イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。

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第10章『“妹”ポジは、誰にも渡さない。』

『18歳まで、あと1000日。』

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ぽつり、ぽつりと、雨が降っていた。



放課後の帰り道、傘をさす手が少し重くて、

私はカバンの中に忍ばせていた小さなノートを、ぎゅっと抱きしめた。



そのノートには、誰にも見せたことのない“私の計画”が書かれている。

タイトルは――



『コウお兄ちゃんを絶対に落とす作戦ノート♡』



……自分で書いてて恥ずかしくなったけど、

でもこれ、本気の計画なの。



「18歳になったら、一線を越える――」



それが、私の密かな目標。

今はまだ妹で。

今はまだ、抱きしめてもらうだけでドキドキして。

恋人になんてなれない、そんな関係だけど。



「でも……1000日後。私は、もう子どもじゃなくなるから」



誰より近くにいて、

誰より知ってて、

誰より想ってる。



だから、ゆっくりでもいい。

少しずつ“女の子”として見てもらえるように、私なりに積み重ねていくしかない。



……私、負けないから。



その夜。

お兄ちゃんは帰りが遅くて、私はリビングでひとり、ぼんやりとテレビを見ていた。



がちゃりと玄関の鍵が開く音に、心臓が跳ねた。



「ただいまー。遅くなってごめん」



「おかえり……お疲れさま、お兄ちゃん」



「晩ごはん、食べてないんでしょ? 作ってあるよ、レンチンする?」



「……ひより、今日なんか優しすぎない?」



「な、なにそれ……。妹だから当然でしょっ」



「ふーん……なんか、“妹以上”な気遣いな気もするけど?」



「っっ!!」



な、な、なにそれ、

いきなりそんなセリフ、言う!?

ずるい、そういうとこ、ほんとずるい!!



「そ、そ、それよりっ、今日は大変だった? 誰と収録だったの?」



「……みなとちゃん。久々に真面目な話、けっこう語っちゃってさ」



「ふーん……」



さりげなく聞いたつもりだったのに、

心の奥で小さくチクンとした。



やっぱり、“妹”じゃない立場って、ずるい。

お兄ちゃんに近づける口実が、私には限られてるのに。



「……でも、やっぱりひよりがいちばん気楽だな。帰ってくると安心する」



「……っ!! そ、そうかな? えへへ……」



そんなふうに言われたら――

今日一日、モヤモヤしてた気持ちなんて、全部吹き飛んじゃうよ。



お兄ちゃんは、たまに反則級にやさしい。



……好きになっちゃうに決まってるじゃん、そんなの。



夜、部屋に戻って。

私は、机の上に広げた作戦ノートに、“今日の成果”を書き込む。



・朝ごはん作戦 → 成功♡

・さりげない差し入れ → 成功♡

・一緒にテレビ作戦 → 成功♡

・雨の日ノート更新 → 達成!



「ふふっ……よし」



私は小さくガッツポーズをして、ベッドに潜り込んだ。



でも、布団をかぶったまま、ふと天井を見つめて思う。



――これから、どうなるんだろう。



本当に、“兄妹”って関係のまま、私はお兄ちゃんの隣に立てるんだろうか。



他の女の子たちに奪われたりしない?

私のこと、“ただの妹”って思い続けてるんじゃない?

……もし、そうだったら?



「……ううん、考えない」



私は、信じてるから。

お兄ちゃんが、優しくて、真面目で、

ちゃんと向き合ってくれるって、知ってるから。



だから、いまは“妹”でいい。



そのかわり――



「18歳になったら、ちゃんと振り向かせてみせるから」



言葉にすると、胸が熱くなった。

まだ遠くて、でも確かに存在する未来。



あと1000日。



そのカウントダウンは、

ただの“歳月”じゃない。



私が、“妹”から“女の子”になるための、準備期間。



それまでに、お兄ちゃんが誰にも取られちゃわないように――

私は、毎日ちゃんと、“戦う”。



だから……待っててね、コウお兄ちゃん。



その夜、夢を見た。



大人になった私が、

お兄ちゃんと手をつないで、笑ってる夢。



それがどんなに幸せだったか、

朝起きたとき、まだ胸の奥がぽかぽかしてた。



――恋する妹は、1000日後の未来へ向かって、今日も進む。
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