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最終章 最終話 約束のキスを、世界で一番好きな君へ
祝福の音色と、最後のエール
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ひよりの18歳バースデーライブ配信が始まる、十分前。
俺、天城コウは、ステージ袖の薄暗いスタッフエリアで、モニターに映し出されたコメントの濁流を、ただ黙って見つめていた。
画面を埋め尽くす、色とりどりの祝福の言葉と、期待に満ちたファンの熱気。
その一つ一つが、これから始まる奇跡の、序曲のように思えた。
二年。
長いようで、あっという間だった。
ソロデビューを果たした俺は、がむしゃらに走り続けた。
ひよりもまた、俺の隣から一歩踏み出し、今やLinkLiveを背負って立つエースへと成長した。
俺たちの関係は、あの“卒業”文化祭の日から、少しずつ、でも確実に形を変えていった。
そして今、かつて俺の心をかき乱した、愛おしいヒロインたちもまた、それぞれの場所で、この瞬間を、きっと見守ってくれている。
◇
都心の夜景を一望する、高層マンションの一室。
不知火夜々は、ボルドーワインのグラスを片手に、壁一面の大型モニターに映る配信待機画面を眺めていた。
部屋には、彼女が奏でるバイオリンのレコードが、静かに流れている。
二年前の、あの熱狂が嘘のように、彼女の周りには、穏やかで、満ち足りた時間が流れていた。
(ここから、夜々視点)
ふふ、ずいぶん立派になったじゃない、ひよりちゃん。そして、天城くん。
あのステージで、わたくしはあなたに“卒業”を告げた。
それは、恋の敗北宣言なんかじゃない。
あなたという存在に出会えたことで、本当の自分を見つけられたという、感謝の証。
そして、あなたを手に入れられなかったからこそ、わたくしは、表現者として、さらに高みへと至ることができた。皮肉なものね。でも……それで、よかったのよ。
彼女は、グラスに残った最後の一滴を飲み干すと、そっとモニターに向かって微笑んだ。
その表情は、かつての恋のライバルのものではなく、妹の晴れ舞台を、誰よりも誇らしく見守る姉のように、どこまでも優しかった。
「……見せてみなさい、ひよりちゃん。あなたの物語の、最高のフィナーレを」
◇
とある制作スタジオでは、メグとみなとが並んでPCモニターを囲んでいた。
今や「M&Mクリエイティブ」として名を馳せる人気クリエイターデュオとなった二人は、この日のために用意されたひよりのステージ演出の最終チェックを行っていた。
「うおおお!みなとさん!このライティング!このパーティクルの散らし方!神がかってます!絶対泣ける!ひよりちゃんの涙腺、ブッ壊しに行ってますよ、これ!」
メグが興奮気味に叫ぶと、みなとは冷静に、しかし確かな自信を込めて頷いた。
「……当然です。今日の主役は、彼女なのだから。……光の入射角、あと0.2度調整。……これで、完璧」
その指先が生み出す光は、もはやただの演出ではない。物語を彩る、魔法そのものだった。
(ここから、メグ視点)
やばい……エモすぎて脳が処理しきれない……!二年前、アタシはコウくんを一番輝かせたいって叫んだ。でも、今は違う。ひよりちゃんを、そして、その隣で幸せそうに笑うであろうコウくんを、二人まとめて、このアタシたちの手で、世界で一番輝かせてやるんだ!最高の舞台はアタシたちが作った!あとは……あとは、コウくん、あんたの番ッスよ……!
