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第三章 猫の余韻と自分の心
第1話 猫耳後猫事変
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攪真に猫の耳が生えた。攪真の黒い髪と同じ、黒い耳。少し尖った形の耳。ひょこひょこと動くそれは本物のようで、触るとペタンと折れる。
――可愛い……!!
こんな感情は滅多に抱かない。織理はそこはかとなく猫が好きだった。感動する内面は顔にはあまり出ず、しかし空気だけがほわほわとしていた。明らかに喜んでいることは傍目からもわかるだろう。
何やら自分が毛玉だったらしいことは聞いた。どんな猫だったの? と聞くと在琉は「馬鹿猫」と一言だけ言って終わった。弦は「ふわふわの、織理の髪と同じ色の猫だったよ。可愛かった」とニコニコしながら言っていた。自分の事なのに良いな、触りたかったな、と心底思う。
――そして攪真に何故か猫耳が生えた。どうやらそれも何かしらの能力によるものらしい。だが織理の脳内は空前の猫ブームであった。
誰一人真実を伝えないせいで織理一人が舞い上がっているのだが、結局のところ織理に猫耳が生えたのも攪真に生えているのも同じ能力者の所為である。攪真は完全に報復として生やされただけであった。
織理がデレデレと喜ぶのを良いことに、攪真は彼の膝を占領していた。所謂膝枕の形だ。
弦と在琉は、攪真のその醜態とも言える姿に「ないわー」と姿を消した。織理の猫耳は嬉しくとも、攪真ではそうもいかない。なんせ身長が180cmを超える男だ、可愛さを足すには何かが足りない。
どうやら自分だけがおかしいらしいと織理は疎外感を感じつつ、攪真の頭を撫でる。
「織理の撫で方、めっちゃ気持ちいいわ~。もうちょい耳の付け根のあたり……」
「こう?」
こりこりとした軟骨あたりを揉むように撫でれば攪真の目が細まる。
――なんだか表情まで猫みたい。織理の手は止まらなかった。この現場を在琉が見ていたならば「こいつ恥じらいとか無いんですかね」とつっこんでいた事だろう。攪真は猫耳を最大限に活用して確固たる地位を確立しかけていた。
「にゃ~……織理、これめっちゃいい……。そら織理がああなってたのもわかるわ」
「え、」
攪真の言葉に織理は手を止めた。
――俺こうなってたの? あくまで毛玉としてだよね? 織理はその言葉を聞きたかったが怖くてやめた。もし今の攪真のような姿で、人に甘えていたとしたら恐ろしすぎる。死にたいとすら思う。
ぱたんぱたんと機嫌よく揺れる尻尾が織理の腕を叩く。少し毛の長い尻尾、よく考えると高級な猫ちゃんだ、と織理はそのしっぽの毛を指で摘む。スルッと毛が抜けた。見れば自分の服も黒い毛が着き始めていた。
髪の毛とは違う細い毛、何となくそれを指で集めてつまむ。
「あぁ、織理の服汚してもうたか……すまん」
「いや、別に猫の毛だからいいけど……本当に猫なんだね」
人の体にどうやって猫のパーツが生えているのか、少し気になる。でもその根本は見たくない気がした、尻尾ならまだしも耳は絶対に見たくない。夢が壊れる。
しかし不思議だ。尾骶骨付近から生える尻尾に何の感覚があるのだろう。なんで後付けなのに動くのだろう。今だけ神経が伸びているのだとしたら、何となく怖い。そんな深淵を覗く考えを頭を振って振り払う。
そして織理は尻尾に手を近づけた。
「尻尾ぎゅってしていい?」
「普通に考えたらあかんよ、でも織理がしたいなら我慢したる」
即答しつつも攪真は尻尾を差し出した。まるでガマの穂みたいにボワっとなる毛に織理は楽しさを見出していた。
