145 / 183
お義母さんへの相談…遥
しおりを挟むPurururu……Purururu……。
『はい、鞠山でございます。』
お手伝いさんだろう人が出た。
あの屋敷だとそれなりの人数が必要だろうが、こんな時間に残ってるっていうことは、住み込みなのだろう。
「遅くに申し訳在りません。高橋と申しますが、お義母さん居ますか?」
『えぇ、居りますが、どちらの高橋様ですか?』
と返ってきた。
家に掛けたのは不味かったかと思いながら。
「娘婿の高橋だと伝えて貰えば分かると思います。」
俺がそう伝えると。
『少々お待ちください。』
胡散臭そうに言いながらも、保留にしたのか静かなメロディーが流れ出した。
今度からは、直接お義母さんの携帯に掛けた方が早いな。
待ってるのももどかしくなる。
そんな事を考えていたら。
『もしもし、お電話変わりました。』
との声に。
「今晩は。遅くに申し訳在りません、お義母さん。遥です。」
そう声に出して言えば。
『今晩は、遥さん。亜耶に何かありました?』
冷静のようで、少し焦っている声音で聞かれて。
「あのですね。明後日の日曜日に亜耶、退院するんですが、ちょっと困った事がありまして……。」
俺が言いにくそうにしていると。
『困ったこと?』
不思議そうな声で聞き返してきたので。
「亜耶、利き腕を骨折でギブスしてるのですが、食事の方はゆっくりですが左手も可能なんですが、お風呂に関しては不便だろうと思いまして……。」
そこまで口にすれば。
『確かにそうね。夫婦とは言え、遥さんとは難しいわね。』
敢えて俺が口にしなかった事を意図も簡単に口にするお義母さん。
『退院後、必要な物を持って家に来なさいな。もちろん遥さんもですよ。』
と当たり前のように言うお義母さん。
「いえ、俺は遠慮します。」
本来、亜耶が成人するまで一緒に過ごす筈だったのを十六歳で離れて暮らす事になったのだから、こんな時ぐらい家族水入らずで過ごして貰いたいと思ったのだが。
『今更遠慮しなくても良いのよ遥さん。貴方も私たちの家族なんですからね。朝の送り迎えだって大変でしょう。それにね、私たち夫婦二人だけだから、少し寂しいと思ってたのよ。亜耶の怪我が治るまで一緒に暮らさない?』
お義母さんの提案に俺の方が折れるしかなかった。
「わかりました。退院後、必要な物を持って行きますね。」
『はい、お待ちしてます。あ、それから、連絡は携帯の方にお願いしますね、遥さん。』
お義母さんが、意味深な言葉を出す。
「あっ、はい、わかりました。今後は携帯の方に連絡入れます。」
俺がそう返事を返すと。
『お願いします。では、お休みなさい。』
「お休みなさい」
通話を切った。
何かあったのだろうか?
俺は、電話を切った後にそう思ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
友達婚~5年もあいつに片想い~
日下奈緒
恋愛
求人サイトの作成の仕事をしている梨衣は
同僚の大樹に5年も片想いしている
5年前にした
「お互い30歳になっても独身だったら結婚するか」
梨衣は今30歳
その約束を大樹は覚えているのか
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
思わせぶりには騙されない。
ぽぽ
恋愛
「もう好きなのやめる」
恋愛経験ゼロの地味な女、小森陸。
そんな陸と仲良くなったのは、社内でも圧倒的人気を誇る“思わせぶりな男”加藤隼人。
加藤に片思いをするが、自分には脈が一切ないことを知った陸は、恋心を手放す決意をする。
自分磨きを始め、新しい恋を探し始めたそのとき、自分に興味ないと思っていた後輩から距離を縮められ…
毎週金曜日の夜に更新します。その他の曜日は不定期です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる