【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら

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211.生温かい特訓

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「わ、私はリーファ姫のおもびとに、お色気大作戦などと、なんと無礼ぶれいなことをっ……」

と、ユーフォンさんがワナワナとふるえ始めた。

迷ったけど、やっぱり侍女3人には全部をけた。

喜色きしょく満面まんめんに聞いてくれたのは、リーファ姫のたましい(?)と話しが出来たってところまでだった。

こっちから見て異世界の日本に転生してて、それが俺の幼馴染で、俺はフラれてなくて、改めて交際こうさいすることになりました――。

って話を聞くうちに、3人そろって口がポカンと開いてきた。

――ム、ムリもない。

そして、おもむろにユーフォンさんが立ち上がって、震え始めた。

「ユ、ユーフォンさんはシキタリを守ろうと頑張ってただけですよ……」

と、声をけた。

「いや、しかし……」

「シキタリを大切にする人を、リーファ姫が悪く思ったりするハズないじゃないですか」

「そ、そうでしょうか……?」

シアユンさんが、ユーフォンさんの両肩に手を置いた。

「そうですよ。いつも明るく前向きなユーフォンのことをリーファ姫も買っておられました。ご帰還きかんおりには、きっと楽しげにお聞きくださいますとも」

――帰還。

確かに交信こうしん成立せいりつするなら、帰還することも不可能ではないような気がしてくる。

少し落ち着いたユーフォンさんは、俺をチラチラ見て来る。

「リーファ姫は、私たちのことで何かおっしゃって下さいましたか?」

「う、うん……」

大半たいはんイチャイチャしてたとは、言いにくい。

故郷ダーシャンんなをたすけてって、俺に言ってたよ」

「そうですか! 私たちのことをお忘れになってたわけではないのですね?」

「うん。それは違うね。んなのことをとても大切におもってるのが伝わってきたよ」

考えてみれば里佳の「知らない一面」のはずなのに、違和感がない。俺の知ってる里佳の延長線上にリーファ姫としての里佳がいることに、ふっと気が付いた。

話は今後のことにうつった。

「第2城壁を奪還したとはいえ、ギリギリの闘いが続きます。大きな動揺どうようは戦線を崩壊させかねません。リーファ姫とマレビト様とのことはせておくべきかと」

と、ツイファさんがいつものまし顔で言った。

「うーん。私もそう思います……」

ユーフォンさんは迷いのある感じで、首をひねった。

「今までどおりにしてた方がいいかなぁ……」

シアユンさんに視線をって、意見を求めた。

「私も2人と同じ意見です」

と、言ったあと、クスリと笑った。

「お色気大作戦は続行ですね」

「そう!それ!」と、ユーフォンさんが指を立てた。

「こんなことしてたら、後でリーファ姫にきらわれてしまうんじゃないかと、気が気でなくて……」

「そうなったら、俺がしますよ」

「マレビト様ぁ! さすがお優しい」

「リーファ姫のご帰還のため、お目覚めのためにも、眠り続けるお身体からだをお守りせねばなりません」

と、シアユンさんが力強く言うと、ツイファさんとユーフォンさんも力強くうなずいた。

「まずは人獣じんじゅうとの闘いに勝つこと。それを第一に置くべきです」

「そうですね」

と、俺もうなずいた。いまだ、この城に余裕よゆうはない。出来ることを確実にこなしていく必要がある。

リーファ姫のことも、俺と里佳のことも、それには余計な雑音になりかねない。

「いいですね。マレビト様は幼馴染の想い人にフラれて傷心しょうしんなのです」

と、シアユンさんが2人に語り掛け始めた。

「フラれたのに未練みれんタラタラで、ほかの女性に手を出すことも出来ずにいるのです。純潔じゅんけつ純情じゅんじょう失恋しつれん少年しょうねんなのです」

ユーフォンさんがチラッと俺を見た。

すると、シアユンさんの叱責しっせきの声が飛んだ。

「ユーフォン!」

「はいっ!」

「そんな恋人が出来たばかりの若者をでるような、キラキラした目でマレビト様を見てはいけません。もっとこう……、生温なまあたたかく……」

それから3人は、俺を生温かい目で見る特訓とっくんを始めた。

マ、マジメ……、なのか……?
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