――どうしようもっとわしゃわしゃしてみたい。でもこれ攪真なんだよな……、と織理はこの沸き立つ熱のむけ先が全くわからなくなった。
ただとりあえずこのまま弦達に止められるまで織理は尻尾を堪能した。猫が飼いたくなった。
――――
「いーなー、攪真。織理に撫でてもらってる~」
弦がどこか揶揄うようで不貞腐れたように攪真を茶化す。織理が席を外している間に在琉と弦は攪真の様子を確認しに現れていた。
弦の言葉に攪真は誇らしげに笑う。
「ええやろ、合法的に織理に甘えれんねんで」
「いや違法だろこんな可愛くない猫」
そのふざけたセリフにすぐさま在琉がツッコミを入れる。織理が猫になった時は在琉も正気でいられなかったが、攪真となれば関係ない。可愛くもないし触りたいとすら思わない、殺したい欲は湧くが織理の時のような抑えられなさも無い。
「男の嫉妬は醜いで~?」
「調子に乗ってんなコイツ」
これがドヤ顔なのだろう。どこか煽るような声色に在琉が舌打ちをこぼす。それを弦が宥めた。
「そっとしておこう、これでしかマウント取れないんだから」
普段の攪真ならここまで舐めた口を聞くことはなかっただろう。だが今彼には『織理に可愛がられている』というアドバンテージがあった。基本的に自発的に人に触れない織理が、頬を緩ませて自分を撫でている。それだけで何よりも優越感と幸福感に浸れるというものだ。無敵だった、これが転職なのかもしれない。あの能力者には怒りがあったが、この状況は最高すぎる。
「ふふ、俺も撫でてーって言ってこよ。なんなら本物の猫でもプレゼントしちゃおうかなぁ」
「何する気や弦先輩……!? 俺の邪魔する気やったら引っ掻くで」
「別にコイツのなら爪剥いだっていいよなぁ。織さんはお行儀良い猫だったけど、お前躾なってないもん」
在琉はさらりと物騒なことを言う。
弦の言葉に攪真が噛みつき、それを在琉が野次を飛ばす。織理を交えないこの3人の関係は絶妙に良くもなかった。悪くもないが。
――――
「織理、俺も撫でてほしーな~」
弦はソファに座る織理の太腿に顎を乗せる。少し上目遣いで甘えるようにそんな台詞を言った彼に、織理は一瞬だけ戸惑った。けれどもう何回かは撫でたことのある弦の髪を、今更恐れることもない。言われた通りに頭を優しく撫でる。
――やっぱり弦の髪は細くて触り心地が良い。カフェラテのような甘い色の髪が指をすり抜けていく。
「攪真ばっかり撫でるんだもん。俺寂しい~」
弦の珍しい甘え方に織理の心臓が高鳴る。可愛い、自分に甘えてくれている。いつも甘やかしてくれる人が。ただその言葉を飲み込んだ。
「そんなつもりなかったけど、……そう、かも」
攪真ばかり、それは確かにそう。今朝から今までの殆どを攪真と過ごしていた。だって猫の尻尾や耳を触らせてもらえるなんてなかなかないことで、あの心地いい感触に抗えなかったのだ。
「織理は猫好き? 本物欲しいならお迎えするよ?」
「……多分、ちゃんと面倒見れないから、大丈夫です」
織理の言葉に「そっか」とだけ返す。攪真が撫で続けられるのは嫌だが、そのために生き物を利用する気も弦には無い。飼いたいと言われたならお迎えする気持ちはあるが。
「……織さん、二人ばかり構わないでよ」
織理の背後から在琉も声をかけた。
「在琉?」
いつもと変わらない表情の読めない顔。けれどどこか雰囲気が不貞腐れているように感じた。
「ね、また前みたいにぎゅってして。オレのこと好きにしていいからさぁ」
在琉の発言に弦も織理も目を丸くした。弦に至っては「コイツこんなこと言えたんだ」の顔だ。
織理は弦に会釈してから在琉の肩に手を回す。
