イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。

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第11章 ドキ❤️ドキ❤️温泉慰安旅行!ポロリと恋と混浴と!?

『浴衣の下は、内緒の勝負』ご褒美タイム:メグ編

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「……メグ、先に部屋戻って着替えてくるっ!」



ビンゴで“花火デート券”を勝ち取った瞬間、メグはまるでスタートの合図でも聞いたかのように立ち上がり、部屋を飛び出した。

勢いよく襖を閉めるその背中に、コウがぽつりと呟く。



「……すごい気合いだな」



* * *



「はあぁぁぁぁっ……っ、やば、手、震えてきた……!」



自室に駆け込んだメグは、ドレッサーの前で髪を直しながら、胸元を押さえていた。

鏡の中の自分――浴衣に着替える前の“素”の姿。

Tシャツを脱ぎ、そっと畳んで荷物の脇に置く。



(あれ、緊張……してんじゃん、私……)



そう自分にツッコミを入れながら、メグはキャリーケースの奥から、例の勝負浴衣を取り出した。

淡い桃色に朝顔の模様が描かれた、肩のラインが少し落ちるように仕立てた一枚。



「……これで落とす。ぜったい落とす……!」



呟きながら、**“下着をつけない”**という決断を、あらためて思い出す。



(……もう、つけないって決めたんだもん。覚悟、しろし! 天城コウ!)



浴衣のすその感触が、布越しじゃなく肌に直接伝わる。

帯を締める手に、いつになく力が入った。



「うわっ……歩くたびに擦れる……っ」



(やば……これ、理性、持つの私の方じゃん……っ)



その感触のすべてに、自分自身がドキドキしている。

恋って、勝負って、こんなに体が熱くなるものなんだ――。



仕上げに、薄いピンクのリップを引いて、少しだけ甘い香りのヘアミストを髪にかける。

そして、静かにひとこと。



「……いってきます、“推し”に会いに」



* * *



「メグ、遅かったな。大丈夫か?」



旅館の裏手、開けた川辺の広場。

すでに花火師が準備を始めている。

暗がりに佇むコウの姿を見つけた瞬間、メグは胸をぐっと締める。



(……あ、やばい。顔、見た瞬間、全部ふっとんだ)



「お、おまたせっ……! その、浴衣……ど、どうかな?」



「うん。すごく似合ってる。なんか、すごい……女の子って感じ」



「~~~っっ、もぉおっ! そういうこと言わないでよっ!」



顔を真っ赤にしながらも、メグは嬉しそうに笑った。

帯を握る手が、少しだけぎゅっとなる。



「……歩く?」



「うんっ」



並んで、土手の端をゆっくり歩き始めるふたり。

虫の声と川の音、そして空には、一発目の花火が――



「どぉぉぉん!!」



「わっ……!」



驚いて、思わずコウの腕にしがみついたメグ。

浴衣が揺れて、裾が風にふわりと舞い上がり――



「……っ」



(あ、やば、今、もしかして……)



「……メグ、下……」



「言うなっ! いま言うなっ!!」



顔を真っ赤にして、肩まで縮こまるように抱きつくメグ。

でも、そのまま離れようとしなかった。



「……ねぇ、コウ。お願い、ちょっとだけ、ぎゅってしていい?」



「え、あ……うん、いいけど」



そっと、抱きしめた。

浴衣の薄布越しに伝わる体温。

柔らかく、でも確かに女の子の身体がそこにあって――



「……ばか」



「えっ、俺?」



「違う、私。……こんな、ずるい格好で、あんたのこと困らせようとしてさ……」



「でも、困ってないよ。むしろ……嬉しい」



「っ……!」



メグの肩がぴくんと揺れた。

ゆっくりと顔を上げると、花火の光がふたりの間に色を灯した。



「……なあ、メグ。もし、俺が……その、ちょっとでもドキッとしたって言ったら、嬉しい?」



「……やばい。今日、死ぬかもしれない。ていうか、死んでもいい……」



そう言って、顔をくしゃっとさせて笑うメグは、涙ぐんでいた。

風が吹いて、また浴衣のすそが揺れたけれど――今のメグには、もう恥ずかしさなんてどこにもなかった。



「好き、かも。たぶん、すっごく、好き」



その告白は、打ち上がる大輪の花火の下で、しっかりと夜空に刻まれた。
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