知らぬはヒロインだけ

ネコフク

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十八話

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 試験も大抵の生徒は無事に終わり、後は1月半の冬休みなのだがその前に少し早い聖夜祭が生徒会主催で行われる。

 聖夜祭とは春夏秋冬の節目の行事で家族や一族が集まり1年の行いをねぎらいいたわる。地域ごとに町で祭りが開かれ、寒さに負けないほどの活気をみせるクリスマスのような行事である。

 学院で行われる聖夜祭はダンスパーティーで全学年参加の催し物だ。男女共に衣装を用意出来ない生徒の為に予約制ではあるが貸衣装が用意されており、当日着付けや化粧までしてもらえ、毎年借りる女生徒から好評を得ている。

 会場での飲み物、食べ物、スイーツなども見た目・味どちらも素晴らしく、密かに楽しみにしている生徒も多い。

 それを計画・見積り・手配・設置の指示全てが生徒会役員で行われるので役員達は当日まで大忙しである。

 クエスフィール達も生徒会役員なのでそれはもう忙しく、最低限自分達の事をやりそれ以外は全て聖夜祭の準備に時間を割いていた。

 本当に本当に忙しいのだ。試験前に大体の準備はしていたが、今年は王族のミハエルがいるので例年より警備を強化しなくてはいけなく、騎士団長へ依頼し当日の騎士の配置など打ち合わせも綿密にしなくてはいけなかった。それもあり大詰めの1週間は他の事を思い出したり考えたりするヒマがなかったのだ。




 だから忘れてしまっていても仕方がない事だった。聖夜祭のダンスパーティーが乙女ゲームのイベントである事を。



 クエスフィールがそれを思い出したのはダンスパーティーが始まってからすぐ。


 ミハエルが隣にいるアラベラから離れおもむろにアリサに近づき抱きしめているのを見た時だった。
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