あの日、織理からの抱擁を受け軽くだが親愛に触れた在琉にとってのスキンシップはここが基準だ。手を繋ぐよりも、頭に触れるよりも先に、抱きしめられる心地よさを知った
抱きしめられたまま在琉は目を閉じる。すり、と無意識に織理の体に頬を寄せる。その擽ったさに小さく笑いが溢れる。
「なんか……二人とも猫みたい」
ポツリと織理は呟いた。猫化してないはずなのに。失礼だが織理はそう思ってしまった。その言葉に弦は笑う。
「じゃあちゃんと俺たちのこと飼ってね、織理」
ちょっと不服そうな在琉と楽しげな弦に織理もつい笑ってしまった。
「なんでアンタらが撫でられとるん?」
自室から降りてきた攪真はその光景に舌打ちした。弦は織理の膝に頭を乗せ、在琉は在琉で織理を後ろから抱きしめてもたれ掛かっている。自分が混ざるところが何一つ空いてない。
「織理に飼われることにしたところ~」
「はぁ? 何いうとんの」
弦の謎の冗談に攪真は割とマジなトーンで返した。意味がわからない。
「織さん~、あの猫の耳引きちぎっていい? あれ可愛く無いしウザい」
攪真を指差し物騒なことを言う在琉。
「ダメ。多分痛いし……あれ動くの可愛いよ?」
「もしオレにあれが生えても可愛いと言えんの?」
「うん」
在琉の言葉に織理は普通に頷く。どうだ、これが真理だ。と弦は攪真を見る。つまり攪真である意味はあまりなく、価値があるのは猫の部分だと暗に言っているのだ。
攪真は呆然とした。いやわかってたけど改めて言われるとなんともやるせ無い。そしてなぜこんなにみんな辛辣なのか。
「あかんわ、皆して俺を虐める……」
攪真は仕方なくソファの隅、弦の足元の方へ腰掛ける。あらま、と足をソファの外に出し、弦も体を起こす。そして猫耳に手を伸ばした。
「可愛いね~攪真にゃんこ」
「あんたに撫でられても何もうれしないわ」
だが心地よさには勝てない。頭を優しく撫でる手を振り払えないまま、皆で暫くソファに座り続けた。
――可愛い……!!
こんな感情は滅多に抱かない。織理はそこはかとなく猫が好きだった。感動する内面は顔にはあまり出ず、しかし空気だけがほわほわとしていた。明らかに喜んでいることは傍目からもわかるだろう。
何やら自分が毛玉だったらしいことは聞いた。どんな猫だったの? と聞くと在琉は「馬鹿猫」と一言だけ言って終わった。弦は「ふわふわの、織理の髪と同じ色の猫だったよ。可愛かった」とニコニコしながら言っていた。自分の事なのに良いな、触りたかったな、と心底思う。
――そして攪真に何故か猫耳が生えた。どうやらそれも何かしらの能力によるものらしい。だが織理の脳内は空前の猫ブームであった。
誰一人真実を伝えないせいで織理一人が舞い上がっているのだが、結局のところ織理に猫耳が生えたのも攪真に生えているのも同じ能力者の所為である。攪真は完全に報復として生やされただけであった。
織理がデレデレと喜ぶのを良いことに、攪真は彼の膝を占領していた。所謂膝枕の形だ。
弦と在琉は、攪真のその醜態とも言える姿に「ないわー」と姿を消した。織理の猫耳は嬉しくとも、攪真ではそうもいかない。なんせ身長が180cmを超える男だ、可愛さを足すには何かが足りない。
どうやら自分だけがおかしいらしいと織理は疎外感を感じつつ、攪真の頭を撫でる。
「織理の撫で方、めっちゃ気持ちいいわ~。もうちょい耳の付け根のあたり……」
「こう?」
こりこりとした軟骨あたりを揉むように撫でれば攪真の目が細まる。
――なんだか表情まで猫みたい。織理の手は止まらなかった。この現場を在琉が見ていたならば「こいつ恥じらいとか無いんですかね」とつっこんでいた事だろう。攪真は猫耳を最大限に活用して確固たる地位を確立しかけていた。
