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十九話
「ミハエル様!?」
アラベラの悲鳴によって周りにいた生徒達が異変に気づき、視線の先にあるありえない光景を見てざわめきと動きが止まる。
いつもアラベラに過度にくっつきデレデレとしているミハエルが、身持ちが緩いと噂のアリサを蕩ける表情をし抱きしめているのだ。
これには信じられない物を見たと生徒達は驚愕し、アラベラは真っ青になり震えている。
「チッ、失敗した・・・・・・」
ダンスパーティーは乙女ゲームの共通イベントだったではないか。準備に忙殺され大事な事を忘れていたとクエスフィールは自分に舌打ちをする。
後少しで全てを終わらせられるハズだったのに、どこで親密になるほどの好感度が上がっていたのか・・・・・・考えても答えは出て来ない。
「フィー」
遠慮がちに袖を引くシスティアにそんな仕草も可愛いなぁとつい意識が向いてしまったクエスフィールに、システィアがおずおずと話す。
「何故アリサ嬢はパーティーに来てるのですか?」
「えっ」
「だってアリサ嬢試験結果が悪くて参加出来ないはずですよね?」
「あっ」
そうなのだ、試験で赤点を取った生徒は補習を受けパーティーの参加を禁止される。なのでみんな1年のうち一番力を入れる試験は今回なのだ。
赤点を取った生徒の中にはしれっとパーティーに紛れ込もうとする者がいるので、入口には警備の騎士と受付の生徒がチェックしている。それなのにアリサは会場に入り、今ミハエルに抱きしめられている。
「おかしいね。手引きした奴でもいるのかな?」
「それはないかと。騎士の方は団長が自ら選んでくださった方々ですし、受付の方は厳しいと評判の事務の方にお願いしていますから」
「だよね。・・・・・・それよりなんかここら辺から嫌な魔力が漂ってるんだけど」
じんわりと染み込むような魔力の元を探そうと辺りを見回すと、驚きミハエルとアリサから距離を取っていた生徒、主に令息達が頬を染め熱い視線を2人に送っている。中には近づこうとして止められている者もいる。数人だけは不快そうにしているが、大半は浮ついたようになっている。
「これって・・・・・・」
「フィー!?」
袖を掴む力が強くなったシスティアに安心させるように頭にキスを落とし周りを探ると、嫌な魔力と共に仄かに甘い香りが鼻孔を擽る。
(コットンキャンディのような甘い香り・・・・・・匂いでごまかしているけど嫌な魔力が、、、精神系の魔力?・・・ってアレか!)
「全員甘い匂いが届かない場所まで離れて!ダサヨン嬢が魅了魔法がかかった違法の香水を使ってる!解呪の魔法を使える者は周りのかかっている生徒に解呪を!ティア!僕が風魔法で匂いを2人の上に集めるからそのまま解呪して!」
「分かりました!」
風魔法を利用して声を拡散させたクエスフィールの言葉で遠巻きにしていた生徒も、匂いの中心であろう2人からさらに距離を取る。様子がおかしい生徒は他の生徒に引きずられ、解呪を施されていく。それを横目に見ながらクエスフィールは風魔法で風を床から匂いを絡め取るように螺旋状に起こし2人の頭上に溜めていく。
「クエス止めろ!アリサが怖がっている!」
アリサを強く抱きしめるミハエルを無視し、無言で風を出し続けシスティアに合図を送る。
「解呪の雨!」
両手を上げ長い詠唱を終えたシスティアの手のひらから淡い光の粒子が広がり、それをクエスフィールの風がさらい渦巻く2人の頭上と体を光が包んでいく。
解呪魔法は基本的に対象者の身体に触れていないと発動されないものなのだが、システィアは家系なのか治療師の中でも回復魔法より身体に影響する魔法が得意で、接触しなくても魔力を粒子に変え広範囲で魔法をかける事が出来る。
優秀なクエスフィールの隣に堂々と立っていたいという想いで努力を重ねた賜物が今発動した魔法なのだ。
キラキラと光の雨を浴びて抱き合う2人。はたから見ればうっとりするような場面。
これが本物のカップルで解呪魔法を浴びて光っている現実が無ければだが。
その光景を皆固唾を飲み見つめていると、ミハエルが抱擁を解きふらりと一歩、また一歩と後ずさる。
「ミハエル様?」
「させるか!呪縛!」
「きゃあ!」
後ずさるミハエルに追いすがろうとするアリサを、間髪入れずクエスフィールが魔法で捕縛すると、会場内で待機していた騎士がさっと肩に担ぎ会場の外へと消えていく。
それを見送り、王宮から尋問官が来るまで反省室へ放り込まれるだろうから、ここが片付いたらアリサへの嫌がらせに、不協和音でも風魔法で流してやろうとクエスフィールはひっそりと悪い顔をする。
ミハエルはというとまだ頭がぼんやりしているのか視線は空を見ており、足下も覚束ない。
そんなミハエルにカツカツとヒールを鳴らしアラベラが近寄る。先ほどまで真っ青になり震えていたが、復活したようだ。
「みーちゃん」
((((みーちゃん!?))))
「・・・・・・あーちゃん?」
((((あーちゃん!?))))
(え、第二王子殿下とご婚約者様ってお互いそう呼び合ってるの!?それ私達聞いて良かったのかな?聞いてないフリしておいた方がいいよね?)
