冒険者パーティー黒猫の気まぐれ

sazae9

文字の大きさ
113 / 238
14.勇者?召喚?

勇者との対面

しおりを挟む
ラウールとサクラは昼よりもだいぶ前に冒険者ギルドにいた。
出来るだけ目に付くにはどこがいいか考えて、登録後に振り向いたときに目に付くテーブルに座っていることにした。
もちろんサクラは何もかぶらず、顔もすべて見えるようにしていた。
そしてラウールも1つ考えて、月光を腰に備えていた。

2人は飲み物を飲みながら、今後の旅の行方を話、時間をつぶしていた。そして、昨日見た人がドアを開けて入ってくると、後ろから勇者3人が入っていた。
装備は昨日と変わらずに、堂々と受付に進んで行く。
先導している者は、他の冒険者に順番を譲れと言うと、低ランク冒険者が何人かはいそいそと列から離れた。しかし中堅から上の冒険者でよける者はいなく、結局は列の一番後ろに並んでいた。そして勇者はそれが普通だとでもいうようにしていた。
勇者の順番が来て、受付では特にもめごともなく手続きを終えていた。そして3人ともに目を輝かせていた。
受け取った冒険者プレートを見て、3人で何かを話し、キョロキョロし始めた。そして、ラウール達が座っているテーブルの方を見つけると、歩み寄ってきた。

先頭を歩いてきた体格のいい勇者が目の前に来て、
「こんにちは冒険者さん。何か飲みながら3人で冒険者ギルドの雰囲気を味わおうとしたんだけど、あなたの見た目が気になってね。冒険者としては先輩みたいだし、一緒に座ってもいいかな?」
そう丁寧な口調で聞いてきた。そこには噂であったような上から見下す様子はない。

それを聞いたラウールが口を開いた。
「いいですよ、どうぞ空いてる椅子に。まー僕の物ではないですけどね。」

その返事を聞くと3人の勇者は椅子に座った。そして先導していた身なりのいい人は、外の馬車で待っていると言って外に出て行った。

意外にゆるい対応だなとラウールは感じていた。

「じゃあ先輩として先に。初めましてラウールと言います。こっちはサクラ。【黒猫】って言うパーティーで旅をしているよ。あなたたちは勇者様ですよね?」

そう言われた体格のいい男が、
「勇者様はやめてくれよ。俺はダイチ。この世界ではないところから来たんだ。よろしくな。」
その後にもう2人も続いて、
「私はヒミカ。私もダイチと一緒ね。勇者様もやめてね。」
「俺も・・・、僕はグンジョウ。一番年下かな?よろしくね。」

ラウールは予想外だった。
普通の対応だ・・・。

「いきなり悪いな。ちょっとそっちのサクラの見た目がな、俺たちのいた所の人と見た目と同じでな。こっちに来てから見たことがなかったから、俺達みたいな見た目はいないのかと思ってな。」
そう人差し指で鼻を掻いている。

「私みたいな人はいるのかな~?今まで見たことないけど。だから住んでいたところもこの見た目で出ていくことになったし。」

「そうなの?そんな事があるの?」
そうヒミカが身を乗り出してきた。

「ん~、ま~私の見た目って変だから。目立ってしょうがないもの変なほうで。」

「じゃあ僕たちも目立っちゃうのかな?」
グンジョウが不安そうにつぶやいた。

「勇者と言うだけで目立つでしょう3人とも・・・、何を言ってるんですか~。サクラは見た目で、あなたたちは勇者の肩書でね。」

3人は小声で何かを話している。
そしてまたダイチが口を開いた。

「サクラはこの世界の人?」

「この世界の人?この世界以外に世界があるの?」

「いや、俺たちはこの世界でないところから来たって言ったろ?」

「そうね。勇者召喚っていうから、どこからどう来てるのかはわからないけど。」

「俺たちはこの世界とは違う、地球という所から来たんだ。」

「チキュウ? シチランジンではない世界? 何が違うの?」

「よくわからね~けど、違う世界に連れてこられたみたいだ。」

「そうなの? よくわからないけど、あなたたちはそれでいいの?元居たところに帰りたいとかはないの?」

「そこなんだよな~。いきなり連れてこられて勇者って言われるし。テンプレみたいに魔王もいないし。」
ダイチが話している横からヒミカが口を挟んだ。
「それどころか、前にも召喚された勇者がいるっていうじゃない? 多分同じところから召喚されてるわよ。見たことのある、聞いたことのあるものがいっぱいあったもの。」
グンジョウも
「そうそう、異世界転移って言ったらテンプレがつきものなのに何もないし。特に僕たちの役目も強くなるだけみたいだし。召喚したファンフート様の護衛?みたいなもので、もっと強くなるまでは特に役目もないみたいだし。」
ダイチが
「それなんだよな。せめて悪い貴族が召喚して、次の教皇は俺だ!そのために敵をやつけるんだ!!だったらいいけど、意外に今のところいい人なんだよな。」
「それよ~、だって何よあの発言。『俺が悪者になるだけで、この国の安全が図られる。そして国民も盛り上がる。失敗しても私の名が汚れるだけで、現教皇には影響はない。』ってどこのかっこいい貴族よ。自分がろくでなしって呼ばれているのも知ってたしね。」
「でも、僕はそれくらいだったら呼ぶなよって思ったけど、憎めないんだよな~、誘拐犯なのにね。」
「俺も判断に迷うんだよな。あのついてきてくれた人も、善意でやってるんだよな~。」

3人が自分たちだけで話し始めて止まらない。
でも、話を聞くと連れてこられたことに不満はあっても、呼んだ人は悪い人ではなかった?

話が終わらなそうなのでラウールが声をかけた。
「ねえ、その話はここでしていいの?」

「あまりよくないんだけどな、サクラを見てたら、なんか話してたぜ。でも、そこまでの口止めもしてないんだぜ、ファンフート様は。どうしたいのか俺にもわからないぜ。」

「僕もです。冒険者になりたいって言えばこうやってこれるし、召喚されたばかりの時も、怖がっていた僕を十分に面倒を見てくれましたし、外に出すのも、3人の実力がある程度ついてからにしてくれたし。」

「でも光の神様には召喚したとに毎日謝っていたわよね。じゃあ初めからやるなって言いたいけど。」

ラウールは思った。
自分では判断できないと。
神や教皇の意向には背いている。
しかし、召喚された人がそこまで悲観的ではない。
ん~・・・・。
しおりを挟む
感想 100

あなたにおすすめの小説

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

処理中です...