「にゃ~……織理、これめっちゃいい……。そら織理がああなってたのもわかるわ」
「え、」
攪真の言葉に織理は手を止めた。
――俺こうなってたの? あくまで毛玉としてだよね? 織理はその言葉を聞きたかったが怖くてやめた。もし今の攪真のような姿で、人に甘えていたとしたら恐ろしすぎる。死にたいとすら思う。
ぱたんぱたんと機嫌よく揺れる尻尾が織理の腕を叩く。少し毛の長い尻尾、よく考えると高級な猫ちゃんだ、と織理はそのしっぽの毛を指で摘む。スルッと毛が抜けた。見れば自分の服も黒い毛が着き始めていた。
髪の毛とは違う細い毛、何となくそれを指で集めてつまむ。
「あぁ、織理の服汚してもうたか……すまん」
「いや、別に猫の毛だからいいけど……本当に猫なんだね」
人の体にどうやって猫のパーツが生えているのか、少し気になる。でもその根本は見たくない気がした、尻尾ならまだしも耳は絶対に見たくない。夢が壊れる。
しかし不思議だ。尾骶骨付近から生える尻尾に何の感覚があるのだろう。なんで後付けなのに動くのだろう。今だけ神経が伸びているのだとしたら、何となく怖い。そんな深淵を覗く考えを頭を振って振り払う。
そして織理は尻尾に手を近づけた。
「尻尾ぎゅってしていい?」
「普通に考えたらあかんよ、でも織理がしたいなら我慢したる」
即答しつつも攪真は尻尾を差し出した。まるでガマの穂みたいにボワっとなる毛に織理は楽しさを見出していた。
――どうしようもっとわしゃわしゃしてみたい。でもこれ攪真なんだよな……、と織理はこの沸き立つ熱のむけ先が全くわからなくなった。
ただとりあえずこのまま弦達に止められるまで織理は尻尾を堪能した。猫が飼いたくなった。
――――
「いーなー、攪真。織理に撫でてもらってる~」
弦がどこか揶揄うようで不貞腐れたように攪真を茶化す。織理が席を外している間に在琉と弦は攪真の様子を確認しに現れていた。
弦の言葉に攪真は誇らしげに笑う。
「ええやろ、合法的に織理に甘えれんねんで」
「いや違法だろこんな可愛くない猫」
そのふざけたセリフにすぐさま在琉がツッコミを入れる。織理が猫になった時は在琉も正気でいられなかったが、攪真となれば関係ない。可愛くもないし触りたいとすら思わない、殺したい欲は湧くが織理の時のような抑えられなさも無い。
「男の嫉妬は醜いで~?」
「調子に乗ってんなコイツ」
これがドヤ顔なのだろう。どこか煽るような声色に在琉が舌打ちをこぼす。それを弦が宥めた。
「そっとしておこう、これでしかマウント取れないんだから」
普段の攪真ならここまで舐めた口を聞くことはなかっただろう。だが今彼には『織理に可愛がられている』というアドバンテージがあった。基本的に自発的に人に触れない織理が、頬を緩ませて自分を撫でている。それだけで何よりも優越感と幸福感に浸れるというものだ。無敵だった、これが転職なのかもしれない。あの能力者には怒りがあったが、この状況は最高すぎる。
「ふふ、俺も撫でてーって言ってこよ。なんなら本物の猫でもプレゼントしちゃおうかなぁ」
「何する気や弦先輩……!? 俺の邪魔する気やったら引っ掻くで」
「別にコイツのなら爪剥いだっていいよなぁ。織さんはお行儀良い猫だったけど、お前躾なってないもん」
在琉はさらりと物騒なことを言う。
弦の言葉に攪真が噛みつき、それを在琉が野次を飛ばす。織理を交えないこの3人の関係は絶妙に良くもなかった。悪くもないが。
――――
「織理、俺も撫でてほしーな~」
弦はソファに座る織理の太腿に顎を乗せる。少し上目遣いで甘えるようにそんな台詞を言った彼に、織理は一瞬だけ戸惑った。けれどもう何回かは撫でたことのある弦の髪を、今更恐れることもない。言われた通りに頭を優しく撫でる。
