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サッパリしました…亜耶
しおりを挟む遥さんが帰ってしまった後、お昼の賑やかさもあってやたらと静かで寂しく思ってしまう。
入院するまで、遥さんと一緒に寝て(添い寝)いたから、余計に寂しく感じるのかもしれない。
今日有ったこと思い出しながら、一番ビックリ発言は、やっぱりお義姉さんの言葉。でも、何でお兄ちゃんに最初に知らせなかったのかが疑問なんだけど……。考えても分からないから、今度聞いてみよう。
それから、お義姉も牛乳が苦手だったことにも以外に思えた。普段から何でも食べていそうだったから、驚いた。
赤ちゃんが出来た事をきっかけにして、食の見直しするなんてやっぱりお義姉さんには、頭が下がる。見る観点が変わると考え方も変わるのかな?
でも、楽しみだな~。
お兄ちゃんとお義姉さんの子どもだから、きっと可愛いんだろうなぁ。
何て、先の事を考えながら目を閉じた。
翌日、目を覚ませば外はシトシトと雨模様。
雨の日は、余り好きではない。
何故か、気が滅入ってしまうのだ。
何でなのか考えたこと有るけど、思い当たらない。
ズトンと落ちているとコンコンとドアがノックされる。
「おはよう、亜耶ちゃん。検温だよ。」
私の気持ちとは反対に明るい声の都さん。
「おはようございます。」
挨拶は基本なので、きちんと返すけど気持ちが落ち込んでいる分声も何処と無く暗くなる。
「あら、浮かない顔してどうしたの?」
都さんが体温計を差し出しながら聞いてきた。
私は、それを受け取りながら。
「う、うん。ただ、天気に左右されているだけだから、気にしないで下さい。」
そう口にして、体温計を脇に挟む。
都さんも窓の向こう側に目線を遣る。
「そっか……。今日は、雨か……。私は、てっきり愛しの旦那様が帰っちゃったから寂しくて落ち込んでるんだと思った。」
ニコニコしながら言う都さんに、慌てて。
「違います!!」
って叫んでしまった。
「亜耶ちゃん、そこまで否定しなくても……。まぁ、旦那様は、亜耶ちゃんにぞっこんだから離れて行く事は無いだろうけどね。」
揶揄様に言う都さんに絶句するしかない。
「真っ赤な顔して照れてる亜耶ちゃん、可愛い。」
クスクス笑いながら、都さんが手を出してくるから、体温計をその上に載せた。
「うん、平熱ね。脈も正常っと。痛いところ有るかな?」
仕事モードになる都さん。
切り替え早いなぁ。
「痛いところはないです。」
「そう。明日は退院だって先生が言ってたわよ。後でタオル持って来るからね。」
都さんは、そう言うと部屋を出て行った。
タオル?
疑問に思っていると。
「亜耶ちゃん入るよ。」
出て数分もしないうちに都さんが戻って来た。
その手には、さっき言っていたタオルを手にして。
ドアの鍵を閉める都さん。
訳が分からず、都さんを見れば。
「身体、拭こうか。一昨日からお風呂入ってないでしょ? 蒸しタオルで拭くだけでサッパリするからね。」
都さんが言う。
確かに空調がきちんと整えられている場所ではあるけど、寝汗とかでベタベタしてるのは確かだ。
「着替えは?」
聞かれて、そういえば昨日遥さんが持って来てくれた筈。
私は、備え付けられているクローゼットに行き戸を開けると、鞄が入っていてチャックを開けると替えのパジャマと下着が入っていた(しかも、退院用の服もきっちりと)。
「……。」
遥さん、私の部屋に入って出したんだよね。
そう思ったら、一気に顔に熱が集まった。
下着を見て、子どもっぽいと思っただろうか?
不安に思って、動きを止めてる私に。
「どうしたの?」
都さんが声を掛けてきた。
「な、何でもないです。」
私は、慌てて着替えを手にして戻る。
「亜耶ちゃん。顔がさっきより真っ赤だよ。もしかして熱が上がった?」
都さんが心配そうに私の額に手を充てる。
「大丈夫です……。」
震える声で返答する。
「うん、熱はないね。じゃあ、背中だけ拭いてあげるから、上のパジャマ脱いでね。」
って、都さんが言う。
恥ずかしいけど、流石に背中は自分で拭くことは難しいので素直に応じた。
都さんは、手慣れていて背中を拭ってくれる。
「背中は終わったわよ。左腕も拭いてあげる。その後は、時間が掛かってもいいから自分で拭く?」
都さんは、平然と聞いてくる。
私は、その言葉に考えた。
時間が掛かり過ぎると朝食の時間も推すだろうし、遥さんも来てしまうだろう。
それは、不味いと思い。
「都さん、……拭いて貰えますか?」
小声でそう言うと。
「いいの?亜耶ちゃんの年齢だと恥ずかしいと思う時期だと思うんだけど……。」
都さんは、ちゃんと分かってくれていた。
「恥ずかしいですけど、遥さんが来る前には終わらせたいので……。」
と伝えると頷き。
「そうね。じゃあ、私が拭くね。」
都さんは、納得してタオルを畳み変えて、丁寧に拭いてくれた。
私は、替えの下着とパジャマを身に付けた。
「都さん。ありがとうございました。」
私がそう声を掛けると。
「私の仕事だからね。」
とニコヤカに言う。
「じゃあ、朝食も時期に届くと思うから、練習頑張って。」
時計に目を遣って、そう言うとタオルを手にして部屋を出て行った。
タオルで拭いただけなのに、こんなにもサッパリするとは思わなかった。
一寸だけ、憂鬱さが抜けていた。
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