二人は、視線を交わし、ふっと笑い合った。その絆は、もう恋の熱を通り越して、共に“最高”を創り出す、戦友のそれだった。
◇
そして、配信開始直前。
画面がふっと切り替わり、サプライズの応援メッセージ動画が流れ始めた。
そこに映し出されたのは、高校の制服に身を包んだ、るるといのりの姿だった。
「ひより先輩!18歳のお誕生日、おめでとうございます!るる、先輩みたいに、たくさんの人を笑顔にできるVtuberになりたいです!今日のステージ、世界で一番輝いてください!応援してます!」
少しだけ大人びた、しかし変わらない太陽のような笑顔で、るるが手を振る。
「ひよりさん。……二年前、あなたがステージで流した涙を、わたしは忘れません。今度は、あなたが幸せな涙を流す番です。あなたの声は、大丈夫。ちゃんと、届きますから」
いのりの声は、もう震えていなかった。
穏やかで、強く、すべてを包み込むような優しさに満ちていた。
それは、かつて同じ人を想い、競い合ったライバルたちからの、最高のエールだった。
彼女たちはもう、それぞれの道で輝いている。そして、心から、俺とひよりの物語の結末を、祝福しようとしてくれていた。
その温かい光に包まれて、ステージの幕が、ゆっくりと上がっていく。
俺、天城コウは、ステージ袖の薄暗いスタッフエリアで、モニターに映し出されたコメントの濁流を、ただ黙って見つめていた。
画面を埋め尽くす、色とりどりの祝福の言葉と、期待に満ちたファンの熱気。
その一つ一つが、これから始まる奇跡の、序曲のように思えた。
二年。
長いようで、あっという間だった。
ソロデビューを果たした俺は、がむしゃらに走り続けた。
ひよりもまた、俺の隣から一歩踏み出し、今やLinkLiveを背負って立つエースへと成長した。
俺たちの関係は、あの“卒業”文化祭の日から、少しずつ、でも確実に形を変えていった。
そして今、かつて俺の心をかき乱した、愛おしいヒロインたちもまた、それぞれの場所で、この瞬間を、きっと見守ってくれている。
◇
都心の夜景を一望する、高層マンションの一室。
不知火夜々は、ボルドーワインのグラスを片手に、壁一面の大型モニターに映る配信待機画面を眺めていた。
部屋には、彼女が奏でるバイオリンのレコードが、静かに流れている。
二年前の、あの熱狂が嘘のように、彼女の周りには、穏やかで、満ち足りた時間が流れていた。
(ここから、夜々視点)
ふふ、ずいぶん立派になったじゃない、ひよりちゃん。そして、天城くん。
あのステージで、わたくしはあなたに“卒業”を告げた。
それは、恋の敗北宣言なんかじゃない。
あなたという存在に出会えたことで、本当の自分を見つけられたという、感謝の証。
そして、あなたを手に入れられなかったからこそ、わたくしは、表現者として、さらに高みへと至ることができた。皮肉なものね。でも……それで、よかったのよ。
彼女は、グラスに残った最後の一滴を飲み干すと、そっとモニターに向かって微笑んだ。
その表情は、かつての恋のライバルのものではなく、妹の晴れ舞台を、誰よりも誇らしく見守る姉のように、どこまでも優しかった。
「……見せてみなさい、ひよりちゃん。あなたの物語の、最高のフィナーレを」
◇
とある制作スタジオでは、メグとみなとが並んでPCモニターを囲んでいた。
今や「M&Mクリエイティブ」として名を馳せる人気クリエイターデュオとなった二人は、この日のために用意されたひよりのステージ演出の最終チェックを行っていた。
「うおおお!みなとさん!このライティング!このパーティクルの散らし方!神がかってます!絶対泣ける!ひよりちゃんの涙腺、ブッ壊しに行ってますよ、これ!」
メグが興奮気味に叫ぶと、みなとは冷静に、しかし確かな自信を込めて頷いた。
「……当然です。今日の主役は、彼女なのだから。……光の入射角、あと0.2度調整。……これで、完璧」
その指先が生み出す光は、もはやただの演出ではない。物語を彩る、魔法そのものだった。
(ここから、メグ視点)
やばい……エモすぎて脳が処理しきれない……!二年前、アタシはコウくんを一番輝かせたいって叫んだ。でも、今は違う。ひよりちゃんを、そして、その隣で幸せそうに笑うであろうコウくんを、二人まとめて、このアタシたちの手で、世界で一番輝かせてやるんだ!最高の舞台はアタシたちが作った!あとは……あとは、コウくん、あんたの番ッスよ……!
二人は、視線を交わし、ふっと笑い合った。その絆は、もう恋の熱を通り越して、共に“最高”を創り出す、戦友のそれだった。
◇
そして、配信開始直前。
画面がふっと切り替わり、サプライズの応援メッセージ動画が流れ始めた。
そこに映し出されたのは、高校の制服に身を包んだ、るるといのりの姿だった。
「ひより先輩!18歳のお誕生日、おめでとうございます!るる、先輩みたいに、たくさんの人を笑顔にできるVtuberになりたいです!今日のステージ、世界で一番輝いてください!応援してます!」
少しだけ大人びた、しかし変わらない太陽のような笑顔で、るるが手を振る。
「ひよりさん。……二年前、あなたがステージで流した涙を、わたしは忘れません。今度は、あなたが幸せな涙を流す番です。あなたの声は、大丈夫。ちゃんと、届きますから」
いのりの声は、もう震えていなかった。
穏やかで、強く、すべてを包み込むような優しさに満ちていた。
それは、かつて同じ人を想い、競い合ったライバルたちからの、最高のエールだった。
彼女たちはもう、それぞれの道で輝いている。そして、心から、俺とひよりの物語の結末を、祝福しようとしてくれていた。
その温かい光に包まれて、ステージの幕が、ゆっくりと上がっていく。
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