――やっぱり弦の髪は細くて触り心地が良い。カフェラテのような甘い色の髪が指をすり抜けていく。
「攪真ばっかり撫でるんだもん。俺寂しい~」
弦の珍しい甘え方に織理の心臓が高鳴る。可愛い、自分に甘えてくれている。いつも甘やかしてくれる人が。ただその言葉を飲み込んだ。
「そんなつもりなかったけど、……そう、かも」
攪真ばかり、それは確かにそう。今朝から今までの殆どを攪真と過ごしていた。だって猫の尻尾や耳を触らせてもらえるなんてなかなかないことで、あの心地いい感触に抗えなかったのだ。
「織理は猫好き? 本物欲しいならお迎えするよ?」
「……多分、ちゃんと面倒見れないから、大丈夫です」
織理の言葉に「そっか」とだけ返す。攪真が撫で続けられるのは嫌だが、そのために生き物を利用する気も弦には無い。飼いたいと言われたならお迎えする気持ちはあるが。
「……織さん、二人ばかり構わないでよ」
織理の背後から在琉も声をかけた。
「在琉?」
いつもと変わらない表情の読めない顔。けれどどこか雰囲気が不貞腐れているように感じた。
「ね、また前みたいにぎゅってして。オレのこと好きにしていいからさぁ」
在琉の発言に弦も織理も目を丸くした。弦に至っては「コイツこんなこと言えたんだ」の顔だ。
織理は弦に会釈してから在琉の肩に手を回す。
あの日、織理からの抱擁を受け軽くだが親愛に触れた在琉にとってのスキンシップはここが基準だ。手を繋ぐよりも、頭に触れるよりも先に、抱きしめられる心地よさを知った
抱きしめられたまま在琉は目を閉じる。すり、と無意識に織理の体に頬を寄せる。その擽ったさに小さく笑いが溢れる。
「なんか……二人とも猫みたい」
ポツリと織理は呟いた。猫化してないはずなのに。失礼だが織理はそう思ってしまった。その言葉に弦は笑う。
「じゃあちゃんと俺たちのこと飼ってね、織理」
ちょっと不服そうな在琉と楽しげな弦に織理もつい笑ってしまった。
「なんでアンタらが撫でられとるん?」
自室から降りてきた攪真はその光景に舌打ちした。弦は織理の膝に頭を乗せ、在琉は在琉で織理を後ろから抱きしめてもたれ掛かっている。自分が混ざるところが何一つ空いてない。
「織理に飼われることにしたところ~」
「はぁ? 何いうとんの」
弦の謎の冗談に攪真は割とマジなトーンで返した。意味がわからない。
「織さん~、あの猫の耳引きちぎっていい? あれ可愛く無いしウザい」
攪真を指差し物騒なことを言う在琉。
「ダメ。多分痛いし……あれ動くの可愛いよ?」
「もしオレにあれが生えても可愛いと言えんの?」
「うん」
在琉の言葉に織理は普通に頷く。どうだ、これが真理だ。と弦は攪真を見る。つまり攪真である意味はあまりなく、価値があるのは猫の部分だと暗に言っているのだ。
攪真は呆然とした。いやわかってたけど改めて言われるとなんともやるせ無い。そしてなぜこんなにみんな辛辣なのか。
「あかんわ、皆して俺を虐める……」
攪真は仕方なくソファの隅、弦の足元の方へ腰掛ける。あらま、と足をソファの外に出し、弦も体を起こす。そして猫耳に手を伸ばした。
「可愛いね~攪真にゃんこ」
「あんたに撫でられても何もうれしないわ」
だが心地よさには勝てない。頭を優しく撫でる手を振り払えないまま、皆で暫くソファに座り続けた。
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2022.05.01
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