冒険者パーティー黒猫の気まぐれ

sazae9

文字の大きさ
88 / 238
11.テザン皇国での冒険者活動

見つかった?

しおりを挟む
あれからもダンジョンを攻略し、出来るだけ街で過ごさないように気を付けていた。
街に出没するのは、冒険者ギルドに依頼を受けに行くときと報告に行くときくらいだ。
しかし、【黒猫】の名前が広がり始めている。
猫の姿でダンジョンを攻略していた噂と共に。
猫の真似をしてダンジョンを攻略する猛者として。

恥ずかしさもあるが、うれしいこともあった。
あんなことをしたから、ラウールを恐れる冒険者が減ったのだ。
【放浪の羊】が話していたイメージを拭い去るほどの衝撃、黒猫の姿の冒険者はインパクトがあったようだ。

そうラウールにとって平和が訪れてきたと考えながら冒険者ギルドで、依頼票を確認していると、冒険者ギルドの扉が乱暴に開かれた。

「【黒猫】はいるか!! 俺様が用事がある!! おい受付!! 黒猫はいるか!?」
そう言いながらウオルフ・ゼンダーが受付前の列をかき分けて進んでいた。

「黒猫を呼んで来い! いるのか!? いないのか!? どっちなんだい!?」
カウンターに到着したウオルフは、フクネさんに詰め寄っていた。

「冒険者に用事があるのであれば、指名依頼を出してください。」

「なに”!!」

「冒険者を個人的に招集する権利は冒険者ギルドにはございません。緊急招集対象の危機は限られております。」

「貴族である俺様が呼んで来いって言ってるんだぞ!! この男爵である俺様がな!!」


この国は皇国と言う名の教国みたいなものである。
教皇がトップに立ち、各地は貴族のような司祭などが統治している。
さらに教会で役職がつくような人物に、貴族としての役割を国から与えられている。
代々貴族の家系と、その時代に何か国に貢献した者が貴族となる。
男爵とは、ほとんどが1代のみの爵位である。


「ご自分で、冒険者ギルド以外でお探しください。冒険者ギルドはそういった仲介は、依頼以外では行っていません。更に、依頼でも、相手が拒否した場合は仲介できません。」

「あ”~お前では話にならん! ギルドマスターを出せ!」

「そういったご用件では、マスターをお呼びすることはできません。」

「なんだと!!」
そうウオルフが叫ぶと、今まで存在感を出していなかった護衛2人が剣を抜いた。

「その剣をどうするおつもりで?男爵は冒険者ギルドに喧嘩を売るおつもりですか?」
そうフクネさんは言うと、冒険者ギルド内に魔力が充満した。

「っ!! 男爵に・・逆らう気か!」

魔力を充満させ、殺気を放っているフクネさんの表情は変わらない。

「剣を向けられたときには、身を守るものでしょ? 相手がどんな方であっても。冒険者ギルドの受付も変わりませんが。」

「くっ! おい剣を下げろ!」

「え~と、もう遅いですね。冒険者ギルドで剣を抜いたという事は、冒険者ギルドに喧嘩を売ったという事。喧嘩を売ったという事は、ウオルフ様の家は敵になった。これから先、ウオルフ様に連なる者や利益になることについての依頼は、冒険者ギルドではお引き受けできません。」

目を見開いたウオルフ。冒険者ギルドには貴族も依頼を出している。それが、ウオルフに近い者や、利益になる物という選択肢を並べられた。つまり、冒険者ギルドは、ウオルフと知り合いと言うだけでも依頼を受けないと今後宣言するつもりだ。

「それは困る!! 俺様のいう事を聞け!! お前らは貴族に従っていればいいんだ!!」

まだ強く・・・。
どこの馬鹿貴族?
貴族って名乗っているけど、こいつはなんで貴族になれたんだ?

「剣を抜いた時点でどうにもなりませんよ。」

「そこをどうにかするのが受付だろ!! 受付なら俺の言う事を聞けばいいだろ!!」

まだ言ってるよこの人・・・。
早く終わってほしい。

「名乗ってませんでしたけど、私は副ギルドマスターのフクネ。ギルドマスターは忙しいので、ほとんど私が物事を決裁していますよ。」

「な・・・・・。」

「そして、これをもって宣言します。今後ウオルフ家関連の依頼は、冒険者ギルドでは受け付けません。」

「な・・・・。」

「お引き取りくださいね・・・。」

「いや・・・、困る・・・。」

「私は困りませんから。」

「いや、黒猫だけ出してくれたらいいんだ・・・。」

「まだ言いますか?」

「そんな態度をとっていいのか!! 夜道には気を付けるんだな!!」

「今度は脅迫ですか?憲兵を呼びますか?」

「くっ! しかし、取り下げてもらわないと俺様も困る!! 俺の周りに人がいなくなるではないか!!」

「ご自分で蒔いた種では?」

どこまでも続いていく言い合い。
しかし、さすがにここまで言い争いが続いていると、憲兵から連絡が行ったという、この街の領主の使いが現れた。
領主の使いは冒険者ギルドに謝罪し、ウオルフを連れて行った。

~~~~~~~~

ラウールはフクネさんの立場を知らず驚いた。そして一歩も引かない姿、あの魔力に驚き声をかけた。

「フクネさん・・、今度からは副ギルとお呼びしても?」

「却下です。今まで通りでお願いします。」

「そうですか、残念!」

「いえいえ、これで大体は解決でしょう。今後は冒険者ギルドは本当にウオルフ家に関する依頼はお断りしますし、恨むなら、冒険者ギルドか【黒猫】でしょう?」

「はっ?なぜ僕たちが?」

「それは、きっかけが黒猫を探していたことと、ドブンたちが捕まるきっかけが黒猫だからでしょう?」

「いやいや守ってくれるのでは?」

「これくらいが精一杯ですよ?」

「うそでしょ?何か企んでいませんか?」

初めて表情を崩したフクネは、
「襲われたら返り討ちにしたらどうでしょうか?Cランクへのランクアップの条件をクリアしたとみなしますよ。そして、冒険者ギルドに敵対したものを撃退すると、ラウールさんもAランクになると思いますよ。」

ラウールは自分の額を叩いた。
「腹黒いですね~?面倒ごとを押し付けたと?」

「あくまでも可能性を述べただけですよ?冒険者ギルドは、相手に十分な罰を与えましたから。恨む相手は本来は我々組織ですからね、普通の考えの人なら。」

「普通なら?ですけどね。」

「そう、普通なら。」

さすがにエルフ。見た目は若いけど、実際はもしかして・・・。
目の前から殺気を感じて、年齢を考えるのはやめた。
この先はまた面倒なことが起きることが目に見えて、気が重い・・・。
しおりを挟む
感想 100

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

処理中です...