この時無意識で発した「みーちゃんあーちゃん」呼びが周りに知られていたとかなり経ってから気付き、ミハエルとアラベラが羞恥に身悶える事となる。
アラベラの悲鳴によって周りにいた生徒達が異変に気づき、視線の先にあるありえない光景を見てざわめきと動きが止まる。
いつもアラベラに過度にくっつきデレデレとしているミハエルが、身持ちが緩いと噂のアリサを蕩ける表情をし抱きしめているのだ。
これには信じられない物を見たと生徒達は驚愕し、アラベラは真っ青になり震えている。
「チッ、失敗した・・・・・・」
ダンスパーティーは乙女ゲームの共通イベントだったではないか。準備に忙殺され大事な事を忘れていたとクエスフィールは自分に舌打ちをする。
後少しで全てを終わらせられるハズだったのに、どこで親密になるほどの好感度が上がっていたのか・・・・・・考えても答えは出て来ない。
「フィー」
遠慮がちに袖を引くシスティアにそんな仕草も可愛いなぁとつい意識が向いてしまったクエスフィールに、システィアがおずおずと話す。
「何故アリサ嬢はパーティーに来てるのですか?」
「えっ」
「だってアリサ嬢試験結果が悪くて参加出来ないはずですよね?」
「あっ」
そうなのだ、試験で赤点を取った生徒は補習を受けパーティーの参加を禁止される。なのでみんな1年のうち一番力を入れる試験は今回なのだ。
赤点を取った生徒の中にはしれっとパーティーに紛れ込もうとする者がいるので、入口には警備の騎士と受付の生徒がチェックしている。それなのにアリサは会場に入り、今ミハエルに抱きしめられている。
「おかしいね。手引きした奴でもいるのかな?」
「それはないかと。騎士の方は団長が自ら選んでくださった方々ですし、受付の方は厳しいと評判の事務の方にお願いしていますから」
「だよね。・・・・・・それよりなんかここら辺から嫌な魔力が漂ってるんだけど」
じんわりと染み込むような魔力の元を探そうと辺りを見回すと、驚きミハエルとアリサから距離を取っていた生徒、主に令息達が頬を染め熱い視線を2人に送っている。中には近づこうとして止められている者もいる。数人だけは不快そうにしているが、大半は浮ついたようになっている。
「これって・・・・・・」
「フィー!?」
袖を掴む力が強くなったシスティアに安心させるように頭にキスを落とし周りを探ると、嫌な魔力と共に仄かに甘い香りが鼻孔を擽る。
(コットンキャンディのような甘い香り・・・・・・匂いでごまかしているけど嫌な魔力が、、、精神系の魔力?・・・ってアレか!)
「全員甘い匂いが届かない場所まで離れて!ダサヨン嬢が魅了魔法がかかった違法の香水を使ってる!解呪の魔法を使える者は周りのかかっている生徒に解呪を!ティア!僕が風魔法で匂いを2人の上に集めるからそのまま解呪して!」
「分かりました!」
風魔法を利用して声を拡散させたクエスフィールの言葉で遠巻きにしていた生徒も、匂いの中心であろう2人からさらに距離を取る。様子がおかしい生徒は他の生徒に引きずられ、解呪を施されていく。それを横目に見ながらクエスフィールは風魔法で風を床から匂いを絡め取るように螺旋状に起こし2人の頭上に溜めていく。
「クエス止めろ!アリサが怖がっている!」
アリサを強く抱きしめるミハエルを無視し、無言で風を出し続けシスティアに合図を送る。
「解呪の雨!」
両手を上げ長い詠唱を終えたシスティアの手のひらから淡い光の粒子が広がり、それをクエスフィールの風がさらい渦巻く2人の頭上と体を光が包んでいく。
解呪魔法は基本的に対象者の身体に触れていないと発動されないものなのだが、システィアは家系なのか治療師の中でも回復魔法より身体に影響する魔法が得意で、接触しなくても魔力を粒子に変え広範囲で魔法をかける事が出来る。
優秀なクエスフィールの隣に堂々と立っていたいという想いで努力を重ねた賜物が今発動した魔法なのだ。
キラキラと光の雨を浴びて抱き合う2人。はたから見ればうっとりするような場面。
これが本物のカップルで解呪魔法を浴びて光っている現実が無ければだが。
その光景を皆固唾を飲み見つめていると、ミハエルが抱擁を解きふらりと一歩、また一歩と後ずさる。
「ミハエル様?」
「させるか!呪縛!」
「きゃあ!」
後ずさるミハエルに追いすがろうとするアリサを、間髪入れずクエスフィールが魔法で捕縛すると、会場内で待機していた騎士がさっと肩に担ぎ会場の外へと消えていく。
それを見送り、王宮から尋問官が来るまで反省室へ放り込まれるだろうから、ここが片付いたらアリサへの嫌がらせに、不協和音でも風魔法で流してやろうとクエスフィールはひっそりと悪い顔をする。
ミハエルはというとまだ頭がぼんやりしているのか視線は空を見ており、足下も覚束ない。
そんなミハエルにカツカツとヒールを鳴らしアラベラが近寄る。先ほどまで真っ青になり震えていたが、復活したようだ。
「みーちゃん」
((((みーちゃん!?))))
「・・・・・・あーちゃん?」
((((あーちゃん!?))))
(え、第二王子殿下とご婚約者様ってお互いそう呼び合ってるの!?それ私達聞いて良かったのかな?聞いてないフリしておいた方がいいよね?)
この時無意識で発した「みーちゃんあーちゃん」呼びが周りに知られていたとかなり経ってから気付き、ミハエルとアラベラが羞恥に身悶える事となる。
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