実は安倍晴明は五つ子で互いの功績をひとりの者として扱い後世にはひとりの人物として語られた/時代小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品で

牛馬走

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チャプタ―15

ダメな安倍晴明15

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「さて、そろそろ蹴鞠でもいかがですかな」
「それはよいですな」
「宮仕えは体がなまりますからなあ」
 霊物の恐ろしさを語っていた貴族たちが蹴鞠に興じ始めた。
 晴足はこの遊びがあまり好きではなかったが断る訳にもいかず彼らに混ざってしばし蹴鞠に加わった。
 しばらく毬を蹴ってまわしていると、
「そういえば、検非違使(警察)殿が何やら妖に襲われたとの由」
 と貴族のひとりが語った。
「それはいかような?」
「さて、真っ黒な蛇だったとも、誰かの腕だったとも申して居るとか」
 晴足の問いかけに、貴族は思案げな顔で答えた。
「その御仁の名は?」
「さよう」
 そして、晴足は検非違使の名を聞き出した。
 これで酒宴に顔を出した甲斐があったというものだ。
 他の兄弟たちも晴明以外は地道にこのような依頼探しをしている。
 改めて考えると、やはり晴明兄は贔屓されている――。
 そう思わざるを得なかった。
 そして翌日の夜、晴足は覆面をかぶって上級貴族の元を訪れていた。
 変装の理由は、晴明と万が一にも間違われその手柄を自分の物のしないようにというものだ。
 己の手柄を己のものにして何が悪いのか――今の晴足の脳裏にはそんな疑問が渦巻いていた。
 しかも、
「安倍家の雑人(下僕)か」
 出迎えた家司はなんと、晴足を雑人扱いした。
「御所様に対面できる栄誉、光栄に思うがよい」
 などと言われ、晴足は腸が煮えくり返るのを感じる。
 だが、未だに晴明の独り立ちの目途は立っておらず、用意に正体を露わにするわけにはいかなかった。
 家司は晴足を寝殿へと案内していった。
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