健室の前を陣取ってるのが、不思議だったんだ。
 こっちに気がついた龍哉が。
「遥さん。今、亜耶ちゃん寝てるみたいで、うちの御姫さんに入るなと言われてしまって……。」
 困った顔をして言う。
 そりゃそうだ。
 俺だって、自分の嫁の寝顔を他の男に見て欲しくはない。
 ナイス選択だ、相沢。
「そっか……。それは、悪いことしたな。」
 俺の言葉に。
「悪いなんて思ってないでしょうが……。」
 龍哉が口を尖らせて言う。
 まぁ、そうだが。
 こいつ、長いこと傍に居ただけ、俺の感情を見事に読み取りやがる。
 感心してると、戸が開いた。
「あっ、先生。ちょうど今、亜耶が起きたところです。」
 相沢が、俺を視界に捉えてそう言葉を出す。
「そうか……。ありがとうな。お前ら、気をつけて帰れよ。」
 俺は、六人にそう言葉を投げ掛けて、中に入った。



 中に入れば、カーテンを開ける音がして、その方に目を向ければ亜耶が満面の笑顔で迎えてくれた。
「お疲れさま、遥さん。仕事は、終わらせてきたんでしょうね。」
 って、笑ってるようで笑ってない顔って、こんなにも怖いものなんですね。
 俺自身、よくやる顔だけに怖さが増す。
「えっとですね。伯父に、今日は帰れと命令されまして……迎えに来たのですが……。」
 タジタジになりながら、そう答えたのだが亜耶は信じてくれず鋭い視線を向けてくる。
「"亜耶ちゃんのフォローしろ" と言われたので、今日は、ゆっくり亜耶と話ができるようにしてくれたわけですよ……。」
 伯父の真似をして言葉を発すれば、半信半疑ながらも頷いてくれ。
「うん。じゃあ、帰ろう。」
 苦笑混じりの顔を見ながら、傍らに置かれている鞄を手にし、空いてる手で亜耶の手を握る。
「遥くん。気を付けて帰りなさいよ。」
 伯母が、心配そうに声を掛けてきた。
「はい。あ、ありがとうございました。伯父にも言っておいてください。」
 思い出したようにお礼を言い、亜耶の手を引きながら保健室を出ようとした。
「ありがとうございました。」
 亜耶が慌てて口にする。
 そんな亜耶を微笑ましいと思いながら見ていた。

「ううん。そんなの気にしなくてもいいよ。何かに悩んでるなら、何時でも相談に乗るから何時でも来ていいんだよ。」
 って、伯母が笑顔で亜耶に告げる。
 その言葉に亜耶が固まってしまった。
 あーあ、余計な一言を言ってくれたものだ。
 どうするんだよ。
 当分、正気に戻らないよなぁ。
「伯母さん。気持ちだけもらっておくよ」
 俺はそれだけ言って、亜耶の腰に手をやり歩を促す。
 それに答えるかのようにゆっくりと足を動かす亜耶を保健室から出した。

 保健室から出たものの、未だにボーゼンとしている亜耶。
 これは、今何を言っても頭に入らないだろう。
 この状態の亜耶では、何も出来ないだろうなぁ。
 今日の夕飯は、どうしたものか?
 冷蔵庫の中を見てから決めるか。
 亜耶の腰を押しながら、職員の下駄箱に向かった。









しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

永遠の十七歳なんて、呪いに決まってる

鷹 綾
恋愛
永遠の十七歳―― それは祝福ではなく、三百年続く“呪い”だった。 公には「名門イソファガス家の孫娘」として知られる少女キクコ。 だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、 王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。 政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。 紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが―― 魔王討伐後、王位継承問題に巻き込まれたことをきっかけに、 まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。 「……私が女王? 冗談じゃないわ」 回避策として動いたはずが、 誕生した新国王アルフェリットから、なぜか突然の求婚。 しかも彼は、 幼少期に命を救われた“恩人”がキクコであることを覚えていた―― 年を取らぬ姿のままで。 永遠に老いない少女と、 彼女の真実を問わず選んだ自分ファーストな若き王。 王妃になどなる気はない。 けれど、逃げ続けることももうできない。 これは、 歴史の影に生きてきた少女が、 はじめて「誰かの隣」を選ぶかもしれない物語。 ざまぁも陰謀も押し付けない。 それでも―― この国で一番、誰よりも“強い”のは彼女だった。

ローザリンデの第二の人生

梨丸
恋愛
伯爵令嬢、ローザリンデの夫はいつも彼女より仕事を優先させ、彼女を無碍にしている。 彼には今はもういない想い人がいた。 私と結婚したことにいい思いをしていないことは知っていた。 けれど、私の命が懸かっていた時でさえも、彼の精神は変わらなかった。 あなたが愛してくれないのなら、私は勝手に幸せになります。 吹っ切れたローザリンデは自分自身の幸せのために動くことにした。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)

貴方の側にずっと

麻実
恋愛
夫の不倫をきっかけに、妻は自分の気持ちと向き合うことになる。 本当に好きな人に逢えた時・・・

【短編】ちゃんと好きになる前に、終わっただけ

月下花音
恋愛
曖昧な関係を続けていたユウトとの恋は、彼のインスタ投稿によって一方的に終わりを告げた。 泣くのも違う。怒るのも違う。 ただ静かに消えよう。 そう決意してトーク履歴を消そうとした瞬間、指が滑った。 画面に表示されたのは、間の抜けたクマのスタンプ。 相手に気付かれた? 見られた? 「未練ある」って思われる!? 恐怖でブロックボタンを連打した夜。 カモメのフンより、失恋より、最後の誤爆が一番のトラウマになった女子大生の叫び。

あなたがそのつもりなら

素亭子
恋愛
リリアーナはランス侯爵からの求婚をうけて結婚したが、わずか一年で夫は愛人を持った。リリアーナの仕返しの話です

女性が少ない世界でVTuberやります!

dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉ なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。 ※初日一気に4話投稿してから恋愛大賞エントリーしたため文字数5万これから(´;ω;`)みんなも参加するときは注意してね! ※忘れてなければ毎週火曜・金曜日の夜に投稿予定。作者ブル

【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします

恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。 王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい? つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!? そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。 報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。 王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。 2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……) ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。

美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯? 

処理中です...