異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇

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第333話 報告

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イールス達が馬車で屋敷に到着すると、ヘルクドールがフラフラしながら部屋に入り、ソファーに座り込み頭を抱えている。アーセリオドールとアーメリアが驚いたように見ている
「アーセリオドール様、アーメリア様、ただいま帰りました。 遅くなり申し訳ありません」
イールスが丁寧に挨拶をしていると、リシリアが嬉しそうにイールスの腕を組んでいる
「イールス何か有りましたか? この状況は…」
アーメリアが苦笑いしている
「ちょっと面倒な事になったので、国王陛下と王妃様に押し付けてきました」
イールスが笑顔で言うと、セーレンが頭を押さえながら失笑している
「は? ちょっとか? この様子で…」
アーセリオドールがヘルクドールを見て言う
「ちょっと考える時間をくれ… 判断がつかない…」
ヘルクドールが頭を抱えたまま覇気の無い声で言う
「イールス何をしてきた!! この様子とんでもない事をしたのか!! 隣国で何かしてきたのか!!」
アーセリオドールが不安そうに怒鳴る
「まだ国家機密です」
イールスが笑顔でアーセリオドールを見ている
「国家機密… 後始末は必要なのか?」
アーセリオドールがセーレンを見ている
「後始末は王城で慌ててやっているでしょう… 後始末よりも準備を急いだ方が良いでしょう」
セーレンが呆れ気味に言う
「は? 準備を? 何の準備ですか? イールス軍の雇用か? それならある程度余裕は有りますが…」
「イールス軍の… 話し合いに出ませんでしたね… あの軍が離反して暴れたら国が滅びますね… その話の前にイールスに滅茶苦茶にされましたね… もう国王も何も言い返せないでいましたし… バウルトリア師も余裕が無かったですね…」
セーレンが思い出したように顔が引き攣っている
「は? 大事な事よりも更に恐ろしいことをしたのか? イールス何をしてきたのだ!! どうしたら良いのか?」
アーセリオドールが慌て気味にイールスを見ている
「ヘルクドール様に聞いて下さい、国家機密なので大変申し訳ないのですが話せません。責任を取って冒険者になります」
イールス頭を下げている
「お義父様、辛くても説明を求めます。 イールスが何をしたのですか?」
アーメリアが不安そうに言う
「少し整理が追い付かない… これを簡単に処理するイールスがおかしい… とんでもない事が続いている… セーレン師頼みます… 整理して説明を… 説明出来る所で良いので…」
ヘルクドールが頭を抱えたまま言うと、アーセリオドールとアーメリアがセーレンを見ている。セーレンが国家機密として約束をさせている

「最初の問題は、イールスの約束した褒美の件です。 イールスが義勇兵達に約束した報酬額がとんでもない金額です。 まさか金貨20万枚と魔導具など一千個… 更に今回のスタンビードのドロップアイテムまで分配すると言っていたとは… その倍を褒美として支払う約束をして総大将として出陣したからには、約束を反故に出来ません… 国庫は当分空ですね… 次は処分と褒美について、イールスが異論を唱えて、再調査になってますね… 今頃王城で慌てて調査してますね… 更に公爵が隠居する事になりそうになって、イールスがリシリアの件で隷属魔法の申請の虚偽とリシリアの出生の秘密にまで発展して、国王陛下が認めてしまったので、王位継承問題にも発展しかねないですね… 秘密にされて公爵家に預けられていた、国王陛下の妹様の娘だったとは… 虐待の事実もありますし… 公爵は追い詰められて、何も言い返せず、イールスが完全にトドメを討っています」
セーレンが軽く説明している
「え? イールス何をしているんだ!! 相当な問題だぞ!! 公爵にトドメを討つ必要は無いだろ!!」
アーセリオドールが慌てて怒鳴る
「相当な事ですが、準備が出ていませんね」
アーメリアがセーレンを見ている
「イールスは、隣国でユリアリース女王様を裏で操り復興させて来ましたが、王妃様より反撃が… 次期国王のジークレン王子様の政略結婚の選定を任されているようです。それも候補が王女様とイールス様の妹様ですから…」
セーレンが笑顔でアーメリアを見ている
「は? 政略結婚… 次期国王の… 妹と言うと… 」
アーメリアの顔色が血の気が引いていく
「救国の英雄イールスを崇める隣国の王家に嫁ぐのですから、教育が大変ですね… アーメリア様よろしくお願いしますね」
セーレンが笑顔で言うと、アーセリオドールとアーメリアが頭を抱えている
(イールスの妹…メイラールさんですか? 教育1つしてませんが、王妃ともなると相当な教育と忍耐力も… イールスを嫌っていたら大問題に… イールスの過去を知られたら大変な事になるのでは? そもそもイキナリ政略結婚なんて… 急いで教育しないと… あの性格から治さないと… 礼儀作法… 勉学… 社交界… 理解する頭が有りますか? イールス帰ってきて最初からとんでもない事をしないで下さい… メサリア様がいたらもっと大変な事になりそうな… 失敗したらレズムード伯爵家の家名にキズが… 国の威信も地に…)
(イールス、隣国を裏で操っていたなんて… 何をしてきているんだ! それも褒美が膨大過ぎてどうするつもりだ? そもそもリシリアが王族と言うのは… どうすれば良いのか? イールスがその気なら国を乗っ取れるのでは? 公爵の策略を策で返したのは良いが…… ん? まさか… 最初から化かし合いをしていたのか? イールスが騙させた振りをして仕返しをしたのか? イールスならやりそうな… 聞くのが怖いぞ… 本当にこれで終わりだよな… イールスの笑み何か考えているのか? イールス笑みは怖い事を考えている顔に思える…)
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